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[ 特集 ]富山県よろず支援拠点

富山県よろず支援拠点がセミナーを開催

インボイス対策、コロナ対策の経営支援は・・・

セミナー風景

 当機構の富山県よろず支援拠点では、令和5年10月1日から導入が予定されている消費税のインボイス制度の基本的な事項や留意すべきポイントなどを解説するセミナーを開催(令和4年8月29日)。よろず支援拠点の崎山強コーディネーター(税理士)が「知っておいて損はない! インボイス制度導入前夜」のテーマの下、講演された。また11月11日には、東京・板橋区で中小企業の活性化支援で目覚ましい実績を上げておられる板橋区立企業活性化センターの中嶋修センター長を招き、「油断大敵!!ウィズコロナ 災害 倒産対策」と題して、中小企業支援の要点などを講演していただいた。
  このレポートでは、両セミナーのポイントを紹介する(インボイス制度の解説に関しては、令和4年4月1日現在成立している法令に基づき、国税庁の『適格請求書保存方式の概要』を参考資料として進められた)。

「インボイス」って何?

インボイス制度が導入されると、請求書や領収書
などには、例示の赤字の部分、すなわち
「登録番号」「適用税率」「税率ごとに
区分された消費税額等」の記載が必要になる。
(図表は国税庁『適格請求書保存方式の概要』より)

 ご承知のように、消費税は、商品(製品)の販売やサービスの提供などの取引に対して、消費した者(企業や個人)に課される税金(標準税率10%、食品などは軽減税率8%)。売った企業が消費者に代わって税務署に納付する仕組みになっている。
  その売った企業も、原材料の仕入れなどの際に消費税を払う。従って税務署へ納付するのは、売った時に徴収した消費税額(売上税額)から買った時に支払った消費税額(仕入税額)を引いた(差し引くことを仕入税額控除という)差額。つまり、「納付する消費税額=売上税額−仕入税額」となるわけだ。
 現行の「区分記載請求書等保存方式」(令和5年9月30日まで)では、一定事項が記載された帳簿の保存、区分記載請求書等の保存が義務づけられているが、そこにインボイス制度(適格請求書等保存方式)が導入されるとどうなるか。前述の区分記載請求書の保存に代えて「インボイス(適格請求書)」等の発行・保存が求められるようになる。
  崎山コーディネーターは消費税のアウトラインと令和5年10月1日からの変更の大枠をこのようにまとめた後で、インボイスとは何か、インボイス制度とは何か、インボイス制度導入で何が変わるかなどについて話を進めた。
  インボイスとは「売手が買手に対し正確な適用税率や消費税額等を伝えるもの」だ。「名称は従来の請求書、領収書、仕切書等でもよく」(崎山コーディネーター)、具体的には従来の請求書、領収書等(つまり区分記載請求書)に、インボイス発行事業者の「登録番号」、「適用税率」および「税率ごとに区分した消費税額等」の記載が追加されたものをいう。また、不特定多数の者に対して販売等を行う小売業や飲食店業、タクシー業者らは、インボイスに代えて簡易インボイス(適格簡易請求書)を交付することができる。

実務や運用で主に変わるのは・・・

インボイスについて講演される富山県よろず支援拠点の
崎山強コーディネーター。

 そして崎山コーディネーターは、インボイス制度への変更に伴って、実務や運用の主な変更点は以下のようなものと俯瞰(ふかん)し、それぞれに解説を加えた。
1)インボイスは登録を受けた事業者のみが交付できる。
2)インボイスには、一定の事項を記載する必要がある。
3)登録を受けた事業者には、インボイス等を交付する義務が生じる。
4)仕入税額控除の適用を受けるためには、インボイス等の保存が必要となる。
5)税額の計算方法が変わる。
6)インボイス発行事業者の登録を受けるには、登録申請手続きが必要。
7)国税庁の『適格請求書発行事業者公表サイト』で、公表事項を確認できる。
 このうち主だったものを概説しよう。
 まずは、1)の「登録を受けた事業者」だ。課税売上高が1,000万円を超える事業者は消費税の納税義務者(課税事業者)となり、今回の制度変更にともなって登録すればインボイスの交付事業者となるが、「悩ましいのはフリーランスや家での内職を生業にしている方々。その多くは課税売上高が1,000万円以下で消費税の納付が免除されている人びと(免税事業者)で、今回の制度改正で免税事業者がインボイスの登録事業者になるか、どうか迷っている」(崎山コーディネーター)という。
 インボイスの交付は「インボイス発行事業者」として登録した者に限られる。そのため、登録をしない免税事業者が発行した領収書等は、仕入税額控除の対象から外されてしまう。免税事業者が、仕事の発注先の経理処理を“忖度”して、「インボイス発行事業者」として登録すると、課税事業者になってしまうというわけだ。

インボイス交付後の値引きはどうする?

