T-Messe2025富山県ものづくり総合見本市開催   TONIO Web情報マガジン 富山

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T-Messe2025富山県ものづくり総合見本市開催

 

オープニングセレモニーの様子(写真上)。写真
下は会場東館の様子。

 「コロナ前の賑わいが戻ってきたようだ」
 と多くの来場者が口にしたのは富山県産業展示館で開催された「T-Messe2025富山県ものづくり総合見本市」(10/30〜11/1)のこと(以下、本稿ではT-Messeと略す)。2023年(令和5年)に開催された前回のT-Messeは、コロナ禍から明けつつある時に行われたとは言え、少し影を引きずっているようなところがあったが、今回は出展者が前回より約25%増えて国内外361社(団体、機関等含む。以下同)に。工作・産業機械、電子・電機、IT、プラスチック、アルミ、繊維、医薬品、化学などの企業が自慢の技術や製品を紹介した他、AIを活用したシステムやサーキュラーエコノミーについての取組みを展示する企業・団体もあるなど、従来にも増して多彩な見本市となった。来場者は31,000人を超えた。
 今回のT-Messeでは、海外から9カ国(地域含む)・55社の参加を得たが、本稿では海外から出展した企業・団体のコメント、メーカープレゼンテーションなどを紹介しながら、T-Messeの様子をお知らせする。

「富山県企業の調達をサポートしました」

大韓貿易投資振興公社(名古屋事務所)の鄭舜靭
さん(写真上)と韓国からの出展者ALUSの製品
例(写真下)。

 最初にお話をうかがったのは、大韓貿易投資振興公社(KOTRA)の鄭舜靭さん。同公社は日本貿易振興機構(JETRO)に相当する韓国の政府系機関で、鄭さんはその名古屋事務所に所属し、日韓の企業の貿易や投資のサポートを担当している。
 鄭さんが語った。
 「KOTRAでは2023年のT-Messeから参加しています。その時は韓国のある自治体が、日本企業に投資を呼びかけたいというので、そのサポートのために出展しました。今までKOTRAは東京、大阪、名古屋、福岡を中心に活動してきましたが、日本の地方都市にも目を向けようということになり、その1つに富山県が候補に挙がりました。富山は地方都市とはいえ、ものづくりが盛んな地域のようですから、よい出会いを期待しています」
 KOTRAでは今回、富山でのビジネスマッチングに興味のある企業を募った。すると8社の韓国企業が手を挙げ、そのサポート役としてKOTRAは出展したのだ。8社はいずれも金属加工、電気・電子・機械部品の製造などをメインとする企業で、アルミ建材や産業機械、自動車部品の製造が盛んな富山県の企業とのマッチングを期待しているようだ。
 「日韓の企業の貿易や投資のサポート」というと、日本企業からの相談にも乗っていただけるのか。そのあたりを鄭さんにうかがうと、次のような答えが返ってきた。
 「もちろん歓迎しますし、過去にもそういう例がいくつもあります。富山県の企業からの相談で、医療用品の販売会社と工作機械メーカーから、『韓国企業からの調達を検討している。適切な企業を紹介して欲しい』と連絡を受けました。日本の皆さんでしたら一般的には、JETRO経由で韓国の業界団体や企業に相談されると思いますが、直接KOTRAにご相談いただいても構いません。KOTRAでは、商談のために韓国に来られる外国企業の交通費や旅費の一部を助成する制度がありますから、ぜひ利用してください」

