第46回 株式会社エコロの森 とやま起業未来塾 TONIO Web情報マガジン 富山

TOP > 元気印のTOYAMAのお店訪問 > 第46回 株式会社エコロの森

元気なお店に聞く商売繁盛のコツ。「ウチの店でもやってみよう!」と思わず手を打つアイデア満載。

第46回 株式会社エコロの森

富山の里山めぐりを企画して創業
旅人も村人も元気になって……

富山の地域資源を活用して、各種のエコツアー
を企画・実施している森田由樹子さん。新聞社
時代の後輩の中に、エコツアーを手伝いたいと
希望する人もいる、とか。

 「さて、まずは何からとりかかろうか。時間はたっぷりあるけど、準備のことを考えると、忙しくなるかもしれない」
 全国紙の記者を早期退職し、富山市に移住することを決めた時、森田由樹子さんはそう思った。在職中には、幾多の取材経験から得た知見を生かし、キャリアアップのためのコンサルティング会社、あるいは子ども向けの自然体験スクールなどの起業を考えたこともあったというが、それは富山を舞台に想定したものではなかった。
 といって当時の森田さんに再就職の意識はなく、子育てのかたわら、起業の準備を進めることに。引っ越しの用意をしながら、富山でのセカンドライフの充実を図るための情報収集を行っていたところ、当機構が県とともに開催している「とやま起業未来塾」のサイトに遭遇したのだ。そして、そのプログラムを詳しく見ていくうちに「まずはここで経営について学び、自分が温めてきた事業プランの可能性について探ることにしよう。富山で人脈を広げるきっかけにもしたい」と意欲を高め、平成18年2月、新年度の塾生募集(第二期生の募集)にエントリーしたのであった。

いたち川お花見クルーズ。

 「富山に実際に引っ越してきて、立山連峰をはじめとする雄大な自然や、身近な里山の自然が手つかずに近い状態で残っているのを目の当たりにして、ツアーとして商品化できると思ったのです」と森田さんは振り返るが、記者時代に以下のような経験があったことも、その判断を後押ししたようだ。

経営のことも、資格のこともイチから勉強して

 その経験とは……。
 例えば山梨の牧場を訪ねるツアーを組み、参加者を募集する。行程は、牧場での乳搾りとその乳でチーズづくりを体験すること。そして会場をレストランに移し、ワインとチーズの楽しみ方を地元のワイナリーの方などにレクチャーしていただいて帰京する。今日でいう産業観光、地域ツーリズムのハシリのようなものだ。それを森田さんが企画し、新聞社と提携していた旅行会社がツアーとして実施。森田さんが記者として同行して記事にしていたのである。

蚕を訪ねる越中八尾里山めぐり。

 「この地域ツーリズムの経験から、“著名な観光地に出かけて、見て、ご飯を食べて帰ってくる”だけが旅行ではないことがわかりました。またこういう小さな旅行でも、繰り返して行っているうちに地域が活性化し、地域の人々と触れ合うことによって参加者の満足度も高まってくることがわかりました。そういうのを目の当たりにして、観光って奥が深いと実感していたのです」
 富山の里山を見て、「地域に根ざしたツアーとしての商品価値がある」と判断したのにはそういう背景があったのだ。
 ただ起業にあたってクリアしなければいけない課題が多々あった。経営や事業プランの立て方については未来塾に通ううちに学ぶことができるとしても、旅行業務取扱管理者の資格をとり第3種の旅行業の免許を取得すること、エコツアーやガイド技術に関する勉強をすること、自然体験の中でのリスク管理のノウハウを習得すること、そして富山の地域資源を生かしたツアーのメニューを開発すること、等々は時間をかけてひとつずつクリアしていかなければならないことだった。

朝日町ヒスイ海岸での海ヨガ。

 ただ旅行業の免許取得については、運のいいところもあった。従来、「第3種」に位置づけられた町の中小旅行業者は、大手旅行会社のパッケージツアーの販売やお客様から依頼された旅行を手配するなどして売上げを立て、自主企画によるツアー客の募集はできなかった。それが平成19年5月の旅行業法の改正により、「営業所の存する市町村及びこれに隣接する市町村の区域」に限定して、第3種旅行業者でも企画旅行の商品化が可能に。国は、地域の観光資源を熟知している地元の中小旅行業者が営業しやすいように規制緩和を行い、観光による地域振興を図ろうとしていたのだ。
 森田さんの起業のタイミングは、その追い風を受ける形になった。未来塾を修了した翌年度、金沢で開かれていた旅行業務取扱管理者の資格をとるための講座を半年あまり受講。そして11月に試験に合格し、年が明けた平成20年2月に「エコロの森」の旗を揚げたのである。

