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サーキュラーエコノミーとは何か?

~富山県サーキュラーエコノミー推進プラットフォームキックオフセミナーより~

開会にあたって挨拶する新田八朗富山県知事

 「サーキュラーエコノミー」(循環経済)をご存じだろうか?
 これは従来の3R(Reduce、Reuse、Recycle)の取組みに加え、資源投入量・消費量を抑えつつ、ストックを活用しながら、サービス化等を通じて付加価値を生み出す経済活動のこと。資源・製品の価値の最大化、資源消費の最小化、廃棄物の発生抑止などを目指すもので、新しい環境対策として注目されつつあるものだ。
 富山県では令和7年3月、いち早く「富山県サーキュラーエコノミー推進ロードマップ」を策定し、本県の基幹産業であるアルミ分野でのサーキュラーエコノミーのビジネスモデルの創出や廃プラスチックの最終処分率の減少に向けた取組みにもチャレンジ。当機構に「富山県サーキュラーエコノミー推進プラットフォーム」を置き、先行する「とやまアルミコンソーシアム」(アルミのリサイクル技術の高度化や新事業創出を支援)、「BACCAing」(ばっかいんぐ/廃材のアップサイクルによる新製品開発・新事業創出)、「グリーン分野研究会」(水素・アンモニア燃料関連産業など5分野の県内企業が、資源循環をはじめとする関連技術に関する研究会活動を実施し、情報提供やネットワーク形成を促進)とも連携し、県内企業を挙げてのサーキュラーエコノミーへの取組みを推進しているところだ。
 この勢いをさらに加速させるために「富山県サーキュラーエコノミー推進プラットフォームキックオフセミナー」が開催され、基調講演では(一社)日本LCA推進機構の稲葉淳理事長が「サーキュラーエコノミーとは何か? 〜世界の動きと地域のこれから〜」と題して講演。また「とやまアルミコンソーシアム」「BACCAing」「グリーン分野研究会」の活動事例が報告され、合わせて「プラットフォーム相談窓口概要」についても紹介された。(ちなみに国は「循環経済(サーキュラーエコノミ)への移行加速化パッケージ」を策定。2030年までに市場規模を80兆円に拡大する目標を掲げている)
 今回のTONIO News特集では、キックオフセミナーの基調講演の概要と「プラットフォーム相談窓口概要」について紹介する。

基調講演

「サーキュラーエコノミーとは何か?~世界の動きと地域のこれから~」

一般社団法人 日本LCA推進機構 理事長 稲葉 敦氏

講演される(一社)日本LCA推進機構の稲葉敦理事長


 「サーキュラーエコノミー」とは一体何か。対する概念に「リニアエコノミー」があります。これは原材料→製品→利用→廃棄物という一方通行な線形経済(リニアエコノミー)です。リニアエコノミーでは気候変動や天然資源枯渇などの環境・社会問題に対処できない、という反省の下で、原材料→製品→利用→リサイクル→製品……という「サーキュラーエコノミー」(循環経済)の考え方が現れました。以前には3R(Reduce、Reuse 、Recycle)が唱えられましたが、これは循環型社会の形成を目指すものです。その形成に向けて、資源の再生産性や循環利用率を高める取組みを一段と強化するためには、従来の線形経済から循環経済への移行を推進することが鍵になります。

主な環境政策

 日本の環境政策は明治の鉱害問題に端を発します。足尾銅山や別子銅山の鉱害は教科書にも出てきますし、そののちに発生したイタイイタイ病や水俣病、新潟水俣病、四日市喘息は、「四大公害病」とも称され、これらが契機となって「公害対策基本法」が成立し(1967(昭和42)年)、1971(昭和46)年には13省庁に分散していた公害担当部課をまとめて「環境庁」が設置されました。
 「廃棄物処理法」ができたのは1970(昭和45)年。最初の大阪万博があった年です。この頃から一般廃棄物と産業廃棄物を分け始めました。ところが1980年代から高度成長の影響もあって廃棄物の量は急速に増大。のちには廃棄物の最終処分場が逼迫し、一般廃棄物はあと8.5年、産業廃棄物はあと3年の猶予しかないと騒がれました。こうしたことを背景に1991(平成3)年には「資源の有効な利用促進に関する法律」ができ、先ほどの3Rが推進されました。そして2000(平成12)年には「循環型社会形成推進基本法」が制定され、大量生産・大量消費・大量廃棄型の経済システムからの脱却が図られたのです。
 一方、世界の環境問題の動向を見ますと、1971(昭和46)年にはラムサール条約(水鳥の生息地の湿原を守る条約)ができ、海洋投棄を規制するロンドン条約がその翌年に採択。同年にはストックホルムで「国連人間環境会議」が開催され、1973(昭和48)年にはワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)できました。
 特筆すべきは1992(平成4)年に環境開発に関する国連会議を開いていることです。日本では最終処分場の限界から3Rが叫ばれている時、世界では持続可能な開発や地球温暖化対策が練られていたのです。持続可能な発展(開発)は英語ではサスティナブル・ディベロップメント。この国連会議の流れが2015(平成27)年のパリ協定に結びつき、SDGsの発表へとつながりました。

