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第54回 株式会社富山プレート

支援メニューを活用しての商品開発に臨むと
社員がいつも意識し、社内に活気が出てきた

同社の代表的な製品の工業用銘板。注意喚起や作業指示などの
ために、工場や機器の周辺に張られる(写真上)。銘板作成の
技術を応用して、観光地の案内板の制作にも取り組み始めた。
写真(下)は入善町の杉沢の沢スギについての案内板。

 「新世紀産業機構とのお付き合いは、かれこれ19年。機構設立当初、インターネットによる商品販売の勉強会があって、ホームページのつくり方、ホームページ経由での受注の仕方などを詳しく指導いただきました。ホームページが普及し始めた時で、そんなことをしている企業はまだ少なかったという記憶があります。でも私は売上げの一助になるのならばと思って、勉強会に通い、自社のホームページを開設しました。すると、今までは富山県内の企業を中心にご注文をいただいていたのですが、ホームページ経由での販売を始めると、全国の企業から注文が入り始めたのです。それ以来時々、中小企業支援センターのマネージャーを訪ねて相談し、アドバイスをいただくようになりました」
 そう語るのは、富山プレートの西島ことぎ社長。同社は工場や工作機械、列車などに張られる「火気厳禁」「旋回注意」「指つめ注意」など、注意喚起や作業指示などの業務用銘板・表示板、機械のコントロールパネル等を制作しており、近年は用途を広げ観光地の銘板作成などにも取り組んでいる。

専門家のアドバイスで事業計画を作成

5年前の移転の際に新築した同社の社屋。派遣された専門家の
指導を受けながら建設費の返済計画も含めて、10年の事業計画
を作成し、売上計画はほぼその通りに達成してきた。

 その西島社長が、専門家派遣事業を活用して経営上の課題についての指導を受けたいと来訪されたのは、平成26年の夏のこと。「社屋の移転新築にあたり、建設費の返済も含めて向こう10年の事業計画を策定しようと思った」(西島社長)ところから、専門家の招聘を企画されたのだ。
 「この頃、当社では国のものづくり補助金の支援を受けて、銘板作成の自動化を進めていました。専門家からは『それをさらに進めたらよい』とアドバイスをいただいた他に、『富山県には工作機械のメーカーが多いから、それらの企業とともに発展することを考えたらよい』と助言をいただきました」(西島社長)
 つまり、工作機械メーカーに銘板制作の営業をかけたらよいというのだ。その助言を受けて、こまめにメーカーまわりを行っていると、中国の他に東南アジアや中東の国々への機械の輸出が徐々に増加。各国の言語に対応した銘板や制御盤も求められるようになり、富山プレートの制作現場にも活気がもたらされ、事業が順調に進んだところから移転計画も進んだ。
 そして新社屋を建設すると、またもや課題が・・・。移転にともなって、世に言う断捨離(だんしゃり)が必要になり、また移転した後の現場の整理整頓が長く続くことを希望した西島社長は、今度は5Sの専門家を招いて(平成27年9月)その指導を仰いだのだ。(※ 5Sとは、整理・整頓・清掃・清潔・躾 の頭の文字をとったもの。)
 「旧社屋時代でも20〜30年は広げていない資料がいくつもありました。そこで、たまたまこの間見なかっただけで、将来は必要な資料なのか、あるいはこの先も見ることがない資料なのかを、専門家の意見をうかがいながら整理し、不要なものは破棄しました。また工具の社内での置き場、すなわち工具の住所を決め、使い終わったら定位置に戻すことを徹底しました」
 西島社長によると、工具をもとの場に戻すことは全従業員の理解と協力が必要なため時間を要したようだが、工具を探す時間が短くなるにつれて生産性が上がったことを実感した社員は、5Sが自然にできるようになってきたという。

10年先を見越して新商品開発に

上の写真は試作品のファブリックパネル。インテリアの1つとして
近年注目されている。下の写真は、1mmに満たない厚さの銅、
真鍮の板を、レーザー加工で葉脈を再現した試作品。

 一方で同社では、銘板作成の技術を応用して新しい商売のタネを生み出そうと、地域資源ファンド事業を活用(平成28年10月からの3年度)しての商品開発に挑戦。立山杉を使ったパネルに城端のしけ絹を張り合わせ、そこに同社が銘板製作で培った印刷や表面処理の技術を施してインテリアのアクセントにするファブリックパネルの開発に挑んだのだ。
 「パネルについては試作品をいくつもつくり、展示会等に出して皆さんの反応を見ているところです。そこでひとつおもしろいことが派生し、絹に印刷したものをスカーフにして販売したらどうかという意見が出て、それも商品化して販売しています。手捺染(てなっせん)という特殊な印刷技術を用いていますが、絹にきれいに絵やデザインを再現することができるため、女性を中心に人気が出ています」(西島社長)
 県内では高志の国文学館のほかに、高級宿泊施設、大型ショッピングセンターのファッションモールの一角で販売されており、お客様の反応を見ながら商品に改良を加え、同時に販売店の開拓にも努めていくという。
 同社ではまた、とやま中小企業チャレンジファンド事業の採択(令和元年8月)を受けて、 0.01mm~1mmの厚さの金属プレートに、超微細加工を施しての商品加工と販路開拓に取り組むことに。この取材の時点ではまだ途中であったが、地元では、高岡の銅器関連の業界やデザイン関係者から注目を集めたそうだ。
 「例えば葉っぱの葉脈を、高岡の鋳物の技術で再現するのは極めて難しいのですが、当社が持っているマシンと技術を応用すると、透かしも入れて葉脈を再現することが可能です。これからいろんなアイデアを掘り起こし、商品化を試みたい」と西島社長は意欲満々である。
 10年先、20年先を見越した氏の構想には、従来の工業用銘板だけでは事業の継続は難しいとの判断があるようだ。その基本的な考えの上で、新商品開発や販路開拓に臨んでいるのだが、公的な産業支援を活用しての商品開発に取り組むようになると、社員がつねにそれを意識するようになり、支援期間以外でも試作品をつくったり新商品のアイデアを持ち寄ったりするなど、社内に活気が出てきた。今後も新しい商品が生まれてくると期待ができそうで、楽しみだ。

所在地/富山県中新川郡上市町和合31-1
代表者/西島 ことぎ
資本金/1,000万円
従業員/12名
事 業/非鉄金属精密薄板加工、プレート製造、シール印刷
TEL / 076-472-3422

FAX / 076-472-3461
URL / http://www.t-pla.co.jp/

作成日  2020/02/28

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