第47回 株式会社ミガキ  TONIO Web情報マガジン 富山

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元気なお店に聞く商売繁盛のコツ。「ウチの店でもやってみよう!」と思わず手を打つアイデア満載。

第47回 株式会社ミガキ

ホームページのリニューアルだけで開店休業から多忙に
競合する専門業者も一目置く存在に

株式会社ミガキ 前田哲宏社長。

 今回お話をうかがったのは「シロアリが世界で最も恐れる男」のタイトルでブログを運営する(株)ミガキの前田哲宏社長、41歳。1級建築士の資格を持つ。
 同社の主な業務は、建物の設計・監理や、建築確認申請の代行など建設業者をサポートすること。建物の検査業務から派生したシロアリ駆除も行い、数年前からは住宅瑕疵保険の代理店業務も加わることとなった。その会社のトップが、「シロアリが……」のキャッチコピーで駆除の営業を行うようになったのには訳がある。コピー誕生の経緯については後述するが、それは氏が、シロアリの生態を知り尽くした上で駆除業務を行っているから。薬剤を巣穴全体に行き渡らせるため駆除は完璧なものとなり、“シロアリに恐れられる男”と自らアピールすることとなった。
 早々に余談で恐縮だが……。編集子が住む地域では、自治会が強力な噴霧器でシロアリ駆除用の薬剤を、各家庭の通風口から床下に噴射しているのだが、前田社長に駆除作業のあらましを説明すると、「それはほとんど効果がありません」と一刀両断にし、「通常、シロアリは土の中にいて、地表を歩く必要がある時は、糞と土を混ぜたものをセメントのように利用し、それで地表にトンネル状の通路をつくり、そこを移動しているのです。ですから通風口から薬剤を噴射しても、シロアリにはほとんどかかりません。富山県の場合、床下から羽アリが湧くのは大体5月で……」とその生態についてのウンチクを披露。シロアリ駆除を本業とする会社からも、一目置かれる存在になってしまったようだ。
 今回はこのミガキを経営する、前田社長の商売繁盛物語である。

1級建築士の資格を生かして

同社では、確認申請の代行や瑕疵保険、地盤検査など建築
関係の申請が一貫してでき、建設業者をワンストップでサポー
トしている。

 大学院で建築学を修めた前田氏は、建設関係の商社に勤めた。その会社では、大工さん・工務店向けに建設資材を販売するとともに、彼らが不得意とする付帯工事を受注。それを協力業者に手配して手数料を得ていた。その商社に勤めるうちに、ある設計事務所から声がかかり転職。そこでは1級建築士の資格を生かして、建築確認申請の書類作成などの業務を行うようになり、また建物の検査業務から派生したシロアリ駆除も行うようになったのだ。
 創業に向けて舵を切ったのは平成19年、32歳の時。商社時代の約3年間に培った大工さん・工務店との信頼関係から付帯工事を受注し、また設計事務所時代(約5年)にノウハウを習得した確認申請の代行業務とシロアリ駆除を営業品目の中心にすえていけば、商売は繁盛するのではないか、という目論見だった。起業の2年前に起きた、いわゆる「アネハ事件」によって建築確認の厳格化が進み、それが追い風となった一面もあったようだ。
 「いわゆる規制ビジネスです。あの事件では構造計算が偽造されたのですが、それを踏まえて法の規制が厳しくなりました。その結果、書類や手続きが煩雑になり、それを請け負うビジネスが発展してくる。確認申請の代行業務はその好例ですが、アネハ事件をきっかけに、住宅の瑕疵保険の整備も進み、その代理店業務が新たに生まれました」
 前田社長は創業当初を振り返って以上のように語るが、保険会社に瑕疵保険について問い合わせると、「ちょうど今、富山県内での代理店探しをしているのですが、前田社長、ミガキでやっていただけませんか」とオファーを受けたのだった。
 ここで同社の営業品目を大まかに紹介しよう。
(1)建築確認申請代行……建物を新築する際、建築基準法上の要件を満たしていることを確認するための書類作成と申請を代行する業務。本来は、建設会社、工務店、大工さん等が行うが、それを代行する。
(2)設計・監理……建物の設計および設計どおり工事が行われているかの監理。
(3)住宅瑕疵保険の代理店業務……当該保険の窓口業務と保険加入に必要な構造躯体検査など。
(4)建物検査……中古住宅の売買を行う不動産業者等から依頼されて、建物の現状を把握するための検査業務。
(5)地盤検査……住宅瑕疵保険に入るために必要な検査(地盤が「不良」と判定された場合は、改良工事が必要となる)。
(6)シロアリ駆除……建物の検査業務から派生してきた。床下に実際に潜って検査し(同社ではここまでは無料)、必要に応じて駆除作業を行う。
 以上が同社のおおまかな業務であるが、「エコ住宅、長期優良住宅が普及してきて、その適合証明をとるための代行業務も現れ始めた」(前田社長)そうだ。

