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第62回 株式会社川村水産

富山の海の幸を相次いで商品化
モンドセレクション金賞に続く商品を

富山湾の海の幸、ほたるいかや白えび等の
加工品を展開する川村水産の川村雅江社長
(写真上)と、当機構の支援を受けて最初に
開発した「白えびごはんの素」(写真下)。
ファンが多くロングセラー商品になっているという。

 「これからは女性も働く時代だ」
 昭和の半ばを過ぎたころ、こんなことをいう女性が滑川にいた。その人の名は川村和子さん。(株)川村水産の三代目社長だ。
 昭和初期の創業以来、同社はほたるいかの桜煮の販売をしていた。その際、季節工として地元の主婦らを3カ月ほど雇用していたが、女性の社会進出に意欲的であった三代目は冒頭のように思い、もっと長く働いてもらおうと、沖漬け、塩辛、黒作りと商品アイテムを徐々に増やしたのだった。
 その過程で、雇用期間は少しずつ延長することに。冷蔵・冷凍技術が格段に進歩した昭和の終わりころには、通年で雇用できるようになり、個人商店として運営していた事業所はのちに法人化され、平成5年に(株)川村水産として新たなスタートを切ったのだ。
 商品はもっぱら市場(いちば)に卸し、仲買人を通して食品スーパーなどで販売されていた。売り上げは安定し、経営も順調であったが、「常温で販売できる商品を開発したい」と十五、六年前に当機構を訪ねて相談。当時あった支援メニューの「地域資源活用プログラム」の助成を受け、三代目社長が白えびを使っての商品開発に取り組んだ。そしてでき上がったのが、「白えびごはんの素」。炊き上がったごはんに混ぜ合わせるだけで、白えびの炊き込みごはんが味わえる。きのこやにんじんも入っておいしく食が進み、白えびの風味に魅せられる消費者が今も後を絶たないそうだ。
 

ほたるいかや白えびを役者に見立て・・・

北陸新幹線開業にともなう旅行者増を見込んで
開発した「TOYAMA」。富山の三大海産物のほたるいか、
白えび、ぶりを素干しやジャーキーにしたもの。
写真はパッケージの表と裏。

 「先代社長は、沖漬けや黒作りの他に『白えびごはんの素』も持って、デパート等で開催される『富山県のうまいもの市』などの物産展によく参加し、商品のPRと販路開拓に努めました。おかげで『白えびごはんの素』はロングセラー商品となり、今日も多くの方々にご愛顧いただいています。この時の商品開発がご縁で、この後、新世紀産業機構にはいろいろ相談させていただくようになりました」
 こう語るのは、川村雅江さん。先代から事業を引き継ぎ、従前以上に商品開発や販路開拓に取り組む川村水産の四代目社長だ。
 その手始めは、北陸新幹線開業(平成27年3月、金沢-長野間)により増加が見込まれる旅行者向けの土産物の開発。「とやま中小企業チャレンジファンド事業 ビジター対応ビジネス支援事業」の採択を受けて、平成26年には「白えびのふ」、同30年にはほたるいか・白えびの素干しとぶりのジャーキーをセットにした「TOYAMA」を商品化したのだった。
 「沖漬けや黒作りは要冷蔵で、夏場や暖房の効いた列車内などは避けた方がよく、それでは旅行者にはなかなか手に取っていただけません。そこで富山を代表する海産物を加工し、常温でお持ち帰りできるお土産を開発したのです」(川村社長)
 「TOYAMA」はパッケージにもこだわった。デザインは県内在住の日本画家である。地方でよく見る“昔ながらの特産品の土産物セット”的なデザインではなく、「女性や外国人にも手にとってもらえるパッケージデザインにしたい」と川村社長が伝えたところ、画家はパッケージを富山湾劇場に仕立て、ほたるいかや白えびを役者に見立てたのだ。また基調の青い色も、幾度かの推敲を経て、富山湾のあいがめを連想させる色調に落ち着いたという。
 両商品ともに販売はJR富山駅構内の売店や周辺の土産物店、新幹線の新高岡駅・黒部宇奈月温泉駅などの売店、富山きときと空港売店の他に、県内の高速道路のサービスエリアや道の駅などで行われ、旅行客の注目度は高いようだ。

コロナ禍の中でも積極的に商品開発

女性にも手に取りやすいようにとデザインの
リニューアルが図られた「ほたるいか沖漬け」等
(写真上)と、コロナ禍中に助成事業を活用して
商品開発された「白えび白トリュフ」と
「ほたるいか沖漬け姿干し」(写真下)。

 令和2年早々に始まった新型コロナウイルス蔓延による観光需要の激減は、同社にも平等に襲いかかってきた。そこで川村社長は商品パッケージのデザインのリニューアルを検討。その際「とやま中小企業チャレンジファンド事業 小さな元気企業応援事業」(令和3年度)による支援を求め、また「TOYAMA」のパッケージデザインを担当した日本画家に、「水引きをモチーフにして、女性が手に取りやすいデザインにしてほしい」(川村社長)と協力を仰いだのだった。
 当時を振り返って川村社長が語る。
 「以前のデザインは、『お父さんの晩酌のお供に』というような感じでしたが、これでは女性客は手に取りにくいという現実があります。実際召し上がるのはお父さんかもしれませんが、財布の紐を緩めるのは女性です。当社商品はネット上でも販売し、ショッピングサイトにも出品していますが、女性の目線は意識しないといけません」
 おかげで売り上げが伸びた。取り扱い店が増えたこともあるが、既存の取引先が、従来は1種類の商品しか店頭に並べていなかったところを、リニューアル後は2種類、3種類とアイテム数を増やしてくれたそうだ。
 同社ではまた、コロナ対策で行われた公的な助成事業を効果的に活用。令和2年度には「富山県地域企業再起支援事業」の採択を受けて、商品パンフレットの作成と工場の換気システムの改善に取り組んだ。そして翌年度には「富山県中小企業リバイバル補助金」の支援を受けて、白えびを白トリュフのオイル漬けにした「白えび白トリュフ」の開発と販促に、また「富山県小規模企業者緊急支援補助金」に採択されたことを機に、ほたるいかの沖漬け姿干しの商品化と販促にチャレンジしたのであった。
 「おかげさまで『白えび白トリュフ』はたいへんな人気です。また『ほたるいか沖漬け姿干し』も当社の主力商品『ほたるいか沖漬け』を彷彿とさせる味わいで、干されているため常温でも扱いやすいと好評です。コロナ禍で苦しい時に商品開発ができ、また販促に取り組むことができたのは幸運でした。弊社の『ほたるいか沖漬け』は、8年連続モンドセレクション金賞を受賞していますが、支援事業で開発された商品もこれに続いてくれたらと願っています」と抱負を語った川村社長は、「できれば年に1つ新商品を開発し、お客様に発信したい」と意気軒昂に続けた。

所在地 / 滑川市三穂町1666
代表者 / 川村 雅江
資本金 / 1,000万円
従業員 / 18名
事  業 / ほたるいかの沖漬けなど富山湾の海産品の加工品の製造・販売
T E L / 076-475-7058
U R L / https://www.kawamurasuisan.jp

作成日  2023/02/28

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