サーキュラーエコノミーへの取組み

 では循環経済(サーキュラーエコノミー)とは何か?2000(平成12)年に制定された「循環型社会形成推進基本法」では、概ね5年ごとに環境基本計画を策定することとし、昨年8月の第五次基本計画で初めて循環経済(サーキュラーエコノミー)への移行が打ち出されました。それ以前はゴミ問題、あるいは3Rに代表されるように循環型社会を目指していました。線形経済から循環経済への移行は、気候変動や生物多様性の損失、環境汚染等の社会的問題を解決し、産業競争力を強化するものです。また循環経済への移行によってライフサイクル全体で資源循環と地域循環のシステムをつくって、廃棄物管理を徹底し、循環産業の海外展開を推進することを企画したのでした。
 また『令和5年版 環境・循環型社会・生物多様性白書』を見ると、資源循環の取組みにより廃棄物発生の最小化と温室効果ガス削減に努め、ゴミ問題への対処を基本とした循環型社会から、3R+ビジネス+脱炭素の循環経済へと移行し、現在の市場規模約50兆円から、2030年までには80兆円に拡大しようと目標設定がなされています。資源循環をビジネスとして確立しようと言うのです。
 では海外の取組みはどうか。欧州(EU)では、2015(平成27)年に「サーキュラーエコノミーパッケージ」を策定。行動計画や廃棄物関連の法律改正の目標設定に取組み、欧州企業で約6000億ユーロの節約、58万人の雇用創出の目標を掲げました。2019年にはサーキュラーエコノミーへの移行を中核的な政策目標と位置付け、翌年には「サーキュラーエコノミーアクションプラン」をつくり、実行に乗り出しました。そして2022年にはエコデザインの適用範囲を拡大し、翌年の「G7札幌気候・エネルギー・環境大臣会合」において資源効率性についての議論が行われました。
 日本ではゴミ問題として循環型社会構築を目指していた時、欧州ではそれをビジネスにし、合わせて脱炭素も実現しようとしていたのです。

富山の企業も事例集の1社に

 サーキュラーエコノミーには国際標準規格(ISO)があります。ISO/TC323(スリー・ツー・スリー)では様々な規格をつくってきました。ISO59004には、サーキュラーエコノミーの定義があり、そこには“サーキュラーエコノミーは経済システムであり、システミックなアプローチを用いて資源の循環的な流れを維持し、それらの価値を回収・保持、または付加することで、持続可能な開発に寄与するもの”とあります。ですからサーキュラーエコノミーは、単に廃棄物の処理をぐるぐる回すのではなく、持続可能な開発への対処も含まれたものなのです。
 サーキュラーエコノミーの国際標準規格(ISO)をつくろうという動きが出た時、議論に参加する人向けに対応方針が作成されました。それは日本型循環経済の特徴であるリサイクルを主とする適正処理、エネルギーリカバリー、業種間連携によるビジネスモデル等の取組みを含めるように求めた対応方針のことです。逆にいうと、エネルギーリカバリーやリサイクルは、当初、欧州の人々にとってはサーキュラーエコノミーではなかったのです。処理のサイクルをぐるぐる回すと、廃棄物は出なくなるという考えです。ですから彼らは廃棄物(waste)という言葉も使おうとしませんでした。
 でもそれはあまりにも非現実的です。そこで日本が対応方針を進言し、国や地域による特徴を考慮し、様々なサーキュラーエコノミーのモデルがあることを理解してもらいました。また欧州の廃棄物処理業者は巨大企業で、ほぼ独占状態で営業していますが、日本では複数の企業が連携しネットワークを組んで事業を推進しています。そういうビジネスモデルがあることも理解していただきました。
 ISO/TR59032はサーキュラーエコノミーの事例集をつくり、サーキュラーエコノミーの導入・実装に資する既存のビジネスモデルの事例を提供するものです。欧米だけでなく中国や東南アジアの例も含め、99件の事例が収録されています。複数の企業が連携している事例は16件あり、内3件が日本の事例です。その内の1件は富山県の(株)HARITAの取組みです。HARITAでは高速鉄道では世界で初めて、アルミの水平リサイクルを実現しました。つまり廃棄新幹線のアルミをリサイクルし、新車両の新幹線をつくったのです。

