第57回 一般財団法人富山市ガラス工芸センター 海外販路開拓商談会  TONIO Web情報マガジン 富山

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第57回 一般財団法人富山市ガラス工芸センター

「とやまのガラス」のオリジナルブランド開発
海外の市場を狙ってみると・・・

呉羽山の裾野に拠点を構える「富山ガラス工
房」。富山市の施策のひとつ「ガラスの街と
やま」を実現するための施設として、平成6
年4月に開設された。富山市ガラス工芸セン
ターは、その管理・運営を委託されている。

 タイトルや取材先の団体名をご覧になられて、「富山市の支援を受けている(一財)富山市ガラス工芸センターが海外展開を?」と思われる方も多いだろう。
 なぜ、同センターは海外展開を試みるのだろうか。
 富山市ガラス工芸センター(以下、「ガラス工芸センター」)は、富山市より富山ガラス工房(以下、「ガラス工房」)の管理・運営を委託されている。主な業務は、ガラス工芸品の研究・開発・制作、展示・普及など。またガラス工芸に関する研修および実習を通して、ガラス工芸に詳しい人材(ガラス作家)の育成などに努めているが、一方では運営費の一部を自前でまかない、活動範囲を広げている。
 その一環として、従来からガラス工房のショップで、ガラス作家の作品を販売したり、各種展示会に参加したりして「とやまのガラス」の普及を図ってきたところだ。それを今回は、国内の枠を超えて海外の市場も、うかがおうというのだ。

「なかなか量産できなくて・・・」

同センターの堀田裕子さん(写真上)とガラス
工房のショップの様子(写真下)。ショップで
は富山にゆかりのある100人超のガラス作家の
作品が販売されている。

 ガラス工芸センター営業企画部の堀田裕子さんが振り返る。
 「富山市が行う海外との交流事業に便乗させていただく形で、センターでは外国での展示・販売は幾度も行ってきましたが、それは単発の事業でした。継続的に海外を意識し始めたのは、令和元年頃からです。海外のユーザーからのネット販売の要望が増え始め、コロナ禍が始まった令和2年からはさらに増えるようになったのです」
 お話をうかがうと、同センター営業企画部では「平成」の終わり頃から海外展開を意識し始め、情報収集をされていたという。しかし実際に、その一歩を踏み出すことはできなかったそうだ。それは、ガラス工房で販売しているガラス製品は、一品ものあるいは数個単位という数に限りがあるものがほとんどで、多数のオーダーに応えることができないからだ。
 堀田さんが付け加える。
 「ガラス工房で販売している作品は、ガラス作家から委託されて販売しているもので、彼らは同じものを何十個、何百個とはつくりません。彼らにとってはアート作品なのです。当工房でも制作スタッフを雇用していますが、彼らも作家として独立することを目指しており、量産に取り組んでもらうのはなかなか難しいところがあります」

「富山アイコニック」を海外に・・・

同センターの坂井利英さん(写真上)と同セン
ターが参加した海外販路開拓商談会(令和7年
1月)の様子。ガラス工芸センターはこの時、
3社と商談し、うち1社と成約に至った。

 この、ある種の閉塞感を打ち破ったのが「富山アイコニック」だ。「富山アイコニック」は富山市の事業提案のもとで始まったオリジナルブランド。富山で活動するガラス作家が、それぞれの作家活動にとどまらず、ひとつのテーマのもとに共同で商品開発と制作に取り組むプロジェクトから生み出されたものだ。
 ひとつのデザインを、複数の作家が形にするため模様の出方などが若干異なるが、数十個、数百個レベルの量産が可能に。「富山アイコニック」のシリーズには、「一輪挿し」「ロング・ステム」「ビアグラス」などがあり、海外も意識して市場に送り出すことが可能になったのだ。
 「何年も前から検討されていたのですが、『富山アイコニック』が形になったのが令和元年でした。先ほど話があったように、その頃からネット通販でのオーダーが増え始め、『富山アイコニック』はそのニーズに応えることができるようになったのです」
 語るのは同じく営業企画部の坂井利英さん。続けて坂井さんは「いろいろ資料を集めていた中に、JETROや新世紀産業機構などの海外展開を支援する事業の資料もありました。それでコロナ禍が収まりつつあった令和6年に、私たちの上司を中心に、『何か試してみようか』と機運が高まりつつあったところに、新世紀さんから『海外販路開拓商談会に参加してみませんか』と打診があったのです」と一歩踏み出した経緯を語った。
 ガラス工芸センターにとっては、まさしく渡りに船のような申し出だった。二つ返事で参加の意思を示し、令和7年1月開催の「海外販路開拓商談会」に臨んだ。当日は3社のバイヤーと商談し、うち1社とは継続的に商談を進め、後には話がまとまってビジネスが進むとともに、想定外のサプライズがあったという。

商談会で出会った企業と成約、さらに

商談会では「富山アイコニック」の「一輪挿
し」(写真上)や「タンブラー」や「ロング・
ステム」(写真下)などを紹介。とやまの薬の
薬びんをモチーフにした「一輪挿し」が売りや
すく、また梱包や輸送がしやすいところから
「一輪挿し」の取り扱いが決まった。

 「商談会で、私どものガラス製品に関心を持ってくださったA社は、元々は通訳を業務とする会社で、多言語に通じていることを活かしてECサイトの運営を始め、各方面から取り扱い商品を探していたようです。私どものガラス製品にはその一環として出合い、関心を持たれたようです」(坂井さん)
 その後の商談はメールやオンラインミーティングで実施。そこでガラス工芸センターは、A社がECサイト運営の他に、各国(主には東南アジアと欧米)の商業施設でポップアップストアを開催して商品を販売したり、作家や職人を招いてワークショップを開催したりして、つくり方やそれにまつわる文化も紹介するなど、地道な活動をしていることも知ったのであった。
 また、ある時のオンラインミーティングでは、A社から「取引先のB社もガラス工房の商品に関心を持っているので、今度一緒にそちらへ見学に行きます」と話が出て、数週間後に実現。富山アイコニックの一輪挿しに興味を持ち、取り扱いを決めた他、B社はある作家の作品が気に入り、「年に数回、数点の作品を送ってほしい」と打診し、その商談は今も続けられているという。

次はアメリカへ・・・

ガラス工房で創作活動に励む一方で、「富山ア
イコニック」の制作にも協力する作家(写真
上)。写真下は制作体験の様子。

 こうしてガラス工芸センターでは海外への販路を開いたのだが、さらなる拡大についてはどのように考えているのか。堀田さんから以下のように回答があった。
 「たくさん売りたいという気持ちはあるのですが、生産と販売のバランスを考慮すると、当面はこれを維持し、徐々に拡大していけたらと考えています。富山市には、このガラス工房の他に、ガラス美術館、ガラス造形研究所が集まっている珍しい都市ですが、アメリカのコーニングにもガラス美術館やショップがあり、ガラス作家を養成する学校が昨年できました。ガラス工芸センターでは、コーニングのそれらの施設との交流を図りながら、とやまのガラスの普及を試みることができないかと考えています」
 文化や教育的な振興も担うガラス工芸センターならではの回答であったが、コーニングでのとやまのガラスの販売は念頭にあるようであった。

連絡先/一般財団法人 富山市ガラス工芸センター
〒930-0151 富山市古沢152
TEL 076-436-2600
FAX 076-436-5735
URL  https://toyama-garasukobo.jp

作成日  2026/03/02

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