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第40回 海外バイヤー招へい商談会を開催

その場で商談がまとまるケースも

8社のバーヤーに、県内企業から19社が商談に臨んだ。

 富山県(事業委託先:アジア経済交流センター)は岐阜県と連携し、アジアから有力なバイヤーを招へいし、食品、雑貨や工芸品などに関する商談を行う「海外バイヤー招へい商談会」を10月25日に開催した。招へい海外バイヤーは8社で、そのうち6社は飲食品(サプリメント含む)を、残り2社は雑貨や工芸品の商談を希望していた。県内企業からは19社が参加し、事前マッチングにより全部で41件の商談を実施した。
 今回は、商談会の概要を紹介するとともに、活発な商談を展開していたバイヤー、参加企業のそれぞれ1社に取材を行い、商談の感触や今後の展望などを伺った。

「日本の一般的な食品をバングラデシュに」

ホテルで行われた「海外バイヤー招へい商談会」の様子。テーブル
ごとにバイヤーがつき、30分間隔で県内企業が商談に回る。

 まずは、飲食品やサプリメント等の取り扱いを希望するバイヤーのDai Ichi International Co., Ltd.の代表取締役Mohammad Shamin(モハマド・シャーミン)氏とビジネスパートナーの佐久間朋宏氏に話を伺った。
 同社は2017年にバングラデシュの首都ダッカで設立したばかりの若い企業だ。シャーミン氏は30年前に来日して和食やフレンチの店で修業を積んだ後に独立し、今では都内で5店の飲食店を持つオーナーだ。日本でのハラルフード(イスラム教で戒律によって食べることが許された食品)の普及に努めていた佐久間氏との出会いを縁に、主にバングラデシュと日本との間で貿易を展開させ、バングラデシュ発展に貢献するべくDai Ichi Internationalを起業した。

バングラデシュ、日本間の貿易促進を図るDai Ichi International
の社長・シャーミン氏と佐久間氏。ハラル食の普及でもともに活動
している。

 シャーミン氏が語る。
 「バングラデシュでは今、和食が評価され人気があるので、日本の食材、飲料、サプリメントなどを輸出したいと思い、この商談会に参加しました。」
 30年あまり日本で暮らし、よどみなく日本語を話す。日本各地を回って同様の商談会や食材紹介のイベントに多数参加してきたことも明らかにし、日本の食材買付けへの熱い思いを語った。
 海外で人気の和食というと、寿司、刺身、天ぷら等がよく挙げられるが、シャーミン氏らはそれらの他にも、例えば袋から取り出して数分の調理で食べることができるインスタントのラーメン、焼きそば、うどん等のほかにレトルトのカレーや、から揚げ・カツなどの各種肉料理(豚肉除く)、干物や開きなども含む各種魚料理など、日本の一般的な家庭の食卓に上る食材を求めている。将来的にはそれらの食材の現地生産も視野に入れて、現在、中古の製麺機を日本で買付け、輸出の手続きを進めている最中であった。

両者がっちり握手をする場面も

海外バイヤー招へい商談会では、テーブルごとにサポート役が
つき、商談がスムーズに行われるよう配慮されている。

 ビジネスパートナーの佐久間氏が付け加える。
 「日本の食材を海外で展開する際によくいわれるのは、『現地の富裕層をターゲットにする』ですが、私たちはバングラデシュの中間層を狙うつもりです。彼らの収入はまだ高くはありませんから日本のローコスト品を、商社や代理店を通さず自分たちで輸出入の手続きを行い、中間マージンをいたずらに高くせずに販売していきます。商社・代理店を経由しない分、貿易実務については日本の企業の方々にも理解いただき、部分的に協力いただくケースもあると思います。また日本の商品をそのまま輸出するのではなく、バングラデシュの文化や流通の事情に合わせて、アレンジしていただくこともあります。」
 両氏によれば、バングラデシュの流通や輸送網は今、整備の途上にあるそうだ。ただ、かつての日本のように問屋や代理店が複数重なる形態ではなく、メーカーや販売元と小売店の間に中間業者1社が介在するスタイルが主流になりつつあるという。また、冷蔵・冷凍での輸送網も末端まで延びていない地域があるため、Dai Ichi Internationalは現地のスーパーなどに商品を卸すだけでなく、自社で販売店を構えながらサプライチェーンの充実を図ることも視野に入れている。同時に、インターネットでの販売も急速に普及しつつあるため、商品によっては展開が早いものもあるだろうとの見解を語った。
 シャーミン氏と佐久間氏はバングラデシュのこうした実情を紹介し、また同社が希望する取引条件を説明しながら県内企業6社と商談した。商談終了後、ある県内企業の社長とシャーミン氏、佐久間氏ががっちりと握手を交わす場面が見られた。その様子から、前向きで密度の濃い話であったことが容易に想像できた。
 シャーミン氏が総括して語る。
 「当社は日本各地の商談会に参加し、また地方銀行25行の協力を得て、バングラデシュへの輸出希望の飲食品について紹介いただいてきましたが、この商談会では従来にない成果を上げることができました。握手を交わした社長の会社とは取引を進めることになるでしょうし、他にも2社の商品について強い関心を持ちました。後日、さらにお話を伺う予定にしています。」
 ちなみにシャーミン氏が展開する飲食店5店舗のうちの1つは、上智大学(四谷キャンパス)に構えるハラル対応のカフェ(東京ハラルデリ&カフェ)である。また同氏と佐久間氏は「一般社団法人ハラル・ジャパン協会」の運営をとおして、ベジタリアンやムスリム対応の食事の指導を行っており、富山県の「東南アジア等外国人対応飲食店育成事業」の受託者として県内飲食店との接点が多い方々であった。