四代目佐伯平蔵と行く薬師岳。

八尾の奥の散策が人気のコースに

 満を持しての創業であったが、子どもの受験と重なってきたため2年間はひっそりと営業し、本格的な稼働は平成22年に入ってから。当初は「利賀村報恩講(ほんこさま)料理体験ツアー」や「オーガニック味噌をつくるツアー」などのツアーを企画していたのだが、その年、八尾山田商工会が「わが町を舞台にしたエコツアーを実施してほしい」と依頼してきたのだ。
 それが縁で企画されたのが、八尾の町や牛岳、白木峰、大長谷などを舞台にしたツアーなど。当時の募集チラシを振り返ると、
「紅葉の白木峰を歩く」
「紅葉の牛岳でブナ林散策」
「大長谷でキノコ狩り」
「八尾を愛した文人・墨客を訪ねて」
「歩いてめぐる越中八尾『和菓子の旅』」
「黒ゴマの農業体験と創作料理」等々のツアー企画が満載。商工会の事業は3年間続き、そこで開発されたエコツアーを森田さんは引き継ぎ、ブラッシュアップしながら今日まで続けてきた。中でも「大長谷でイタリアン」は人気のツアーで、毎回予約でいっぱいになるという。
 その概要を紹介しよう。
 集合は、JR越中八尾駅からバスで約1時間の白木峰山麓交流施設大長谷温泉。そこから21世紀の森を散策しながら、春は山菜とり、秋はキノコ狩りなどを楽しんだ後、ふるさとセンターにて昼ご飯を食べ、温泉に入って解散。行程にはガイドがついて、里山の自然を紹介する他、途中の安全確保には細心の注意を払う。このコースの人気は、森の散策や温泉もさることながら、ふるさとセンターのお昼ご飯だ。なにしろシェフは、大阪で修業を積んできたイタリアンが得意な女性。地元でとれる野菜や山菜、キノコをふんだんに使ったピザやパスタは絶品と評判で、オプションのランチをオーダーするツアー客も多いとか。そして、彼女のイタリアンのファンになり、岐阜県境近くのふるさとセンターまで、わざわざランチを食べにくる人が増えつつあるというのだ。

大長谷/森のキノコでイタリアン。

意外と県内のお客様が多かった

弥陀ヶ原スノーシュー。

 平成24年度に入ると今度は、県からの委託事業で「とやまのガイドツアー」のメニュー開発に着手。国の緊急雇用の適用も受けて、スタッフを確保した上で現地調査に乗り出し、コースの設定やガイドの人選も行い、そのツアーをエコロの森の商品としてラインナップしたのだ。
 また平成25年度には朝日町からも委託があり、
「浜に幸がやってくる!フィッシング&クッキングツアー」

かまくらチーズフォンデュ@五箇山合掌の里。

「幸せ♥海岸ツアー 海岸ノルディック&ヒスイ探し(海展望風呂と海鮮御膳付き)
「神秘の海で心と体を癒す 海ヨガとヒスイ探し」
などのツアーを開発して、商品化を図った。
 こうして今日まで50種近くのツアー商品を開発。いずれも料金は2,000円~8,000円程度(税別)。昼食を工夫したコースも多く、女性のグループ客には人気だという。
 昨年は、80回あまりのツアーを企画し、参加者は延べ約700人に到達。事業として形が整いつつあるところだ。

美女平/巨木の森スノーシューピクニック。

 集客は、エコロの森のホームページやフェイスブック経由がほとんどで、最近はホテルの宿泊プランにも組み入れられている。未来塾受講時、森田さんが想定したお客のほとんどは県外客だった。ところが実際に募集をかけると、「立山めぐり」のコースの中でも登山の要素が強いものは県外客で埋められるが、中腹の弥陀ヶ原散策などになると県内客も現れはじめ、里山ツアーになると県内客の方が多くなる。「全体的にみると、県内7割、県外3割」らしく、「富山に住みながらも、離れた地域の里山などには行ったことがない人が多く、知らずにいた富山の魅力が伝わったのでは……」と森田さんは推測する。

新幹線を活かしたプランを

 創業して8年目を迎えた。同社の活動はこの1月に、環境省などが主催する「第10回エコツーリズム大賞」で優秀賞を受賞(3年前には特別賞を受賞)。「山間部まで観光客を引き込み、ガイドに参加する住民が収入を得られるようになったことはすばらしい」(環境省の担当者)と評価され、またさらなる地域活性化への貢献を期待されているようだ。
 3月14日、北陸新幹線(金沢—長野間)が開業した。これにより東京—富山間の列車での所要時間は、従来より1時間あまり短縮して2時間8分に。首都圏からの観光客の増大に期待が寄せられているところだ。
 「北陸新幹線の開業は、ゴールではなくあくまでも出発点。どんなおもてなしのメニューを用意するかによって、お客が来るか来ないか決まる。初めから不戦敗みたいな姿勢でいるより、何度でも富山に来たくなるようなプログラムを開発し、お客様に楽しんでいただくことが大切」と森田さんは語り、「新幹線富山駅を発着場所にする、富山の地域資源を活かしたツアーの開発にも取り組みたい」と意欲を示した。
 さてここまで、町の小さな旅行社の取り組みを紹介してきた。試行錯誤しながらお店の元気度は徐々に増しているようだが、今回のポイントは、エコロの森を通じて富山の里山に元気がもたらされつつあること。なおかつ、旅人も村人も元気になっていることだ。旅行業法の改正によって地域ツーリズムに取り組む団体も現れ始め、全国のユニークな取り組みがメディアで紹介されるようになっているが、中でもエコロの森の試みは注目を集めている様子。今年の夏には、子どもを対象にしたキャンプも計画しているというが、富山の自然や里山には、眠っている“お宝”がまだまだあるようだ。

初夏の白木峰散策。

株式会社エコロの森
富山市文京町3-4-8
TEL076-444-0576 FAX076-471-7654
事業内容/旅行業法に基づく旅行業(エコツアー、自然体験活動など)
URL http://ecolonomori.com/
Facebook https://www.facebook.com/ecolonomori.jp?ref=stream

作成日  2015/3/31

このページのトップに戻る

キーワードをご入力ください。

 サイト内検索   www検索

Copyright (C) 2005-2013 Toyama New Industry Organization.All Rights Reserved.