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広域商談会・取引あっせん

販路拡大のチャンス潜む広域商談会・取引あっせん

コロナ禍でも新規開拓を次々と

当機構に登録している県内受注企業の保有設備
等を取りまとめたガイドブック。県外大手発注企業等へ
配布している。

 当機構の「広域商談会」をご存知だろうか。販路拡大のための、人気の支援メニューのひとつだ。
 そのおおまかな仕組みを紹介しよう。当機構では東京・大阪・名古屋ならびにその周辺のものづくり企業に、今後の外注計画に関するアンケート調査を実施し、回答いただいた企業をリストアップ。機構職員が手分けして企業を訪問し、求める加工技術について詳細なヒアリングを行うとともに、『富山県受注企業ガイドブック』を用いて本県企業の保有する設備や技術などについて紹介してきた。このようなやり取りを長年続け、大都市圏周辺のものづくり企業と信頼関係を築いてきたのであった。
 この当機構オリジナルのネットワークには、関東圏では約2,000社、関西圏では約1,000社、中京圏では約800社が名を連ね、当該地域で広域商談会が行われる際には、それらの企業を中心に開催の案内を差し上げてきた。
 「単純に、『機械』や『金属加工』などの括りで業界団体の名簿を入手し、その掲載企業に商談会の案内状を送付しているのではありません。私たち機構職員が足で稼いだ情報を基に、『脈がありそう』な企業に商談会の案内を差し上げ、富山県の企業とのマッチングの場を設けていますので、ランダムに案内状を送付する商談会より成約に至る確率が高いのです」
 こう語るのは、当機構の真下受発注取引支援専門員。真下専門員は続けて、「このネットワークがあるおかげで、『これこれの加工技術を持っている富山県の企業を紹介してほしい』という要望も当機構にはよく入り、発注企業が示される条件に見合った県内企業数社を紹介しています」と「取引あっせん事業」の概要も付け加えた。

コロナ騒動の前年、仕事が激減

若い頃は全国から溶接の声がかかって
飛び回っていた田中勝利社長(写真上)
と同社工場での作業の様子(写真中・下)。
比較的大型で、一品ものの溶接・製缶が多い。

 この広域商談会と取引あっせんを効果的に活用し、コロナ禍にあっても仕事を確保してきたのが立山町に工場を構える(株)田中工業である。田中勝利社長は「私らは溶接・製缶のプロフェッショナル集団」と胸を張り、発電施設や製造プラントなどで利用されるタンクの溶接など施工事例を紹介してくれた。
 田中工業が広域商談会に参加するようになった経緯を紹介しよう。
 溶接の腕に自信のあった田中社長は、同社創業前は“一人親方”のような形で、全国の溶接工事の現場で働いてきたのだが、27歳になった平成2年、「地元で拠点を構えよう」と創業を考え始めた。それを聞きつけたある電機設備メーカーの社長が、「会社を興すのなら、応援する」と背中を押してくれたのだ。同メーカーから依頼される仕事の他に、県外からの要望にも答え、追い風を受けての順調な船出であったという。
 ところが、創業の翌年にバブルが崩壊。富山県にその荒波が襲いかかるのはさらに1年ほど後だったが、「職人としては自信があったけど、経営者としてはまだ新米だった」と田中社長が振り返るように、共に創業の旗を掲げた仲間2人と「歯を食いしばった」ようだ。
 慣れない営業に、靴底をすり減らした。そのうちに発電所や自動車メーカー向けに、専用機器を納めている機械メーカーに遭遇。田中工業の溶接や製缶技術が評価されてその多くを任されるように。社員も徐々に増やし受け入れ体制を整えていくと、依頼される仕事量はそれに並行して増加し、しまいにはその機械メーカーから発注される仕事は田中工業の全仕事量の8割まで膨らんだのだった。
 ところが・・・。再び予期せぬことが起きた。コロナ騒動が起きる前の令和元年、かの機械メーカーは競合各社に遅れをとるように。「8割あった仕事は2割まで激減」したため、田中社長は再び営業に歩くようになったのだ。広域商談会への参加を検討し始めたのは、そんな時だった。

