とやま次世代自動車技術・新工法展示商談会開催レポート トヨタの展示会 ハイブリッド金型 (株)キャステム TONIO Web情報マガジン 富山

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とやま次世代自動車技術・新工法展示商談会開催レポート

TOYOTA会場初参加のキャステムが感じた手応えは……

「とやま次世代自動車新技術・新工法展示商談会 inTOYOTA」
(H29年7月20、21日)では、石井知事がトヨタ自動車本社を表敬訪問した
後で、展示会場も視察。

 当機構では平成17年より、産業の裾野が広い自動車業界向けに、富山県内企業の新技術・新工法を紹介する展示商談会を開催。不定期開催ながらもトヨタ自動車(株)、 本田技研工業(株)、(株)デンソーなどの協力を得、“Made in Toyama”の新しい技術の採用を図り、県内ものづくり企業の販路開拓を後押ししてきたところだ。
 今まで参加したのは、部品や素材、設備・装置、金型・治工具、ソフトウエアなどの関連企業で、毎回40社以上が出展。来場者は、前記の各本社ならびに協力企業・納入企業で、先頃行われた5回目の展示商談会(7月20、21日。会場/トヨタ自動車サプライヤーズセンタープレゼンルーム)では、トヨタ自動車本社の他に、協力企業650社、トヨタ自動車に部品や装置などを納入している企業550社(協力企業との重複一部あり)などにこの展示会開催が告知され、合計で1,650名が会場を訪れたのだった。
 今号のレポートでは、前回のデンソー展(平成29年2月)から続いて2回目の出展を果たした(株)キャステムの新技術・新工法を取り上げながら、合わせて展示会の様子も紹介しよう。

金型材料メーカーから金型修復業へ

「ハイブリッド金型」について語る(株)キャステムの大上仁士社長。

 キャステムは平成6(1994)年に設立された青年期を迎えた企業。大手金属メーカーに勤めていた現会長が創業し、かつてのネットワークを生かして自動車メーカーや産業機械メーカーなどに金型用の金属素材を販売するところから始めた。金型は一般的には鉄を素材にすることが多いが、同社では量産用金型として亜鉛合金を使うことを提案し、業績を伸ばしてきたのだった。
 「亜鉛合金は鉄より軟らかく、半面、一定の硬度があるので削りやすい。おまけに熱伝導率も良いので、樹脂用の金型として使うには便利な金属です。初代プリウスのバンパーの金型にも採用されました。ところが亜鉛合金には弱点もあります。鉄ほどの強度がないため、場合によっては型の寿命が短くなることもあります」
 こう語るのは二代目社長の大上仁士(おおかみ・ひとし)氏。亜鉛合金の金型に限らず、金型は一般的に、表面にキズをつけたり、最初の製造の段階で削り過ぎたりした場合は、溶接棒を溶かして金型の表面を修復し、再び金型として使えるように加工する。その依頼を多数受けてきた同社では、その過程で金型の溶接に関しては随一のノウハウを有するようになったのだ。
 ところが一世を風靡した亜鉛合金の金型も、平成10年を過ぎたあたりから、徐々に採用されなくなる。独自の技術を有していたキャステムといえども業界の傾向に抗(あらが)うことはできず、初代プリウス(平成9年発売)で採用された亜鉛合金の金型も、モデルチェンジ以降は声がかからなくなった。
 「亜鉛合金の金型が減った背景には、コストダウンを図るために金型の生産そのものをアジアの国々に移転するようになったこともあります。当時、国内の金型メーカーでは閑古鳥が鳴いていました。当社もそれに近い状況でしたが、ある取引先から『ドイツのレーザー溶接機は、なかなかいいらしい』と教えていただいたのを機に、現会長は多くの金型メーカーとは違った視点を持ちました」(大上社長)
 調べてみると、そのレーザー溶接機の評判は極めて良い。従来の溶接(いわゆるお面をかぶって行う溶接)では、加工前より金型の表面を劣化させることでもあったが、レーザー溶接機では、どこを補修したのかわからないほどの品質で加工できるという。同社では“清水の舞台から飛び降りる”覚悟をしてドイツ製のレーザー溶接機1台を導入。今から12年前、平成17(2005)年のことだった。
 このレーザー溶接機が大車輪の活躍をしたのだ。当時は、携帯電話が急速に普及しつつあった時。県内の樹脂成形メーカーも生産が追いつかない状況にあり、金型の修復依頼が後を絶たなくなった。半年後には2台目のレーザー溶接機を導入し、スタッフも増員。今ではレーザー溶接機はのべ5台に増え、金型の修復が事業の柱の1つに育ったのだ。