地盤改良検査で経営地盤の一角を固める

前田社長は現場主義で、施工現場にいることが
多く、シロアリ検査でも自分で床下に潜る。

 今回の取材に先立って、地盤改良の検査やシロアリ駆除に詳しい知人に確認してみた。かつて、修繕の必要がないのに「瓦がいたんでいる」「柱の床下の部分が腐っている」などと家人に偽り、工事を受注したリフォーム詐欺のようなことが起きている、と小耳にはさんだからだ。 
 前田社長に確認すると、「確かにグレーなビジネスが行われている一面もある」と答え、「例えば地盤改良の検査では、検査、判定、改良工事を同一業者が行うこともあるところから、判定の公正さに疑問を持たれることもある」と続けた。シロアリ駆除でも、床下にシロアリがいないにもかかわらず駆除をすすめることがあるようで、悪質な例では、外部から持ち込んだシロアリを「今床下で捕獲しました」と家人に見せ、駆除作業を受注する業者もいるのだそうだ。
 前田社長は、「一部の心ない営業マンがいるのは事実ですが、業界全体がそうだと思われると困ります」と語り「そこで当社では、顧客からの信用を大事にし、口コミで客先が増えるよう工夫してきました」と強調し、同社の業務の進め方を語り始めた。
 例えば地盤検査。当初、同社では地盤検査を受注すると、外部の業者に検査・判定を委託(同一業者に委託)していたのだが、「不良の判定がでましたので、工事を……」と客先に説明するのに違和感があったという。そこで検査は自社で行い、判定や工事は別会社が請け負うようにしたところ、当初より「不良」判定の割合が少なくなったという。またそこで「不良」の判定が出た場合も、「検査結果は『不良』でした。地盤改良の工事が必要です」と、以前のような違和感を感じることなく、自信を持って伝えることができるようになったそうだ。
 こうした公正さを担保するための前田社長の取組みは、大工さんなどの建設関係の間で好意を持って受け止められた。そして前田社長が狙ったように口コミで広まり、地盤検査は経営安定のための柱の1本に育ったのだ。ちなみに検査機器の購入にあたっては、前田社長は当機構の専門家派遣制度を利用して中小企業診断士を招聘。その指導を受けて、経済産業省の小規模事業者活性化補助金(平成25年度)の申請を行い、補助金を機器購入の資金に充てたのであった。

以前はシロアリに見向きもされていなかった

床下でシロアリの調査をしている前田社長。創業
当初は「シロアリ防除施工士」と「1級建築士」の
資格は、受注のためには効果絶大だと思ってい
たが……。

 シロアリ駆除でも同社は異彩を放つ。「シロアリが最も恐れる男」は、元はといえば後に紹介する当機構のWebに関するセミナーの受講生や講師が前田社長を称して使うようになった氏のキャッチコピーだが、「最初の3年ほどは鳴かず飛ばずで、年に2~3件の問い合せがあるだけ。その中から受注に結びついたのは1件もありませんでした」という。つまりシロアリ駆除に関しては、当初は開店休業状態だったわけだ。
 シロアリに見向きもされていなかった頃を振り返って、前田社長が語る。
 「設計事務所に勤めていた時、その事務所では月に1~2件のシロアリ駆除を受注していました。私も作業を手伝い、実務を行いながらシロアリ駆除の資格をとりました。そして独立の際には、『シロアリ防除施工士の資格も持つ1級建築士』と謳い、タウンページや自社のホームページでPRしました。このキャッチコピーの信用は絶大だろうと期待したのですが、まったく効果がなく、受注できませんでした。そんな時、新世紀産業機構のWebに関するセミナーを受けながら、自社のホームページに改良を加え、売上げアップを図っていた友人と話す機会があったのです」
 友人は、そのセミナーを通して売上改善に成功した企業や店舗の事例をいくつも紹介。そして「前田さん、あなたも受講したらいい」と勧め、その場で事務局に連絡を入れ、1カ月後に始まるセミナーの申込をさせたのだ。
 そのセミナーとは……。講師やテーマは年度によって異なるものの、その基本は、自社のホームページのコンテンツについての考え方、全体の構成や見せ方などを伝授するもので、全国の成功例が紹介されるとともに、受講生間で意見交換する機会もあるなど、初心者でもアプローチしやすい内容となっている。