広域商談会がご縁で・・・

広域商談会の様子。写真上は平成31年11月
の東京商談会。下は令和3年3月の名古屋
商談会。コロナ禍の商談会では感染対策を
十分に図り、参加企業数を絞って行った。

 「その十数年前にも、メインバンクの勧めで広域商談会への参加を検討したことがあるのですが、その時は機械メーカーは絶好調で、『うちから仕事を回すから、他の仕事で手を塞がないで欲しい』といわれ、参加を見送っていました。ところが今回は『あまりうちを当てにしないで、他で仕事を見つけて欲しい』と逆のことをいわれたのです」
 こうして田中社長は、令和元年度、名古屋で行われた商談会に初めて参加。複数の企業と商談するも、最終的には成約に至る企業はなかったそうだ。ところが商談会が終わってひと月ほどした時、「中京地区のある企業が溶接のうまい企業を探している。田中工業も含め数社を紹介しておくから、先方と連絡をとって欲しい」と、真下専門員から連絡が入ったのだ。社名を聞くと、ひと月前、名古屋の広域商談会で出合った1社だった。田中社長はさっそくその企業に連絡を入れ、仕様書に沿って見積書を提出したところ、取引きの開始が決まったという。
 翌令和2年11月の東京の広域商談会では、電力会社向けにオイルタンクを製造している某企業と商談。田中社長が「うちはタンクの溶接は得意。かつてある機械メーカー経由で原子力発電所向けのタンクを溶接していた」と話すと、のちの話はスムーズに展開し、ひと月もしないうちに田中工業の工場見学が実施され、溶接のオーダーが入り始めたという。

取引あっせんで成果が次々と

田中工業が発注企業の要望に応じて製作
してきた製品例(各種タンク)。同社は発電
所向け、あるいはプラント向けのタンクを
多数製造してきた。

 この間、同社が高い確率で成約に至ったのは、取引あっせんによるマッチングで商談したケースだ。先に紹介した中京地区の企業のように、一定の条件を示した上で「溶接のうまい企業を紹介して欲しい」という依頼が、メーカーから直接、当機構に度々入ってくるようになった。こうした依頼は、かつては商社経由で行われていたが、コストの見直しと時短を目的にメーカーが直接声をかけてくるケースが増えている様子。発注企業は、当機構が築き上げてきたネットワークからのものが多く、他に上場企業や中堅メーカーも含まれるという。
 語るのは社長のご子息で、同社では専務を務める田中裕也氏。
 「素晴らしい溶接技術・製缶技術をお持ちの企業は、富山県内にはいくつもありますが、当社が頭ひとつ抜けているのは、職人全員が溶接や製缶の資格を持っていることです。それも難しい国家資格も含めて、全社挙げてスキルアップに取り組んでいます。見積競争には数社が参加していて、当社は受注するために無理して安値を提示しているわけではありませんが、高い確率で受注させていただいています。おそらく、小さい会社ながらも、資格を取って技術を向上させようとしている姿勢が、評価されているのでしょう」
 そして田中専務は、当機構のあっせんによって成約に至った企業を、指を折りながら数えた。「中京地区の企業の他に・・・」と続けたのは、大阪、山口、滋賀、東京、埼玉、千葉の6都府県の企業。「昨年の暮れの岐阜の会社が抜けている」と田中社長は1県追加し「こういうあっせんの案件は、短納期のケースが多い。岐阜の例では年末までに完成させて収めたところ、年が明けて1月、3月、4月、5月とオーダーが入りました」と続けた。
 付言すると、広域商談会開催については、当機構のホームページで告知しているので、関心のある企業はその都度申し込みいただきたい。また県外企業からの業務の斡旋を受けたい企業は、当機構の「取引あっせん登録申請書」に必要事項を記入して登録していただきたい。登録企業は前出の『富山県受注企業ガイドブック』や当機構ホームページ上の「富山県受注企業情報」に掲載され、「『受注企業情報』に掲載されている○○社を紹介して欲しい」と指名を受ける場合もある。