第3の売上げの柱候補がトヨタの展示会で注目

今回の展示商談会の様子

 この過程でキャステムは、平成27年12月、(一社)日本金型工業会に入会。同工業会では、会員は東京と大阪で隔年に開催される金型関連のビジネスショーに出展することができるのであるが、同社は翌年4月の「INTERMOLD 金型展 金属プレス加工技術展2016」(会場:インテックス大阪)に出展。そこである医療機器メーカーの開発担当者と出会い、「アルミと鉄を溶接して、脳外科手術で使う器具を開発したいので力を貸して欲しい」と打診されたのだ。
 大上社長は困った。なぜなら、アルミと鉄は「相性が悪い」とでも言えばよいのか、「この2つは溶接できない」というのが、ものづくりの業界、溶接の業界では常識であったからである。
 「アルミと鉄を溶接しても、単にくっつくだけで強度がありません。軽く手で振るだけで、ポロリと取れてしまいます。アルミと鉄の溶接は、いろんなものづくりの業界で試みられたようですが、解決策を見いだしたところはありませんでした。当社ではダメ元で取り組み、溶接棒の成分を何十種と変えていく中で、ある成分の時にアルミと鉄が強固に溶接できることを探り当てたのです」と大上社長は満面の笑みを浮かべて語るが、開発のきっかけとなった医療機器メーカーの担当者に「溶接が可能になった」と伝えたところ、すでに関心が他に移っていたため、その後の開発や応用については独自に研究を続けるしか方策はなかった。
 開発のきっかけが、医療機器メーカーからの引き合いであったところから、当機構の薦めもあって名古屋で開催された第3回メディカルメッセ(平成28年12月7〜8日、吹上ホール)に出展するも、来場者の反応はイマイチ。続く「新技術・新工法展示商談会in デンソー」では「自動車部品の軽量化との関連で注目されるのでは……」と期待したものの、来場者はあまり関心を示さなかった。
 2つの展示会出展を振り返って、大上社長が語る。
 「溶接や金属加工の業界では、アルミと鉄は溶接できないという前提で代替工法などを開発しており、『溶接が可能になった』と聞いても、あまりメリットを感じなかったのでしょう。そこで単に『溶接ができるようになりました』と訴えるだけでなく、軽量化や耐食性の向上などのメリットを、声に出し、文字にしてPRしなければいけないと思いました」
 この反省のもと、今年6月に出展した「第21回機械要素技術展」(6月21〜23日。東京ビッグサイト)では140名、その1カ月後にあったトヨタ自動車での新技術・新工法展示商談会では120名を上回る人々と名刺交換を行ったのだ。
 ちなみにキャステムがこの2つの展示会で紹介したのは、アルミや鉄などの「異種金属の溶接」の他に、レーザー溶接による「金型の精密補修」、銅の表面に鋼材を溶接して金型の長寿命化を図る「ハイブリッド金型」などで、「異種金属の溶接」は第3の売上げの柱として期待されるようになっていた。

「トヨタの展示会はよい」を実感

トヨタ自動車の展示商談会でのキャステムの展示内容。

 ともに極めて反応のよい展示会であったが、詳しく見ていくと両者には違いもあるようだ。機械要素技術展では88,500名が来場し、その中の140名が同社の展示内容に関心を示したようで、名刺交換の際の会話の様子から絞り込んでいくと、「フォローの営業が必要と思われるのは30〜40名程度」(大上社長)ではないかという。一方のトヨタ自動車での新技術・新工法展示商談会では、1,650名の来場者の中から120名程度の方が関心を持たれ、同じく絞り込むと「80名くらいになる」(同)そうだ。
 続けて大上社長が語る。
 「機械要素技術展では、80,000名を超える来場者があったとはいえ、ものづくり業界全般からお越しになっています。当然、溶接や金属加工との関連が薄い方もいて、個人的な関心で当社のブースにお立ち寄りいただいた方も多かったようです。ただ特化した展示会と違い、異業種進出やニーズを探ることを目的に、弊社の情報を広く発信するにはよい展示会でした」とまとめ、新技術・新工法展示商談会については「自動車関連の方ばかりで、ほとんどの方が事前配布の資料を読んでおられるようでした。その上で、出展社リストに○印をつけて、印をつけたブースを順に回っておられるのです。トヨタ関連の皆さんは、意識の高さがまったく違うのを感じさせられました」と次回の参加もにおわせるようなコメントを発するのだった。
 大上社長は新技術・新工法展示商談会への参加に当たって、出展経験のある企業のトップに、そのメリットについて尋ねたことがある。するとそのトップは「トヨタ展での来場者の関心の高さは群を抜いており、今後の開発のヒントを見いだすこともある。その上採用になったらこんなに良いことはない」と間髪を入れずに答え、「ウチはトヨタ自動車での展示会商談会にはできるだけ参加するように心がけている」と続けたのだった。
 その時の言葉の意味を、今回の出展をとおして大上社長は実感したのであるが、機械要素技術展でのめぼしいと思われる企業と合わせて120名(社)へのフォローの営業活動について戦略を、今練っているところだ。

  • とやま次世代自動車新技術・新工法展示商談会についての
  • お問合せ先/当機構・取引設備支援課TEL076-444-5603
  • (株)キャステムについて

作成日  2017/08/25

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