講演終了後には、受講者から質問が相次いだ。

 続いては3)のインボイスを交付する義務について。インボイスは取引の相手方(課税事業者)の求めに応じて交付されるが、交付後に値引きがあった場合、よくあるのは振込手数料分を差し引いて振り込んでくるケースだ。一般的な値引きの際は、適格返還請求書を交付すればよいのだが、手数料分の値引きの場合は「いくら値引きしたという請求書を改めて発行するのではなく、翌月の請求書に入金値引いくら(例えば880円)と記載すれば、手数料分が売掛金として残らなくなる」と崎山コーディネーターは税理士ならではのアドバイスをし、「値引きのインボイスそのものを出すのが嫌な場合は、元の請求書に入金値引の項目を追加して修正インボイスを交付したらよい。記載内容に誤りがあった場合も同様に修正インボイスを交付し、修正前のインボイスは回収してください」と付け加えた。
 4)の仕入税額控除の適用を受けるためには、インボイス等の保存が必要であるが、「豆知識」として崎山コーディネーターは「帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められるケース」を例示された。その1つは、「公共交通機関である船舶やバス、鉄道などによる旅客運送の費用です。交通機関に、業務上の利用すべてにインボイスの交付を義務づけると、大変な混雑・混乱を招来し、現実的ではありません。ただし免除されるのは、3万円未満のものに限られる」という。その他、古物商や宅建業者、リサイクル業者が仕入のために資産を購入する場合も帳簿のみの保存で仕入税額控除は認められるものの、「宅建業者が自分の住まい用に住宅を安く仕入れて使うことは、控除の対象にはならない」とクギを刺された。
 5)以下や、制度の詳細解説については、国税庁発行の『適格請求書等保存方式の概要』をご覧いただきたい。同パンフレットはpdfとして同庁のホームページに掲載されているので、他の資料も合わせて参照をお勧めするところだ(『適格請求書保存方式の概要』へのリンクは本文末に紹介)。

「ゼロゼロ融資」の返済が始まるが・・・

板橋区立企業活性化センターの中嶋修センター長。
新聞記事などから直近の経済状況を紹介しながら、
今後の中小企業支援のポイントを話された。

 続いて紹介するのは、ウィズコロナ、アフターコロナを見据えて、中小企業の活性化について語られた中嶋修氏(板橋区立企業活性化センター長)の講演だ。テーマは「油断大敵 ウイズコロナ対策 災害と倒産」。中嶋センター長はもともと、ある企業の経営者だったが、負債総額380億円の大型倒産および自己破産を経験し、どん底から立ち直った経験を持つ御仁。猛勉強の末、支援してくれた弁護士の勧めで企業再生コンサルタントになり、「経営不振や資金繰りの悩みは実体験として経験し、相談に来る社長たちの苦しい胸の内が理解できる人」と、経営者に寄り添うコンサルタントとして名を馳せるようになった。
 その中嶋センター長が今、懸念しているのは長引くコロナ禍を遠因とする「あきらめ倒産の急増」だ。中でも東京の飲食店は営業自粛の協力金やコロナ対策のゼロゼロ融資(実質無利子・無担保)により食いつないできたものの、店の体力が低下しているところに元本の返済が始まり、また有利子負債の金利が上がることも想定されているところから、倒産や廃業が増えるのではないかと推測されるという。こうした傾向は、東京のみならず全国的にも見られ、円安や原材料の高騰、ウクライナ・ロシア戦争によるエネルギーの高騰が経営の悪化に拍車をかけている、と指摘する。
 中嶋センター長は、飲食店をはじめとする小規模事業所や中小企業を取り巻く経済環境をこう概観した後で、「コロナ対策融資で民間の金融機関は好業績を収めてきたが、ゼロゼロ融資の元金返済が本格化する来年の春には、倒産による焦げ付きが懸念され、その場合は公的機関の信用保証協会が肩代わりするようになる」と語った。信用保証協会が債権を回収できない場合は、公費、つまり税金で穴埋めされるわけだ。
 その過程で、金融機関の支援姿勢が問われるようになり、「金融機関は変わらざるを得なくなる」と中嶋センター長はみている。その方向性を一言で表すと「リレバン」。「リレーションシップ・バンキング」を略した言葉で、地域密着型の金融機関が求められるようになるという。単に担保を取って融資するのではなく、経営者と金融機関が一緒になって収益力を強化する計画書を作成し、その実行を金融機関が支援する。そうした地域に密着した金融機関が、今後生き残っていく、というのだ。

