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とやま次世代自動車新技術・新工法展示商談会inMAZDA

マツダで初めての展示商談会を開催
手応えのあった企業が続々と・・・

広島県安芸郡府中町のマツダ本社のサプライヤーズセンターで
開催された「とやま次世代自動車新技術・新工法展示商談会」
(H30.11.14~15)の様子。

 「マツダの展示商談会の手応えは、上々でした」
 高岡市伏木で、産業機械の部品や装置をつくっている田定工作所の田益久社長が、昨年(平成30)11月に行われた「とやま次世代自動車新技術・新工法展示商談会inMAZDA」を振り返って語る。
 この展示商談会は、富山県と当機構が協力して開催しているもの。自動車メーカーの理解も得て、自動車産業が集積する地に県内企業の有志が赴いて、各社自慢の新技術や新工法をPRするものだ。過去にはトヨタ自動車、デンソー、本田技研工業でも開催してきた(延べ5回)が、今回初めて広島を本拠地とするマツダでの実施と相成った。
 本県からの参加は29社と1大学。最先端の金属部品・金属加工の技術を中心に、プラスチック関連の部材や加工法、自動車のIoT化をにらんでの情報技術が紹介されたほか、ある大学からは車内環境を向上させるためのソフトウエアや新しい表面強度評価法が展示された。
 対してマツダ側からの参加者は約600人。同社の製造部門、開発部門のスタッフをはじめ、マツダへ素材や部品、装置を納入している地元の企業の担当者なども訪れた。商談件数は延べ1,305件。1社平均では40件を越える商談が行われ、マツダサイドの熱意がうかがえるものとなった。
 それは来場者アンケートの一言コメントからも推測でき、「富山県企業の技術の幅広さを実感することができた」「楽しみな技術が盛りだくさんだった。この技術を最終的にわれわれがどう生かし、製造や開発の現場につなげるかが課題だ」「知らない技術もあり、たいへんに参考になった」と好意的な意見が多数寄せられた。
 その展示商談会に参加した田定工作所の田社長に、展示した製品についての反応や過去の自動車メーカー向け展示商談会の成果をインタビューし、合わせて新製品にかける思いなども語っていただいた。

画期的な撹拌システムを開発

開発初期の撹拌体の外観(上)とデモンストレーションの様子。
水中に浮かぶ樹脂は、撹拌体より放出される水により水槽内
いっぱいに広がる。

 まずは、同社がマツダで展示した新しい撹拌システムを紹介しよう。このシステムの元々のアイデアを考案したのは、ある塗装会社の社長で、業務の中での「困った」を解決しようとして、後に特許を申請することとなったこの画期的な撹拌システムを生み出した。
 通常、塗装会社では、複数の塗料を混ぜる際にはプロペラ型の撹拌機を使う。シャフトの先に扇風機の羽根のような小さなプロペラがセットされ、電気で回転するものだ。それを塗料を撹拌する容器(大体は一斗缶で代用)の中で高速回転させると、反動によって撹拌機を持つ手がぶれ、プロペラが缶に当たることがある。この衝撃で缶にキズがつき、微細な金属片が塗料の中に入ってしまうことがある。またプロペラによる撹拌では、塗料に空気が混入して泡立つこともある。これら微細な金属片や気泡が、塗料がスプレーで噴射される際に障害となり、塗装ムラを起こしているわけだ。
 仮にこの塗装ムラが新車に発生し、検査の際、たまたま見落として納車されたとしよう。エンジン等にはまったく問題がなくても、商品としては不良品としてお客様から返品されることになる。この課題に立ち向かおうとしたのが先の塗装会社の社長だ。それをある弁理士の紹介で田定工作所が支援するようになり、撹拌体の試作やバリエーション展開が模索なされるようになった次第である。
 撹拌体のヘッドを手にし、田社長が語る。
 「これをシャフトに固定して液体の中で回転させると、撹拌体内部に入った液体が遠心力によって外側に放出されます。すると、撹拌体内部は一種の真空状態になり、シャフトとの接合部の脇の穴から液体が吸い込まれる。この繰り返しで、金属片や気泡を発生させることなく、複数の液体を均一に混ぜ合わせることができるのです」

