第22回 株式会社オーギャ 産学官連携推進事業事業|ロボット研究開発 TONIO Web情報マガジン 富山

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産学官連携の様子をご紹介しながら、将来、売上げの柱になる可能性を生む新技術・新製品誕生のドラマを追う!

第22回 株式会社オーギャ

「小型・高機能・安価」をキーワードに
独自のセンサ開発に進んで

導電ラバーとペット素材からなるオーギャのセンサの最小単位(上)
とロボットの手に実装された状態。

 「ここまでくるのに7年かかりました。おかげである自動車メーカーの高級車に採用されて……」
 感慨深げに語る水島昌徳社長。7年越しに開発してきた同社の薄型触覚センサが、誰もが知る世界的な自動車メーカーに採用されたのだ。その副次的な効果は大きい。自動車をはじめとする他の機械メーカーが噂を聞きつけ、オーギャに関心を持つようになったばかりでなく、同業のセンサ業界においても耳目を集める存在になったのだ。問い合せの件数が増えてきたのはいうまでもない。
 「導電ラバー、ペットボトルと同じ素材の樹脂フィルム、そのフィルムにスクリーン印刷された電極。当社のセンサはこれらの簡単な部材で構成されていますが、簡単なるがゆえに軽く、多方面での展開が期待されるものとなっています」と水島社長は胸を張る。
 今回のレポートは、その薄型触覚センサの開発を追ったものだ。

力の強弱までも検知するセンサ

新しいシステムのセンサが「オギャー」と産声をあげたと喜ぶ
水島昌徳社長。 ちなみに社名のオーギャはOriginal & Good
for Allの頭文字からきている。

 平成20年、水島氏は開発型のベンチャー企業を退職後、新たなセンサ商品を模索していた。導電ラバーとペットフィルムでつくる軟らかい押し圧センサを新たに考案したが、なんとかお金をかけずに検証しようとしていた。そんな時、ホームセンターでミラー壁紙(ペットフィルムにアルミを蒸着したもの)を見て、「表面のアルミをエッチングすれば電極パターンを安くつくれる」とひらめき、富山県工業技術センターの半導体加工設備を利用して動作検証した。その後、無料相談を受けながら自力で特許出願し、この技術をもとに平成21年2月にオーギャ創業に至ったのだ。
 氏はさっそく当機構の「次世代ロボット技術開発支援事業」(平成21年度)による支援を求め、富山県工業技術センターや富山県立大学に共同開発を持ちかけるとともに、東北大学・早稲田大学の旧知の教授にアドバイスを依頼。水島社長はこの後にも公的支援による共同開発を進めていくことになるが、この産学官連携を縁に前記のメンバーがサポートを続けるようになった次第だ。
 最初の共同開発で取り組んだのは「ロボットハンド用超低コスト把持力センシングシステムの開発」。ひらたくいうとロボットの手がモノをつかむ際、つかむ力を強くし過ぎてモノをつぶさないようにするために、あるいはつかむ力が弱過ぎてモノを落とさないようにするために、つかむ力の検知とその強弱をコントロールするためのセンサを開発しようというのだ。
 「こうした目的のセンサは従来もありました。しかし極めて高価で、モノとしても大きく、実用には不向きなところがありました。また形だけはよく似た薄型の触覚センサもありますが、それはタッチしたかどうかを検知するためのもので、力の強弱までセンシングできるものではありません」
 水島社長がいう類似の触覚センサとは、薄型ノートパソコンなどのキーボードの裏に使われているもの。アメリカの企業が開発して高いシェアを誇っているが、オーギャでは把持力のセンシング機能を付加して、その上を行こうというのだ。

医療・介護の分野での応用を

 そのミソとなるのが導電ラバーによる電極とペット(PET)基材にパターン印刷された銀電極。下に同社のセンサの原理的なところを示そう。導電ラバーの内側には小さな突起があり、荷重の大小を検知(専門的には、静電容量の変化を検知)し、ラバーとペット基材の組み合わせにより曲面に張って使うことも可能になった。従来の薄型センサでは電極は両方ともペット基材で、一時的に曲面に張り付けることはできるものの、しばらくして浮き上がったり表面が割れたりして、曲面では使用できないという限界があったのだ。
 それゆえオーギャが開発したセンサの登場により、ロボットハンドで生卵や薄い樹脂のカップを持つことが可能に。しかも従来品では、ロボットの指1本で数百万円を要していたものが、同社のセンサを使った場合は、片手分でも数万円で済むようになったのだ。
 「ある楽器メーカーでは、電子ピアノの鍵盤に装着して、鍵盤を叩いた時の強さを測定することを試されました。残念ながら、そのセンサを搭載した電子ピアノは商品化まではいきませんでしたが、他の多くのメーカーさんがこのセンサキットを購入され、自社製品とのマッチングの中での新しい商品開発を模索され、それが今も続いています」(水島社長)
 そして平成22年度に入って今度は高度技術実用化支援事業の適用を受けて「せん断力検出可能なローコスト触覚センサの研究開発」に着手。これは、平面(二次元)に加わる力のずれを検知するための安価な触覚センサを開発しようというものだ。
 「この試作的なセンサは完成し、国内幾つかの研究所からの依頼で、床ずれ検知や衣類のこすれ検知に役立たせることはできないかと相談を受けました。テストは今も繰り返しているところで、商品化が期待されています」と水島社長は語り、その背景を大要以下のように話された。
 既存品を用いて床ずれ防止センサを開発した場合の、1人分(ベッド1台分)の費用は約800万円。あまりにも高額なため実際の普及は進んでいないといってよい。しかし医療現場では、国内約1000万病床のうち、なるべく多くのベッドに導入したいという要望が根強く、安価な床ずれ防止センサが開発されれば普及が相当進むのではないか……というのだ。

