富山県ものづくり総合見本市は商談数が急増  TONIO Web情報マガジン 富山

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富山県ものづくり総合見本市は商談数が急増

北陸新幹線沿線地域や東南アジアの企業が注目

 「たいへん素晴らしい見本市でした」
 「富山県ものづくり総合見本市2015」終了後、見本市についての感想を求めたところ、中国機床総公司(北京市)の才冬華さん(業務部長)は開口一番こう語った。天候に恵まれたため出足もよく、3日間(4/23~25)の来場者総数は16,419人。会場はそれ以上のにぎわいが感じられた。
 何より際立ったのは、会期中の商談件数の多さだ。前回(2012年)1,541件、前々回(2010年)1,025件に対して、今回は4,354件と過去最多となった。
 今号のレポートでは、日本海側最大級の国際見本市「富山県ものづくり総合見本市2015」の開催概要を、出展者の声を交えながら紹介しよう。

「富山県ものづくり総合見本市2015」の会場風景。従来のテクノフェア、NEARの垣根を取払い、企業の配置を混在させたため来場者の混み具合が均一化し、視察しやすい見本市となった。

3日間切れ目なく来場者が……

駐日インドネシア共和国大使館のメンバーと石井知事。知事の
向かって右隣の男性は、副大使のベン・プルカサ・ドラジャット氏。
インドネシア投資環境セミナーの講師も務めた。

 富山県ものづくり総合見本市は、例年秋口に行っていたものを、今回は北陸新幹線の開業に合わせて半年ほど遅らせ、ゴールデンウィーク直前での開催に変えた。その結果、首都圏や北陸新幹線沿線地域からの出展が増えて61社に(団体含む、以下同)。東京都から32 社、神奈川県から7社と、富山—東京間が2時間あまりで結ばれるようになった効果は絶大だったようだ。
 また国内からは宮城県(3社)、奈良県(2社)、三重県(1社)の企業が初めて参加。海外からはベトナム(5社)、インドネシア(2社)、フィリピン(1社)など東南アジアの国々からも新たに出展があり、従来にも増して多国籍な雰囲気のある見本市となった。ちなみに出展企業の内訳を列記すると、日本国内は18都府県から226社。海外は、11カ国から162社(前記のインドネシア等の他に、中国114社、台湾20社、タイ10社、韓国6社)となり、総数388社は過去最高の出展数になった。
 今回初めての参加となった、駐日インドネシア共和国大使館・一等書記官のHari Prabowo(ハリ・プラボウォ)さんに話を聞いてみた。

―― この見本市への参加の目的は?
 これまで、私たちインドネシア大使館では、日本からインドネシアへの観光や投資を促進するために、東京や大阪などの大都市を中心にPRを行ってきました。そうした中、昨年秋に、「富山県ものづくり総合見本市2015」の事務局の方が大使館に来られて、見本市のことを紹介されました。それをうかがって地方都市でも積極的にPR活動を行うべきではないかと考えるようになった次第です。調べてみると、富山県はものづくり産業の集積が素晴らしい。ビジネスでの連携を図ると、お互いに利点があるだろうと判断し、出展を決めました。

―― 実際に参加されていかがでしたか?
 私どものブースには、3日間ノンストップで来場者がありました。我々は大使館職員ですから、今すぐ何かを売る・買うというアクションを起こすことはありませんが、非常に手応えを感じました。インドネシアの投資環境を紹介したセミナーも満席で、講師を務めた副大使も非常に満足しています。
 何より驚いたのは、各ブースに通訳用のスタッフを配置していただいたことです。大使館員もインドネシア企業のスタッフも、これには感心していました。商談件数の多い見本市とうかがっていましたが、予め通訳スタッフを配置されていることなどが功を奏しているのでしょう。次にこのような機会があれば、本国の企業も多く誘って、ぜひまた富山に来たいと思います。

 富山県ものづくり総合見本市は、海外企業との商談がスムーズに進むことで知られているが、商品・製品、企業の魅力もさることながら、通訳スタッフが2ブースに1名配置され、コミュニケーションの円滑化を図っているところにも、大きな要因があったのである。

初参加ながら手応えを感じた

億典企業股份有限公司のブース。展示されているの各種モー
ターコア製品で、台湾ではその専門メーカーとしての地歩を築い
ている。

 では今度は具体的に、市場の開拓を求めて海外から出展した3社に、見本市終了後2カ月ほどして、その後のフォロー等も交えて、話をうかがった。今回紹介する台湾、韓国から出展した企業は、この見本市の前身「NEAR」(北東アジア経済交流EXPO)の時代も含めて初参加で、景気回復の薄日が射しつつある日本のマーケットに注目しての出展。また中国からの出展企業は、前回(2012年)の総合見本市に参加した際に手応えを感じた経緯があり、「今度は具体的成果に結びつけたい」と意気込んでの参加であった。
 まずは億典企業股份有限公司(台湾)の黄俊傑さん。同社は各種モーターコアの製造や高速自動電磁鋼板パンチングなどを主な業務とする企業で、1998(平成10)年に日系企業と提携したことを機に、日本での市場開拓に力を入れてきた。今回の出展は、「2013台中工具機展」に当機構が出展しており、そのブースを訪ねたのがきっかけだった。当時を黄さんが振り返る。
 「台湾と富山の間に飛行機の直行便が開かれ、ビジネス交流が注目されつつある時でした。台中工具機展の会場で『富山県新世紀産業機構』のブースを見つけ、確か富山は自然が美しく、工業も発展している地域だと思いながら入って行き、パンフレットを多数いただきました。その時、この総合見本市があることを知り、また『富山県台北ビジネスサポートデスク』が開設されていることも教えていただきました。その後はサポートデスクと連絡を取り合うようになり、見本市のことも詳しく教えていただきました」
 同社では、台北ビジネスサポートデスクと何度も連絡を取りあううちに「富山県ものづくり総合見本市2015」への関心をますます深め、その後、当機構から同社への訪問なども経て、出展が決まったのであった。再び黄さんが続ける。
 「当社の製品は特殊な機械の部品などが多いですから、来場者の皆さんにはなじみが薄かったようで、使用方法を聞かれる方が大半でした。今のところ具体的な商談は進んでいませんが、今後もチャンスがあれば日本での市場開拓に向けての努力は怠りません。富山にもまた行きたい」