「幸せ同等の原則」

「幸せ同等の原則」を説明される際に用いられたpptより。

 リサイクルには2つのタイプがあります。クローズドループリサイクルは、アルミ缶を再利用してアルミ缶をつくるようなもの。対してオープンループリサイクルは、スチール缶を再利用して建設用鋼材等に利用するようなことです。違うものをつくるには余分なエネルギーが必要となり、CO2排出量は多くなります。違うものをつくればつくるほど、CO2排出量は多くなるのですが、果たしてそれでよいのか。オープンループリサイクルでは、製品Aを使用する幸せは、リサイクルなし・あり両方で感じることができますが、別な製品に生まれ変わった製品Bを使う幸せは、リサイクルありでしか感じることができないのです。
 ここでLCA(Life Cycle Assessment)の評価法を説明しましょう。私は、LCAでは幸せが同じでないものは、基本的に比べない方がいいと思っています。例えば内容量が200Lの冷蔵庫と400Lの冷蔵庫を比較するとしましょう。400Lの冷蔵庫の方がCO2排出量は多いのですが、幸せを同じにして比べるには容量を同じにする、すなわち200Lの冷蔵庫が2台あればいいわけです。そこで仮に400Lの冷蔵庫の耐用年数が12年、200Lの冷蔵庫の耐用年数が6年だった場合、200Lの冷蔵庫は合計4台あれば同等になります。また400Lの冷蔵庫には製氷機があるが200Lにはそれがない場合は、別に製氷機がないといけない。そういうふうに幸せを一緒にしていきます。私はこれを幸せ同等の原則と言っています。リサイクルをビジネスにする場合、Bを使用して感じる幸せをリサイクルしない方にプラスしないと、CO2発生量を正確に評価できないと思うのです。
 また廃プラスチックでつくった擬木の問題があります。この場合は、新品のプラスチックでつくった擬木と、廃プラスチックを再生してつくった擬木を比較してよいのか。廃プラスチックの擬木の前は、実際の材木が用いられていました。新品のプラスチックで擬木がつくられていたわけではありません。オープンループリサイクルでは、比べる相手を間違えると、リサイクルとは言いつつもCO2を増やすことになりかねないのです。

フロントランナーに!

 ここまでお話ししたところで富山県サーキュラーエコノミー推進ロードマップを見てみますと、サーキュラーエコノミーのフロントランナーを目指すと宣言しています。富山県では、産学官で構成する「とやまアルミコンソーシアム」が中心となって、アルミリサイクル(グリーン化)の研究開発やCO2排出量を可視化するアプリケーションの開発・社会実装に取り組んでいます。また廃材をアップサイクルして新商品を開発する、「BACCAing」(ばっかいんぐ)にも取り組んでいます。いずれも単に循環型社会を目指すと言うのではなく、リサイクルをビジネスにしてCO2排出量を減らすことを目標とされている。ここが大切です。リサイクルをビジネスにしてこそサーキュラーエコノミーなのです。

「富山県サーキュラーエコノミー推進プラットフォーム相談窓口」概要

(公財)富山県新世紀産業機構 イノベーション推進センター次長 関口 徳朗

富山県サーキュラーエコノミー推進プラット
フォームの概要を説明する当機構イノベーション
推進センターの関口徳朗。


 (公財)富山県新世紀産業機構では、「とやまの企業の元気づくりをワンストップで支援します」と謳い、経営支援、創業相談、新商品・新技術開発、販路拡大、海外進出、産学官連携など幅広く企業の皆様をサポートさせていただいております。これらの専門的な支援を行うために、中小企業支援センター、アジア経済交流センター、イノベーション推進センターを設けています。
 ご承知の通り持続可能な社会を実現するためにサーキュラーエコノミーへの転換が世界的な潮流となっています。こうした背景のもと富山県では、地域の持続的発展を目指す「富山県サーキュラーエコノミー推進ロードマップ」を策定し、この中で掲げられた目標の早期達成を図るために、イノベーション推進センターに「サーキュラーエコノミー推進プラットフォーム」を設置(令和7年6月)し、企業の皆様のサーキュラーエコノミーへの取組みのワンストップの相談窓口として活動を始めました。
 イノベーション推進センターでは、アルミのリサイクル推進やその事業化、CO2排出量の低減化などに取り組む「とやまアルミコンソーシアム」や、廃材のアップサイクルによる新商品開発などに取り組む「BACCAing」(ばっかいんぐ)、水素・アンモニア燃料関連産業など5つの分野で資源循環をはじめ関連する技術の研究会活動や情報提供を行う「グリーン分野研究会」の事業も推進しており、プラットフォームではこれらと連携しながらサーキュラーエコノミーの推進に当たります。サーキュラーエコノミーを推進するための補助金も創設しました。
 サーキュラーエコノミーへの取組みは、避けて通ることはできない経営課題になりつつあります。ただ、「サーキュラーエコノミーと言われても、何から初めていいかわからない」と言う方もおいでになるでしょうし、「こんなアイデアは実現可能か」と模索し始めた方もおいでになるでしょう。当プラットフォームでは、どんなご相談にも対応させていただきます。お気軽にご連絡いただけたらと思います。

○問合せ先/富山県サーキュラーエコノミー推進プラットフォーム
所 在 地 富山市高田529 技術交流ビル1F
       (公財)富山県新世紀産業機構 イノベーション推進センター 連携促進課
TEL 076-444-5606  FAX 076-433-4207
URL https://www.tonio.or.jp/

作成日  2026/01/07

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