まずは、社長に覚悟させる

参考に配布された資料を注視する受講者。

 板橋区立企業活性化センターは、平成21年の設立以来、累計で646社(令和4年3月末時点)の経営改善を支援してきた。そこでのモットーは、いわゆるゾンビ企業はないということ。ゾンビ企業とは、実質、経営が破綻しているにも関わらず、返済猶予など金融機関の支援によってかろうじて生きながらえている企業のことをいうが、中嶋氏は「中小企業の経営改善を支援する私たちには、ゾンビ企業はありません。その企業は雇用や地域活性化などで地元に貢献してきたのではないか」と企業再生コンサルタントとしての矜持(きょうじ)を示し、これまでの経験から「支援の際には、経営者の説得・覚悟づくりが再生成功の鍵になる」と力説した。
   「社長の考え方・行動さえ変われば、業績の改善が見込めるのに、その社長が変わらない。なぜか。変わろうとする覚悟がないからです。覚悟のない経営者にどれだけ変革を訴えても、経営改善は無理です。では誰が説得して、覚悟させるのか。一番説得力があるのは金融機関、それもメインバンクです。メインバンクが、意識を変えないと倒産する。倒産したらどうなるか。場合によっては弁護士同席の下、借入の全体像や担保設定の状況、連帯保証、自己破産、将来の生活などを具体的に語り、覚悟を迫るのです」と中嶋センター長は語り、「その時に留意すべきは、人間だから失敗することや心変わりすることもある、と許す気持ちを持って接し、生活保護や家族の支援があることなどもわかってもらうことが大事。社長が覚悟した上で策定した改善計画は、信用保証協会や民間金融機関、日本政策金融公庫等の協調会議に持ち込むことができる」と続けた。

9割の企業が業績改善

会場には中小企業の経営者のほか、経営コンサルタント、
金融機関、税理士など中小企業との接点が多い事業者も
詰めかけた。

 板橋区立企業活性化センターの経営改善チームは、「社長の合意と覚悟がある」ことを前提に以下のように支援しているという。
・どんなに悪い状況の企業でも支援する。
・土日、祭日、夜間の相談にも対応(予約制)、徹底的に寄り添う。
・金融機関へも同行。資金繰り表、経営改善の計画書を一緒に作成。
・活性化センター登録専門員の支援(無料)と完成するまでのモニタリング体制を整備する。
・相談内容により、専門員(税理士、弁護士、実務専門家など)とチームを結成する。
・区内金融機関との連絡網を構築する(支店長、融資担当者、本部責任者)。
・日本政策金融公庫、信用保証協会、商工中金との支援ネットワークを結成する。
 経営改善チームのこの基本姿勢は「板橋モデル」と称されるように。講演の11月11日時点では支援企業は700社を超え、「うち70社近くは残念ながら破綻してしまいましたが、9割の企業は改善に向けて歩み出した」(中嶋センター長)そうだ。
 楽観は許されないものの、昨今はウィズコロナ、アフターコロナをにらんで、経済活動は活性化の方向に舵が切られつつある。その一方で不安材料も目につくようになってきた。
 「コロナ禍はかつてのような猛威がなくなり、経済活動の100%再開が望まれるようになりましたが、金利上昇や資材費高、そしてエネルギー費高騰というマイナス要因も顔をのぞかせています。経済活動再開に油断することなく、中小企業の経営改善に取り組みたい」と中嶋センター長は語り、板橋モデルの「経営改善計画作成のフロー図」を示して講演を締めくくられた。

板橋区立企業活性化センターの経営改善チームが用いている経営改善計画のフロー図。(作:中嶋修センター長)

○問合せ先:富山県よろず支援拠点
所 在 地:〒930-0866 富山市高田527 情報ビル1階
      (公財)富山県新世紀産業機構内
TEL 076-444-5605  FAX 076-444-5646

URL : https://toyama-yorozushien.go.jp

作成日  2023/01/31

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