第46回 株式会社TAPP 小さな元気企業応援事業 若者・女性等創業チャレンジ支援事業 TONIO Web情報マガジン 富山

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第46回 株式会社TAPP

ルアーの開発に大きな“あたり”を感じ
いずれは世界進出も視野に

ニューヨーク近代美術館MoMAにセレクトされたイカ型USB。

 TAPP(タップ)という会社をご存じだろうか。ユニークな商品開発に取り組んでいるため、商品のひとつイカ型USBメモリーは富山プロダクツに選定されたばかりか、ニューヨーク近代美術館MoMAにもセレクトされ、一躍脚光を浴びた。また独自の技術や製品、サービスを提供している企業を顕彰する射水市のきらりカンパニー顕彰事業で、創業5年未満の企業を対象にしたルーキー賞に輝く(2017年2月)など、昇龍の勢いを持つ企業だ。
 特にここ2年ほど注目を集めているのは、同社が開発したイカ型ルアー(釣具の一種、疑似餌)である。その開発にあたっての姿勢には並々ならぬものがあり、なんと丸山達平社長は「魚の生態や特性を知った上で商品開発に取り組みたい」といって平成25〜26年の2年間、漁師になったのだ。
 「もともと私は造形屋で、鋳物の原型をつくったりしていたのですが、徐々に関心が広がり造形の技術を活かして釣具をつくりたいと思うようになりました。そこで単に既製品を真似るのではなく、漁業に従事しながら魚のことを身をもって知り、その上で釣具をつくりたい、と。新湊の漁師の方々の協力を得て船に乗せていただき、また魚について多くのことを教えていただきました。それらが釣具開発のヒントになっています」

漁師の経験を活かして商品開発

漁師の経験を商品開発に活かした丸山達平社長(上)と、
小型化されたイカのルアー。小型化により対象魚が増え、
釣果も上がると評判になった。

 そういいながら丸山社長はホタルイカ型のルアーを取り出し、「最初につくった時はもっと大型でしたが、小型化やバリエーション展開をするにあたって新世紀産業機構の助成事業を活用させていただきました」と続けた。
 その助成事業のひとつが「若者・女性等創業チャレンジ支援事業」(平成27年度)だ。同社ではこの事業に採択されたのを機に、イカ型ルアーの小型化と水中での動きを本物のイカに似せるような工夫も行ったのだ。
 「例えば、水揚げされたたばかりのホタルイカは生き生き・ツヤツヤしていて、魚屋で売られているのとはまったく違います。フクラギやブリ、タイなどは生きて泳いでいるイカを食べているわけですから、それに近づけるのが正解で、そこからバリエーション展開が始まるのではないかと思ったのです」
 丸山社長の言葉には、漁師経験の裏付けがあるだけに重みが感じられる。
 この小型化したイカのルアーを、同事業の支援を受けて出展した釣具の展示会「名古屋キープキャスト2016」で紹介したところ、バイヤーや問屋だけでなく一般客の“食いつき”がよく、幸先のよいスタートとなったのだ。そして実際に購入した釣り人からは「手応えがまったく違って、釣果(ちょうか)が上がった」と絶賛されるようになったのである。
 公的な助成制度を活用しての商品開発と販路開拓に手応えを感じた丸山社長は、28年度に入って今度は「とやま中小企業チャレンジファンド事業(小さな元気企業応援事業)」の採択を受けて、高岡銅器の鋳物の技術を応用してのルアー開発と販路開拓に取り組んだのだ。
 「高岡銅器の鋳物技術の応用というのは、具体的には鉛レス化の技術です。また販路開拓の取組みは、自社のWebコンテンツの充実やSNSとの連動の他に、雑誌広告の出稿、展示会出展などについて支援していただきました」(丸山社長)
 鉛レス化については、環境保護の観点から家電業界などで取り組まれ、高岡の銅器業界も先駆けて取り組んできており、その技術をTAPPのルアー開発にも活かそうというもの。Webコンテンツの充実などについては、年度末を目標に準備中であったため読者の皆様には別途確認いただくとして、雑誌広告の紹介、展示会の出展について詳しく紹介しよう。

公的支援で勢いをつけて「世界に」

『ロックフィッシュ地獄2016-2017』の表紙と
そのトビラに掲載された同社の広告。

 広告について正確にいうと、雑誌と書籍の機能を併せ持ったムックへの出稿だ。『ロックフィッシュ地獄2016-2017』の表紙を開けたトビラのページに同社のルアーの広告を掲載。続いて本文中4ページにわたって富山湾での使用感などが記事で紹介されている。発行は2016年12月だ。また展示会の出展は、「ジャパンフィッシングショー2017」で、この取材の2日前の3日間(1/20〜22)、みなとみらい・パシフィコ横浜で開催された日本最大の釣具のビジネスショー。数日前の興奮冷めやらぬ様子で丸山社長が語った。
 「この展示会には一般客も入り、今回は38,000人くらいの入場があったようです。中でも当社のブースは人気で、一通り会場を回った後で再び当社のブースを訪れ、『ここの商品が一番よかった』『TAPPのルアーに魅力を感じる』などと話す来場者がたくさんいましたし、バイヤーさんとのコンタクトもできて、これからの商談が楽しみなところです」
 こうして販路開拓に勢いがついたところで、県に申請していた経営革新計画が1月末に承認されたという知らせが届いた。この申請には、中小企業支援センターのマネージャーが支援したのだが、「商品開発と販路開拓をもっと進め、海外展開のチャンスをうかがいたい」という丸山社長の夢を実現するためにはぜひとも必要ではないか…というところから、申請に至ったのだ。
 「おかげさまで当社のルアーの認知度が徐々に上がり、生産が追いつかずお客様に待っていただくことがありますが、経営革新計画の承認が下りたら、まずは生産体制を整えたい」
 これは承認が下りる1週間ほど前に丸山社長が語ったことだが、同社のルアー同様に公的助成制度の“あたり”は大きいようだ。

「名古屋キープキャスト2016」(左)と「ジャパンフッシングショー2017」の同社ブースの様子。

所在地/射水市赤井218-4
代表者/丸山 達平
資本金/100万円
従業員/2名
事 業/FRP樹脂製品製造、銅器原型製作、ルアー製造、カヌー製造等
TEL/0766-53-5319 FAX/0766-53-5329
URL/http://www.tapp-craft.com/

作成日  2017/03/24

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