富山大好きが高じて・・・

富山ファン俱楽部の世話人の1人である劉同強さ
ん(写真上)と今回のT-Messeに参加した企業
の皆さん(写真下)。

 「富山ファン倶楽部」は、富山県への留学や仕事での駐在の経験のある中国の人々(主に大連市・瀋陽市の人々)が中心になり、富山県との交流を続け、深めている団体だ。設立は富山県大連事務所が開設された2004年(平成16年)である。
 「2019年のT-Messeに初めて参加して、今回は2回目です。『富山で開催される総合見本市に出展しませんか』と中国の企業に呼びかけ、賛同していただいた企業の方々が来日しています。中には富山ファン倶楽部の会員でない経営者の企業もあります。前回は10社くらいが出展し、商談は1件まとまりました」
 と振り返るのは、倶楽部の世話人の1人である劉同強さん。富山大学への留学経験を有し、今は中国有数の弁護士事務所(北京大成(大連)律師事務所、中国国内に55カ所の支社を有する)に勤め、弁護士として活動している方だ。劉さんによると、富山ファン倶楽部のような日本の都市にゆかりのある組織は、中国に他にはないとのことである。
 劉さんが続けた。
 「2019年のT-Messeに出展し、ビジネスマッチングに成功した中国企業の経営者は、本業のかたわら名古屋にオフィスを構えて、中国企業が日本で事業を展開するための支援を行っています。富山と大連という、両国の地方都市の友好関係が、富山ファン倶楽部という民間企業同士の交流に発展し、それが縁でまた交流の輪を広げていく好事例となりました」
 ちなみに初期のファンクラブの会員数は約200名。富山県大連事務所の開設以来、富山県の企業が大連の産業展示会等に参加する機会も増え、交流は深まるばかり。今年の3月には会員数は420名を超えるまでに。劉さんは「特段の事情がない限り、次回のT-Messe にも参加したい」と意気軒昂に語り、ファン倶楽部のさらなる発展を期するのだった。

「富山は金属加工の企業が集積し、魅力ある地域です」

写真上は台日産業技術合作促進会事務局長の張淑芬
さん(右)と劦井實業股分有限公司のマネージャー・劉怡君
さん(左)。写真下は劦井實業股分有限公司が扱ってい
る製品の一例。

 続いてお話をうかがったのは台日産業技術合作促進会の事務局長・張淑芬さん。同じく台湾から出展していた劦井實業股分有限公司(「分」はニンベンに分、以下同)のマネージャー・劉怡君さんも同席され、まずは促進会の役割からうかがった。答えたのは促進会の張さんだ。
 「当促進会は台湾の企業を会員として、日本企業とのビジネス交流や日本への投資、進出などの希望を有する台湾企業をサポートしています。2年前、熊本に半導体工場の進出が決まり、その準備が進められましたが、そのビジネスマッチングのサポートをさせていただきました。半導体などの製造業だけでなく、最近ではサービス業の分野でも日本でのビジネスに関心を持つ台湾企業が増えてきました。今後はその分野での活動も増えてくると期待しています」
 台湾企業は、日本の大都市周辺のみならず、地方都市でのビジネスチャンスにも関心を持ち、そのサポートのために促進会は日本を東奔西走。最近交流のあった都市として埼玉、川崎、香川、仙台……の名を挙げた。促進会とのご縁を調べると、T-Messeの前身である「北東アジア経済交流EXPO」(略称「NEAR」)の時からで、2012年(平成24年)の見本市に参加したのが始まりの様子。促進会では毎回、10社前後の台湾企業を募り、この見本市に参加していたのだ。
 劦井實業股分有限公司がこのT-Messeに参加し始めたのは、2019年(令和元年)から。同社は、電子・電気・機械関係の部品・部材をはじめ、それらの材料(各種金属や樹脂)などを扱う商社で、母国台湾の他に日本、韓国、中国、インドネシアに拠点を設け、前記製品の輸出入を主な業務としている企業だ。
 「富山県は金属加工に関する企業が集積し、工作機械や産業機械のメーカーも多数あります。また自動車や電子・電気関係の部品づくりも盛んで、当社にとっては魅力ある地域です。このT-Messeに出展されている地元企業の方々、見学に来られる地元企業の方々との新たな出会いを期待しています。他には、当社のお取引先から、『金属加工のある技術を有する企業と取引きしたいので情報収集を頼む』と依頼されました。いろいろ調べましたら、その候補企業があるようです」
 と劉さんは語り、「ある技術」の概要について打ち明けた。そこで編集子らが心当たりのある県内企業の名前を挙げると、そのいくつかに劉さんは反応し、「実はそのうちの1社には、このT-Messeが始まる2日前に訪問し、製品を見ながら詳しくお話をうかがいました。お取引先が求めていたものに該当しますから、帰国したら報告します。多分この商談は進むのではないかと期待しています」と続けた。
 半導体の製造に関しては、一歩も二歩も先をゆくように見える台湾であるが、「製造や販売に関しては確かにそうですが、半導体の素材の技術では日本企業はたいへん素晴らしいものを持っています」「精密加工の技術も群を抜いており、信頼性が高く、ブランド力があります。その面で日本の企業とコラボしたいと思っている台湾企業はたくさんあります」と劉さんと張さんは相次いで語り、張さんは「日本企業の台湾でのビジネス展開についてもご相談を受け付けますので、お気軽に声をかけてください」と付け加えた。