同社のセンサの原理図。押し圧を検知するセンサはこの1軸検出型で、せん断力検知は2軸。3軸型の検知もできる。

リハビリのメニュー作成に生かす

面圧分布検出の応用からつくられた足の裏の体重移動を検知する
センサ(ものづくり中小企業・小規模事業者試作開発用等支援補助金
(24年度補正)の適用を受けて、補完的な研究開発も行われている)。

 また医療や介護に携わる方々からはこんな要望も寄せられた。ロボットハンドに用いるセンサを面にして応用すれば、新しい用途が出てくるのではないか。例えばリハビリの現場で使うことができる……と。このヒントをもとに取り組んだのが、当機構の次世代ロボット技術開発支援事業(平成24年度)の採択を受けて進められた「面圧分布検出の基礎研究」だ。テレビや雑誌等で、プロスポーツ選手の体重移動をデータ化し、指導に生かしている様子が紹介されたことがあるが、安価なセンサでそれをリハビリに応用しようというのである。  「足をケガしてリハビリ中の方がいたとします。その方が歩く際の足の裏の体重移動の様子を検出してデータ化すると、例えば蹴りが弱くて足が地面からしっかりと離れていないために、つまずいて前に転んでいたことがわかるようになるのです」と水島社長は語り、手づくりのスリッパのようなものを取り出した。そして「このスリッパには192個のセンサが取り付けられていて、そのデータが無線でパソコンに飛ばせるようになっています。これを履いて歩くと、着地から蹴り上げるまでの足の裏の体重のかかり方が一目瞭然となり、それをリハビリのメニュー作成に生かせるようになるのです」と続けた。

数々の賞を受賞

平成25年度ロボット技術研究交流事業の支援によって出展した2013国際
ロボット展の同社のブース。

 水島社長はこうした研究成果を、センサやロボット関係の学会や展示会などで発表して数々の賞を受賞。「第25回中小企業優秀技術・新商品賞」(2013年)では優秀賞に、「第12回中部科学技術センター顕彰」(2013年)では振興賞に、そして「2014年度日本機械学会賞」では日本機械学会賞(技術)に輝くなど着々と技術を高め、それらを含む信頼を背景に先の高級車での採用に至ったわけだ。
 水島社長が語る。
 「自動車などの機械では、部品点数を減らすためにダイヤルやレバーなどを少なくする傾向にあり、触覚センサを応用したタッチパネルが注目を集めています。しかしタッチだけでは『押した』という感覚が乏しく、またタッチによって操作が始まっているのかどうかがわかりにくい、という難点もあるようです。そこで当社のセンサのような押圧を検知するようなシステムが必要になってくるのですが、もっと小型化してほしいという要望が多数寄せられました」
 こうしたニーズを受けて同社では、従来の薄型触覚センサのさらなる小型化を模索。とやま中小企業チャレンジファンド事業(平成27年度)の採択を受けて、ロボット等へ手軽に組み込むことができる超小型触覚センサキットの開発に乗り出した。
 水島社長の話をうかがっていると、同社のセンサ開発の方向性はいわゆるロボット分野での応用と、医療・介護などの現場で使用されるものの2つに収斂(しゅうれん)されつつある様子。中でも、差し迫った必要性から医療・介護分野で働く人々からの要望がたくさん届いている。そのひとつが、障害者向けヘルスケア用具開発にあたっての使いやすさの向上だ。例えば薄型触覚センサでデータをとって、より使いやすい義手や義足をつくることができないか、というのだ。
 「これにはいくつか課題があって、ひとつには、より伸縮性のあるセンサの素材が必要になります。センサの原理的な説明のところで、当社のセンサは曲面に張ることができることを申し上げましたが、今の課題をクリアするためにはさらに1歩進んで球面に張れるようにならなければいけない。そのためには導電ラバーのラバーそのものから開発する必要があるのです」
 かくいう水島社長は、この声に答えるべく平成28年度の産学官連携推進事業(先端技術実用化支援枠)の採択を受けて、導電系のシリコンラバーの開発に乗り出したのだった。
 ちなみに同社の基本的なセンサキットの価格は十数万円。既存品で構成した場合800万円程度かかる床ずれ防止センサを、水島社長は高齢者や障害者の負担を軽くするために、数十万円程度に抑えられないかとさらなる創意工夫を続けている。

[株式会社オーギャ]
 高岡事務所 高岡市二上町122-205
 TEL 0766-73-2030 FAX 0766-73-2030
 URL http://www.oga-inc.jp/

作成日  2016/09/30

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