作業の見える化で効率的に

「中学生の頃から、いずれは父親の後を継いで
鉄工所を運営する」と考えていた田中裕也専務
(写真上)と専門家(中小企業診断士)の指導
をもとに実施した作業の見える化の例(写真下)。
1枚の看板が、作業の進捗状況を示し、現場が
効率的に動くようになったという。

 こうしてコロナ禍を乗り越えた同社であったが、実は他でも工夫していたことがある。それは「専門家派遣事業」(令和2年度)を活用して中小企業診断士を招き、事業計画の策定や工場の作業の見える化などに取り組んだのだ。
 「当社では5年をめどに事業計画を策定し、社員一丸となって目標に向かってきました。令和2年は新型コロナウイルスが蔓延し始めた年で、その前につくった事業計画は絵に描いた餅になってしまいました。そこで専門家にお願いし、厳しい経済情勢を踏まえての5ヵ年計画の策定をお願いした次第です」(田中社長)
 計画は細部に及んだ。コロナ禍での厳しい売り上げを前提としながらも、設備投資(新しい加工機の導入)とそれに伴う資金需要、キャッシュフローから予想される資金不足と金融機関からの借入額・・・。社員にもその概要を伝え、厳しい経済情勢を乗り越えようと意識の統一を図ったのだ。
 その一方で、作業の見える化を通して業務の効率化・迅速化にもチャレンジ。同社では一品ものの溶接や製缶が多く、作業のパターン化はほとんどできない。そのため、例えば後工程を担当している職人が、上工程の進捗状況をその都度確認しなければならず、上工程の職人が倉庫等へ行って現場を不在にした場合は、その間作業が止まるという効率の悪い事態が起こっていた。
 それを、中小企業診断士のアドバイスを受けて、「仕上げ中」「検査中」「検査完」などの看板を掲げて作業の進捗状況を見える化したのだ。その効果を田中専務がまとめた。
 「この見える化によって、ムダな時間を省くことができたばかりか、作業全体の段取りもより合理的に考えるようになりました。また私たちのような工場では、一度機械を設置するとそのまま10年、20年は工場のレイアウトを変えないのですが、職人全員と話し合って作業しやすい動線を考え、そのために機械の配置を変えるということもしました」
 同社では令和4年度にも同じ中小企業診断士を招いて指導を仰いだ。「2年前に事業計画を策定した際、コロナ禍の影響がここまで大きくなると予想しなかったため、より実態に近づけた」(田中社長)そうだが、今回の事業計画策定にあたっては金融機関の助言も得、不測の事態の資金需要についても手を打ったのだ。
 同社では今後、職場環境のさらなる改善に取り組み、若者や女性が「働きたいと思える鉄工所を目指したい」(田中専務)そうで、時々届く「溶接をやりたい」という女性からの求職の声に答えられるようになりたいという。
 「薄物を中心に溶接している工場では、最近は『溶接女子』といって女性の職人さんが増えているようです。ただ、当社が扱っている製品は、軽くても数十キロ、重い場合はトン単位です。もちろんクレーンなどは使いますが、重労働・体力勝負的なところは実際にはあります。そういうところがもっと改善できたら、女性の方々に活躍していただく可能性は出てくると思います」(田中専務)
 同社の一番の強みは、将来の抱負を語る後継者がいることかもしれない。田中工業では「取引あっせん」による商談をまとめるのは、最近は専務が中心になって行っているようだが、発注企業側は、長い付き合いになる可能性もあると考慮して、外注先を選んでいるのではないか・・・と思えてきた。
 ちなみに当機構では、事業承継で悩んでいる企業の相談にも応じているので、お気軽にご相談を。

○問合せ先:新事業・販路開拓支援課
所 在 地:〒930-0866 富山市高田527 情報ビル2階
      (公財)富山県新世紀産業機構内
TEL 076-444-5603  FAX 076-444-5644

URL : https://www.tonio.or.jp

作成日  2023/03/22

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