28の塗装ラインに導入

マツダの展示商談会での田定工作所のブース。
デモ機の実演を見ると皆感心されたという。

 田社長は、この撹拌システムを持って、マツダをはじめとする過去のとやま次世代自動車新技術・新工法展示商談会に参加してきた。展示会場では、写真のようにデモ機を使い、撹拌体を回転させて水中をただよう樹脂の動きを来場者に見ていただいた。
 中には樹脂の動きを目にして「あっ!」と叫び、急ぎ同社のブースを後にした人もいたという。そしてしばらくしてまた現れ、「素晴らしいアイデアだ」と絶賛。田社長が話をうかがうと、その来場者はデモ機を見た途端に水槽内の液体の動きが想像できたようで、それを自席のパソコンでシミュレーションし、複数の液体がムラなく混ぜられることを確認した、というのだ。
 「自動車の塗装はきわめて繊細です。最近では独自のメタリック仕様の塗装で、車の存在感をアピールされるメーカーもありますが、そうなると塗装ムラも発生しやすい。この撹拌機を導入された企業では、導入から3カ月間、塗装ムラの発生はゼロだとうかがっています」
 と田社長はニコニコ顔で過去の自動車メーカー向けの展示会での実績を紹介。ある企業では、28の塗装ラインでこの撹拌機が採用され、別な企業では社内での検証用に2セット購入し、実証実験を続けていることを明かしてくれた。そして冒頭のコメントのように「マツダでの展示商談会の手応えは上々でした 」と続け、これからの成果に期待を寄せるのだった。

水質改善にも期待が

撹拌する対象物の性質によって、撹拌体を交換すると幅広く応用
できることがわかり、バリエーションも豊富になった(上)。
シャフトに空気を通すと水中に気泡を拡散するようになり、
池の水質改善などにも威力を発揮する。

 さてこうして展示会で新しい撹拌機をPRし、また個別の企業を訪ねての営業活動を展開していると、口コミで撹拌機のことが伝わり、さまざまなラインでも採用されるようになった。田社長によるとそれは、ケーキのホイップクリームをつくる現場、パンメーカー、甘酒メーカー、豆腐メーカー等々。ある世界的なタイヤメーカーでは、世界の工場がこの撹拌システムに切り替える様子。粘度の高い液体での撹拌には限度があるそうだが、「夏の蜂蜜くらいの粘度なら、専用の撹拌体に付け替えると均一に混ぜることができる」と田社長は太鼓判を押す。
 またある製紙工場では、印刷インクをきれいに発色させるために紙の表面をコーティングしているのだが、そのコーティング液をつくる際にも撹拌機を使用するようになったという。
 「コーティング液にはある成分が添加されていて、これは絶えず撹拌しないと沈殿してしまう。そこでプロペラを回転させ続けるのですが、そうすると他の薬剤の分子がプロペラのエッジでせん断力を受け、薬剤が変質してしまうのです。ところが、われわれの撹拌機では沈殿も薬剤の変質も起こりません」と田社長は製紙工場の採用例を紹介し、「その担当者はいい撹拌機に出会った」と喜ばれている様子を語った。
 この撹拌システムのシャフトを、ストロー状のものに交換して高速回転させると、液体を混ぜるだけでなく空気も自動的に送り込むようになる。これを池などで行うと、水質改善の効果があることがわかり、香川県の丸亀城で実証実験を実施。長野県のあるお寺でも、池の浄化を期待して導入が検討されているところだ。
 塗装ムラを改善するための新技術は、自動車産業向けの展示商談会出展を契機に、日本中に知られるように。この展示商談会そのものが、情報の“撹拌体”になったようなものだが、展示商談会に参加したほかの企業の新技術・新工法も注目され、田定工作所同様に手応えを感じた企業がいくつもあったことを付け加えておく。
 ちなみにこの自動車産業向けの「とやま次世代自動車新技術・新工法展示商談会」は、新年度も計画しており、詳細が決まり次第、当機構のホームページなどを通じて告知する予定だ。

株式会社田定工作所の問い合わせ先
所在地 〒933-0114 高岡市伏木古府1-2-33
TEL 0766-44-0925
FAX 0766-44-6270

とやま次世代自動車新技術・新工法展示商談会 の問い合わせ先
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     公益財団法人富山県新世紀産業機構 取引設備支援課
TEL 076-444-5603

FAX 076-444-5644
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作成日  2019/03/12

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