40年にわたって築き上げたギヤエンジニアリングのノウハウと
最新鋭の研磨設備によって、JIS 0級の歯車製作の技術も持つ
Kyung-In Precision Machinery(韓国)のブース。

 韓国から初参加の「Kyung-In Precision Machinery Co.,Ltd.」は、2014年秋、(財)韓日産業技術協力財団より「富山県ものづくり総合見本市2015」の開催案内を受けて出展を決めた1社。工作機械や産業機械のギヤ、減速機などを製造販売している企業で、韓国国内はもとよりアメリカや東南アジアにも展開し、日本には1986(昭和61)年より輸出しているという。
 営業担当のPark Hee Beenさんが2カ月前の総合見本市を振り返った。
 「日本でのビジネスは、29年前から展開していますが、富山での展示会参加は初めてでした。富山県には工作機械や産業機械に関する製造業が多いと聞いていましたので、期待を持って出展しました。3日間の会期中5社と具体的な商談をさせていただき、うち1社には見積書も提出しました。結果については満足できるものではありませんが、手応えも感じました。今後は、フォローアップの営業を通じて、富山県での実績づくりを続けて行く予定です。こういう展示会があれば、今後も参加していく予定です」

代理店契約を結んで初年度1500万円目標に

商談中の中国機床総公司のブース。右端で商談の様子を見守る
のは海外販路開拓支援マネージャーの田中正明氏。

 最後は、冒頭にも紹介した中国機床総公司だ。同社では、3年前の「富山県ものづくり総合見本市2012」に出展して、手応えを感じていたことは前述の通り。以来、当機構の海外販路開拓支援マネージャーと時々連絡をとり、県内企業からの製品や部材の仕入などについてアドバイスを求めるようになった次第だ。
 そうした背景を持って迎えた「富山県ものづくり総合見本市2015」である。「案内を受けて、すぐに出展を決めました」と前出の才冬華さんは即答した。
 同社は北京に本社を構える機械商社だ。1985(昭和60)年から国際取引を開始して、アメリカ、ヨーロッパ、ロシア、東南アジアの国々との間で工作機械や建設機械の輸出入を繰り広げ、日本とのビジネスは90年代から開始。日本からの工作機械の輸入と中国の機械部品の日本への輸出という形で取引きを続けてきたという。日本の取引先には、業界最大手の企業もあるそうだ。
 才さんが続けた。
 「当社では、中国製品の富山での販売と、富山の製品の中国での販売を目指しています。今回の総合見本市に先立って、富山県内の工作機械メーカーを訪問して製造現場を見学させていただくなど、海外販路開拓支援マネージャーのアドバイスを参考に、事前の準備を進めました。その結果、前回の総合見本市では手応えだけで終わったものが、今回は具体的な成果が期待できるようになりました」
 才さんが熱く語る商談結果をまとめると以下のようになる。
*工作機械メーカーを中心に、会期中6件の商談を行った。
*富山県内の包装機械メーカーと販売代理店契約を結び、今後共同で中国市場を開拓することになった。初年度1500万円程度の販売を目指したい。
*当社が扱っているチップコンベア製品に関心を持っていただいた企業があり、見積を出すなどフォローの営業を続けている。
*当社を訪問したいという富山県企業があり、8月中の実現に向けて調整している。
*今回の展示会では、当社が扱っているオイルクーラーやチップコンベアなどに関心を持っていただいた企業が多数あった。引き続き他の製品も合わせ富山県の機械メーカーの方々にPRしていきたい。
 出展の感想を尋ねられて、「たいへん素晴らしい見本市でした」と開口一番に答えた才さんの胸中が察せられるような商談結果だ。4,354件の商談の中に、こうした案件が多数含まれることを祈るばかりである。
 さて、終わりに話題を変えて、今回の総合見本市の予告を兼ねた記事で、「全日本製造業コマ対戦とやま特別場所」を紹介したことがあった。当初は、「16チームの参加申込があれば……」と思われていたものが、蓋をあけると3倍の48チームがエントリー。ものづくりが盛んな富山を象徴する特別場所となった。
 ちなみに、とやま特別場所の優勝者は、田中精密工業(富山市)。準優勝にはフジタ(高岡市)、3位には、富山高専モンスタースピンズ(富山市)とアグレッシブI・T・O(魚津市)が入り、ものづくり企業の層の厚さを県内外にPRしたのだった。

作成日  2015/07/27

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