シロアリ駆除で営業の柱を

シロアリ駆除を紹介する同社のホームページのトップに出る4人。駆除作業を一緒
にする同僚も笑顔にしたこのトップページは2回目にリニューアルしたもので、この
前は、前田社長1人の笑顔、一番最初は社長の厳しい表情の挨拶ページであった。

 再び前田社長がセミナーについて語る。
 「平成22年の秋、確か5~6回の連続講座だったと思います。セミナーが終わり、ものは試しだと思い、まずトップページだけをリニューアルしてみました。そうしたら年間20件ほどの問い合せがくるようになり、そのうちのほとんどを受注するようになったのです」(前田社長)
 開店休業状態だったものが、年間20件ほど受注するようになったわけだ。何をどう変えたのかを前田社長に聞くと、「厳しい表情をしていた私の写真を、笑顔のものに変えました。予算に余裕がなかったので、そのリニューアルだけをホームページの制作会社に依頼しました」と答えた。
 シロアリ防除施工士の資格も持つ1級建築士は、威厳がなければならない……、そんな思いが多少はあったのだろう。トップページに出ていた以前の前田社長の写真は表情が硬かった。それを笑顔に変えただけで年間20件ほど受注できるように。しかめっ面している人より、笑顔の方が好感を持てるということか。そして実際に、問い合せがあった客先に出向いて床下調査を実施し(調査までは無料)、お客の思い過ごしの場合は「駆除作業をしなくてもよい」と正直に伝えるのだとか。最近の床下調査では小型のビデオカメラを持ち込み、Wi-Fi(ワイ-ファイ)のシステムを使い、タブレットなどの端末に映像を飛ばし、部屋で家人に見てもらうのだという。
 「実況中継していて、シロアリに食われてぼろぼろになっている柱をご覧になった奥さんは悲鳴をあげたりしますが、それが床下まで響いてきます。この実況中継のアイデアはセミナー受講生によるもので、セミナーを通してオリジナルなサービスが始まったわけです。今では一部の実況中継が、当社のホームページでご覧いただくこともできます」
 前田社長は、22年度のセミナーに引き続き、25年度、26年度も受講し、24年度にはインターネット活用研究会に入って、県内の有志とWebによる販促についての勉強を継続するように。こうした過程で得てきたノウハウを自社のホームページに反映してくると、シロアリ駆除に関しては年間三十数件受注できるまでになったのだ。
 こうしてシロアリ駆除は同社の営業の柱に育つとともに、前田社長は「シロアリが世界で最も恐れる男」をブログのタイトルにした次第である。

*     *     *     *     *

 冒頭に、同社の営業品目のあらましを記した。前田社長によると、建築確認申請の販促はホームページのみのPRしか行っていないにもかかわらず、年平均80件程度受注するようになり、地盤検査やシロアリ駆除と合わせて同社の営業の柱に。いずれも受注件数は微増を続け、信用第一の姿勢を崩さない限り「当社の営業の柱がシロアリに食われることはない」と前田社長は断言するのだった。
 ちなみに、前田社長のシロアリのウンチク話を続けると……。
 富山県で羽アリ(シロアリの一部)が床下から湧くのは大体5月。巣の密度が高くなったため分家するのだという。その時はじめて地表に出て、将来女王アリ、王アリになる羽アリが飛び立っていく。普通のアリと同じくシロアリにも役割があり、全てのシロアリが木を食べるのではなく、職アリという役割を持った一群が木を侵蝕し、ボロボロにしていくのだという。
 こうした話を前田社長は、駆除作業を受注したお宅をはじめ、シロアリについて語る機会があるたびに、おもしろおかしく紹介してきたのだが、そのうち他のシロアリ駆除会社のPRに変化が見られるように。「以前までは、“シロアリ=恐怖”のイメージでテレビCMやチラシなどをつくっていたようですが、最近は、作業する人や受付の人の笑顔を前面に出すようになっています」(前田社長)とのこと。Webセミナーの要諦が、形を変えて他社にも伝わっていたとは……。恐怖宣伝は食い荒らされて、最近県内ではお目にかからなくなった次第だ。

株式会社ミガキ
富山市黒瀬298-1
TEL076-461-7781   FAX076-461-7782
事業内容/建築確認申請代行、地盤検査、シロアリ駆除など
URL http://www.kakuninshinsei.com/
     http://www.ansin-siroari.net/

作成日  2015/8/27

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