第34回 株式会社ハナガタ 海外販路開拓 TONIO Web情報マガジン 富山

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第34回 株式会社ハナガタ

新たに中国とタイで販路を拡大。
日本、米国市場に加え、アジアを3つ目の営業の拠点に据える。

同社の包装機、ロングセラーの「L型」シリーズ。
ハナガタ独自の技術 (特許)が組み込まれ、
日本国内はもとよりアメリカでも人気の包装機。

 「十数年前から、弊社単独で、あるいは新世紀産業機構の支援を受けながら展示会に出展し、中国での販路開拓を行ってきました。初期には期待したような成果は出ませんでしたが、現地機械商社との強い信頼関係ができた4年前から、販売拠点として充実しつつあります。またタイでも、昨年の展示会出展を機に販路拡大の可能性が出てきました。当社のアジア展開は、さらなる1歩を踏み出したところです」
 これは、中型のシュリンク包装機(商品の表面を薄いフィルムで覆う包装機)では中堅企業である(株)ハナガタの花方寛人常務の弁。同社は商社経由でおよそ30年前からアメリカで営業展開を行ってきたが、今世紀に入ってからは経済成長著しいアジア市場を睨み、当機構の支援も受けながら、新規販路開拓を進めてきた。今回のレポートはその軌跡をたどったものである。

サポートデスクからの紹介を契機に

中国市場の開拓担当を務める花方寛人常務。

 同社が、中国での販路開拓を試み始めたのは2003〜04年頃のこと。年に1〜2回ペースで展示会などに出展していたが、包装についての文化的な背景が違うため、当時の中国ではシュリンク包装については必要性が認識されていなかった。そのため、来場者にはシュリンク包装の必要性を1から説得しなければならず、中国事業は困難を極めた。
 これが一転したのは、当機構の海外販路開拓サポートデスクに、中国での営業展開について相談された時だった。当時を振り返って花方常務が語る。
 「確か2011年だったと思います。新世紀産業機構に、海外販路開拓サポートデスクという新しい部署ができ、海外展開の相談に応じていただけるようになりました。翌2012年には、商社OBで中国でのビジネス経験が豊富なマネージャーが新たに配置され、当社でさっそく相談に訪れました。その方から中国のある機械商社に声をかけていただき、マッチングの機会を得ました。そして互いに会社訪問を繰り返す中で信頼関係を築き、当社の包装機の販売代理店になっていただいた次第です」
 花方常務はここに至るまで3年近い月日を要したと語る。その間もマネージャーのアドバイスを受け、昨年度(2015年)は代理店から研修生も受け入れ、包装機のメンテナンスについて、製造工程を理解してもらった上で研修を行った。

2年間で13台の包装機を販売

2014年の「上海国際和食品技術展」の同社ブース。

 現地での代理店出現の効果は、覿面(てきめん)に現れた。ハナガタが中国の展示会に出展する際(当機構の販路開拓挑戦応援事業(国外)の支援を受けて出展した「上海国際和食品技術展」(2014年)など)は中国の代理店がブースで来場者対応をサポートし、その代理店が包装関係の中国の展示会に出展した際は、ハナガタからスタッフを送って支援するなど互いに支え合いながらこれまで13台の包装機を販売した(2016年9月時点)。
 「中国にも包装機のメーカーはあり、同様のマシンが当社価格の1/3〜1/4程度で販売されています。ただ包装の品質となると、当社の包装機は高い評価を得ていて、中国の代理店の協力を得たことによる信頼と、日本製という品質のメリットをうまく伝えることができるようになりました。それが販売実績の向上に結びついているように思います」(花方常務)
 花方常務によると、中国の包装についての考え方は徐々に変わり、化粧品やヘルスケア商品ではいたずら防止や商品保護の役割によるシュリンク包装の必要性を認識し始めた企業も多い。そうした中で同社の包装機の品質の良さを聞きつけたのか、別の中国商社が「ハナガタの包装機を扱いたい」と手を挙げてきた。
 「当社としては、代理店が増えることは願ったり叶ったりですが、今回アプローチしてきた企業は、最初に代理店になっていただいた企業とは異なり、日本の企業との取引経験がほとんどありませんでした。そこで、その企業との付き合い方や契約書を交わすにあたって気をつけなければいけない点などを、サポートデスクのマネージャーに相談して、今もその上海の企業との調整を続けているところです」と常務は気を引き締めながら語った。

タイではフォロー営業を任せられる代理店が

タイで開催された「プロパックアジア2015」に出展した際の同社の
ブース。

 中国での販路開拓が緒につき始めた昨年、ハナガタは平成27年度の販路開拓挑戦応援事業(国外)の支援を受けて、タイで開催された「プロパックアジア2015」にも出展した。
 「東南アジアでの展開を考えた時、まずタイに拠点をつくるのがよいのではないかと思いました。ものづくりが盛んになってきていますし、何より日系企業が多く進出しています。タイをハブにして周辺国への展開を図るのがいいのではないか、と。そう思って12年ほど前からタイへの進出を図ってきました。よい感触を得始めたのは5年前からですが、『このあたりで確かな実績を』と期待してプロパックアジアに出展したのです」(花方常務)
 この展示会では同社経営陣の期待どおりの成果を挙げつつある。代理店として名乗りを挙げた企業が現れ、展示会期間中にあった40社ほどの初期的商談のフォローを引き継ぎ、展示会終了から1年2カ月経過時点で包装機3台の販売契約を結んだのだ。
 「化粧品メーカーに1台、石けんメーカーに2台売れ、タイでの本格展開が口火を切ったように思います」。花方常務はそう語り、「東南アジアの国々のものづくりや包装についての背景を詳しく調べて」と前置きした上で、「タイで足場を固めたらベトナムやマレーシアなどの周辺国へも足を伸ばしたい。サポートデスクには東南アジアに詳しいマネージャーもいるとうかがっていますので、今度はその方のアドバイスもいただきたいと思います」と続けた。

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静電シールの採用によってフィルム屑を出さない
包装機(静電シールシリーズ)。エコ包装機として
エコ包装機として注目されつつある。

 ハナガタのアジアでの売上げは徐々に増えてきた。この勢いが持続できれば、数年先にはアメリカでの年間販売数に並ぶが、同社ではアメリカでの販売展開へのテコ入れを決断した。本年度の販路開拓挑戦応援事業(国外)に採択されたことを受け、シカゴの展示会に出展し、化粧品メーカーを中心に営業活動を繰り広げようというのだ。
 「当社のメインの市場は日本国内ですが、海外の市場を育てることにより、リスクの分散を図っています。今までは日本とアメリカの2拠点でしたが、中国・タイのアジアの拠点が加わることにより3拠点になり、経営の安定に資するのではないかと思っています」
 花方常務は、同社の中長期的な展望を踏まえて抱負を語り、取材を締めくくるのだった。

○問合せ先
(公財)富山県新世紀産業機構 環日本海経済交流センター
所在地 富山市高田527 情報ビル2F
TEL 076-432-1321  FAX 076-432-1326
URL http://www.near21.jp/

作成日  2016/10/28

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