第30回 世界をリードする環日本海経済交流 富山県ものづくり総合見本市2015 TONIO Web情報マガジン 富山

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第30回 世界をリードする環日本海経済交流

開催迫る「富山県ものづくり総合見本市2015」
~富山から始まる日本のものづくりの復活~

 2015年3月14日。北陸新幹線(長野—金沢間)が開業した。沿線の自治体では昨年から、開業日のカウントダウンを開始し、その日を心待ちにしたものだ。
 特に観光に携わる関係者は、北陸と東京が乗り換えなしの1本で結ばれるため、観光客誘致のために盛んにPRを展開。それが功を奏して、開業前のアンケートでは北陸新幹線の認知が高まり、「行ってみたい北陸の観光地」として立山・黒部アルペンルートや五箇山合掌集落(ともに富山県)、そして兼六園(石川県)などが上位に。また甘エビ、カニ、ブリは両県でともに味わえるため“北陸グルメのAKB”などと、もてはやされたりしたものだ。
 その大方の見方に加え、富山県に関しては、日本でも有数のものづくりの拠点であることを声を大にしてお知らせしたい。その嚆矢は既に江戸期から現れていると推察され、北前船の中継地であったことと、薬やその包装材である和紙の生産でにぎわった富山(町)の人口は、明治の初めには5万人以上を擁し、全国でも十数番目という町の大きさを誇っていたようだ(『明治大正国勢要覧』によると、明治19年53,556人で12位、同22年58,159人で11位)。
 こののち、富山平野を潤す7大河川を中心とした豊富な水が水力発電や工業用水に利用されるようになると、化学や金属などの産業の集積が進み、今日では機械、電気・電子などにも裾野を広げ、日本海側随一の一人当たり工業出荷額を誇るまでになった。
 こうした盛んなものづくりを背景に、富山県では県内企業をはじめ国内外の企業の製品を紹介する「とやまテクノフェア」を開催するとともに、北東アジア(のちには東南アジアも含む)から部品・部材をつくる企業を招いての展示商談会「NEAR(北東アジア経済交流EXPO)」を開催してきたのだが、2010年より「富山県ものづくり総合見本市」として両者を合同開催するようになり、今回で3回目の開催(隔年開催が基本)となった次第だ。

「富山県ものづくり総合見本市2012」の様子(以下同)。

300を超えるものづくり企業が一堂に……

 この総合見本市の特長は、海外からの出展者数が国内有数であることと、完成品と部品・部材のメーカーが一堂に会すること。お目当ての製品を視察にくる企業関係者でにぎわうばかりでなく、出展中の完成品メーカーが部品・部材の調達先を探すために会場内をくまなく回るほか、逆に出展中の部品・部材メーカーが、例えばより速く・高品質に部品の製造ができるようにと工作機械メーカーのブースを訪ねるなど、出展者相互の交流も盛んだ。それゆえ地方都市で開催される見本市の中では商談件数は極めて多く、3年前に実施された「富山県ものづくり総合見本市2012」では、会期中に部品・部材メーカーが受けつけた商談の数は1,243件。1カ月後の追跡調査では、そのうち224件(見込み含む)がまとまりつつあったというから驚きである。
 特筆すべきは、前回初参加のタイ・台湾企業の健闘だろう。タイからは14社が出展して、会期中の商談件数は121件。1カ月後には12件が成約に向けて交渉が続けられていた(見込み含む)。また台湾の企業は12社が出展して、商談件数187件。2カ月後には、うち48件が成約(見込み含む)というから成約率は極めて高い。今回2015年の総合見本市では、台湾からの出展企業が倍近くの20社まで増えているところを見ても、ビジネスチャンスの多い見本市と評価されたことがうかがえるだろう。
 ここで「富山県ものづくり総合見本市2015」(会期/4月23~25日、会場/テクノホール、富山市体育文化センター)の概要を紹介しよう。
 出展企業数は過去最多の約390社(団体含む、以下同)。内訳は国内18都府県から225社、海外は3カ国増の11カ国で、併せて162社が出展する予定だ。初参加はベトナムやフィリピン、インドネシアなどで、ベトナムからは駐日大使館のほかに4社がビジネスチャンスを求めて出展するという。