年明けからさっそく販売を

小暮グラスワークス代表の小暮裕子氏。

 続いて、県内から参加した小暮グラスワークスに話を伺った。代表の小暮裕子氏はガラス工芸作家としてとんぼ玉の装身具や酒器、インテリア小物などを制作し、後進の育成にも取り組んでこられた。とんぼ玉とはひとつずつ手作りされるガラスの装飾玉である。ブレスレットやネックレスなどの装身具に用いられ、世界各地で古くから親しまれてきた。ただ、日本では、とんぼ玉の技術の普及があまり進まないことから、小暮氏は当機構が県から委託を受けて開催している「とやま起業未来塾」(2017年/13期)に参加して、とんぼ玉の技術を普及するとともに販路を広げるビジネスプランを次のとおりまとめた。
 とんぼ玉は作家が個人的につくって販売しているだけでは数量に限度があるという。そこで同氏の指導を受けてけて作家の道に進んだ若手5人と連携し、生産量を増や

setan (Thailand) Company Limitedのバイヤーと商談を進める
小暮氏。輸出に当たっての仕切値など、商談会では細部にまで
話が及び、合意に達したという。

してコストを抑え、より手頃な価格帯にした。インターネットによる販売や従来のガラス工芸品店やクラフトショップに卸すほか、十数年前から東京の百貨店(伊勢丹ほか1店)で年1回開催してきた展示即売会での出会いを足掛かりに、取扱店の増加を目指すこととした。
 「2017年のとやま起業未来塾が終わった直後に行われた伊勢丹での恒例の小暮グラスワークスの展示即売会では、新しいプランに基づいてとんぼ玉を制作し、販売しました。すると、個数としては従来のとんぼ玉の10倍近い数が売れました。また、とやま起業未来塾に通っていた時に、海外バイヤー招へい商談会のことを知り、次回の商談会にはぜひ参加させていただこうと決めて、今日のこの日を待っていました。今回のバイヤーには、Isetan (Thailand) Company Limitedのバイヤーがおられましたので、商談を希望し、お時間をいただきました。」
 と小暮氏は語り、「6点のとんぼ玉を紹介しましたが、そのうち2点はタイでも受け入れられるデザイン、価格であるとご

小暮氏が提案したとんぼ玉の装身具の1つ。こうしたブレスレット
タイプの他に、ネックレス、念珠などもある。

判断いただき、取扱いについて前向きに検討いただけた。」と続けた。商談会の翌日(10月26日(金))には、バイヤーによる県内企業の視察会が企画され、そのルートの中に小暮グラスワークスの工房も組み込まれており、「他の作品も見ていただくよい機会だ」と小暮氏は期待を寄せた。

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 2018年7月には、長野県との連携で「海外バイヤー招へい商談会」が行われた。この時は香港2社、香港/台湾1社、シンガポール、カンボジア、タイ、米国(ハワイ)から各1社が招かれ、広く食品の商談が行われた。
 岐阜・長野の両県と連携したこうした商談会は今後も実施する予定で、詳細が決まり次第、当機構のホームページで案内し、また参加企業の募集なども行うので、アジアの国々とのビジネス拡大を望んでおられる県内企業の方々には参加を勧めるところだ。

○問合せ先
[(公財)富山県新世紀産業機構 アジア経済交流センター]
所在地 富山市高田527 情報ビル2F
TEL 076-432-1321  FAX 076-432-1326
URL http://www.near21.jp/

作成日  2019/02/07

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