金型供給の世界的なネットワークを

メーカープレゼンテーションで会社や自社製品の特徴な
どをスピーチする帥鋼模架(宜興)有限公司(SGモー
ルドベース)の王蓉さん。

 最後に紹介するのは、帥鋼模架(宜興)有限公司(SGモールドベース)の王蓉さんのメーカープレゼンテーションだ。王さんは「中国で製造し、全世界で共有する」と題して、SGモールドベースのカスタマイズや金型加工についてスピーチした。以下、要約して紹介する。
 *            *            *
 SGモールドベースでは高品質な金型製品を提供し、世界の市場で広く認識されています。このプレゼンテーションではポイントを絞って、会社や製品の特徴を紹介します。
 グループの創業者は王進平氏です。北京大学で企業管理について学び、利他を理念として事業を始めました。王進平氏は天路産業グループの会長を務める他、中国モールドベース産業協会会長や中国モールドベース・ネット企業連盟会長、中国中小企業シェアリング経済「宜興モード」創業者なども兼ね、中国の金型産業の発展に努めています。
 SGモールドベースの発展を3段階に分けてご紹介します。創業は2007年、江蘇省宜興市に拠点を構えました。翌年には東莞、北京、青島に支社を設け、上海にはオフィスも構えました。これによりSGモールドベースは急速に市場を拡大することができるようになり、その後のビジネス展開の基礎を築きました。
 2018年にはグループのアップグレードの道を開きました。宜興モールド産業パークの建設を始め、半自動化生産設備の導入を進め、自動化のためのソフトウエアの開発にも乗り出しました。これにより技術レベルと生産効率が大幅に向上し、SGモールドベースは業界の革新を先導するようになりました。
 そして2025年にはグローバル化を加速するようになったのです。複数の海外子会社を設立し、世界市場でのチャンスを得るようになりました。競争力を高め、またブランド力も得ています。
 続いて、SGモールドベースの技術力、製品の特徴などを紹介します。SGモールドベースでは、3.5m以下の特殊な非標準モールドベースを専門に製造し、最高精度はプラスマイナス0.01mmを実現し、金型製造では精密な技術を有しています。それを実現するために高精度な加工を可能とするCNC旋盤を150台以上保有し、それに付随する産業機械も多数導入しています。
 その結果、高精度な金型でも短納期が可能で、毎月3000セット以上の特注品の金型を製造しています。小型のモールドベースの場合は、7日以内の納品。特急対応の場合は、3〜4日以内の納品も可能です。
 SGモールドベースの金型は、多くの産業分野で活用されています。自動車関係や航空宇宙、家電・医療機器業界、生活用品の業界など広範囲に及ぶようになりました。多くの海外企業に製品を提供し、売上の85%は輸出によります。主な輸出先は日本、韓国、フランス、ドイツ、マレーシア、インドなどで、それらの国々のものづくり企業に製品を納めています。日本には子会社を設立する予定で、さらに市場を開拓したいと思っています。
 SGモールドベースでは、顧客満足を評価の基準にし、顧客の利益を最優先することを心がけてきました。これは単なるスローガンではなく、日常の業務の中で実践しています。こうしたことをコアにして、技術革新をさらに進め、工場の自動化・スマート化を徹底していきます。
 SGモールドベースは、お取引先企業の発展に協力し、新たなビジネス発展の機会を創出しています。この展示会での出会いを通し、お互いの利益を生み出す一歩にしたいと思っています。
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 T-Messe2025富山県ものづくり総合見本市では、「バイヤー招へい商談会」や「海外投資環境セミナー」などのコーナーを設け、県内企業のビジネスチャンス拡大を図る他、未来のものづくり人材確保の種まきとして「科学ものづくり教室」「中学生ロボ魂 とやま大会」「ミニドローンプログラミング体験教室」なども実施。子どもたちの歓声が、会場の富山産業展示館にこだましていた。

○問合せ先
所 在 地:〒930-0866 富山市高田527 情報ビル2F
      (公財)富山県新世紀産業機構
アジア経済交流センター
TEL 076-432-1321  FAX 076-432-1326

URL : https://www.tonio.or.jp
     https://www.near21.jp

作成日  2025/12/18

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