 「富山県ものづくり総合見本市2015」では、従来にも増して、ビジネスフェアとしての充実を図っている。まずは出展企業が自社の製品や技術の特徴をPRする「セミナー・メーカープレゼン」(23~24日)。海外企業には初めての企画となる。すでに国内外の企業25社がエントリーし、各社製品などの特色を紹介する予定だ。また「海外投資環境セミナー」(24日)を充実させ、アジア諸国を中心とした国・地域の海外直接投資の責任者を招き、それぞれの国・地域の最新のビジネス環境を紹介していただくとともに、質疑応答の機会も十分に設ける。
 「企業商談会」については、「国内外出展企業との商談会」及び「海外招へいバイヤーとの商談会」を予定している。このうち「海外招へいバイヤーとの商談会」では、機械、金属加工、電機・電子分野等の製品の調達を希望する、アジアを中心とした有力な海外バイヤーを招く予定で、バイヤーの紹介と商談申込の受付は、富山県ものづくり総合見本市もしくは海外招へいバイヤーとの商談会のホームページで行っているので、ぜひともご覧いただきたいところだ。
 出展企業との商談については、各企業のブース、会場内商談コーナーで自由に行っていただける。商談についてはホームページを通じて事前に予約をいただくことも可能で、海外企業(先のバイヤーも含む)との商談の際には、通訳スタッフの支援(無料)を受けることもできるので、安心して商談に臨んでいただきたい。

ものづくりの楽しさも体感

 「富山県ものづくり総合見本市2015」は、企業や業界関係者だけでなく、学生も含めて一般の方々にもぜひご覧いただきたい。出展企業の中には、自社製品をPRするために、実際に機器を稼働させるところも多い。テレビやネット経由ではなく、自分の目で直に最新の技術を見ることができるのは圧巻だ。ましてやそれが、“工場内の技術”など普段なかなか見ることができないものである場合は貴重な経験になるだろう。
 また今回の総合見本市では、製造業が盛んな富山での開催にふさわしく、技術やものづくりの楽しさを身近に感じていただく企画も目白押しだ。前号の本欄でも紹介したとおり、「富山県ものづくり総合見本市2015」に合わせて、「全日本製造業コマ大戦とやま特別場所」が開催される(25日)。当初この特別場所では、県内の企業や大学など16団体によるトーナメント戦を予定していたが、あまりの人気のゆえに3倍の48団体の対戦に拡大。金属加工や精密加工が得意な企業が集積する富山でのコマ大戦であるため、熱戦が予想されている。
 さらには「お手軽カップモーター」「アクリル板によるイルミネーション」「からくり教室」などの、「科学ものづくり教室」も予定されている(25日)。これは、子どもたちにものづくりの楽しさを体験してもらうために企画されたもので、家族そろっての参加をお待ちするところだ。
 就職活動をしている方(学生含む)には、今回の総合見本市は絶好の企業研究の機会になる、といっても過言ではないだろう。会場で、出展企業の担当者に直接、業務内容や製品知識を聞くことにより、県内外のものづくり企業の魅力を存分に知ることができる。「企業研究ラリー」と称するこの企画にも是非ご参加いただきたい。 
 繰り返しになるが、「富山県ものづくり総合見本市2015」の会期は4月23日(木)~25日(土)の3日間だ。以前このコーナーの取材で、首都圏の大企業の調達責任者を何度も取材させていただいたが、多くの方は1泊の予定で富山に出張されていた。
 ところが北陸新幹線が開業してからは、東京—富山間は最速で2時間8分。富山駅から会場までのシャトルバスの時間を合わせても2時間40分ほどで、日帰りで十分に視察ができるようになったわけだ。調達部の若手を同行させて次代の人材の育成を図ることが可能であるし、あるいは従来どおり宿泊の日程を組み、その週末には立山黒部アルペンルートの「雪の大谷ウォーク」を楽しんだ後で帰るのもいいのではないだろうか。

○問合せ先
(公財)富山県新世紀産業機構 環日本海経済交流センター
所在地 富山市高田527 情報ビル2F
TEL 076-432-1321  FAX 076-432-1326
URL http://www.near21.jp/

作成日  2015/03/27

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