第43回 有限会社片口屋 小さな元気企業応援事業 TONIO Web情報マガジン 富山

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第43回 有限会社片口屋

新しい製法でできた鰤の魚醤
素材が出世魚だけに成長が期待される

新しい需要を掘り起こすための商品開発に熱心な片口
敏昭専務。

 和食のよさが見直され、ユネスコの無形文化遺産に登録(平成25年)されたとはいえ、その基本的な調味料である、みそ・しょうゆの国内消費量は微減を続けている。例えば、しょうゆ情報センターの統計からは、1970年代のピーク時に比べて3割程度のマイナスがうかがわれ、「家計調査」にもみその同様の消費量減が表れている。
 そうした世の中の流れに抗しようと、地元商工会のアドバイスで片口屋の片口敏昭専務は立ち上がった。まず試みたのは昨今の健康志向に合わせた「薬膳みそ」と、テレビで紹介していたレシピをヒントに「はちみつみそ」の開発を企画。近所のよしみで富山大学医学部の漢方に詳しい教授にアドバイスをいただくとともに、同社社長の自然食に詳しい友人に試食していただくなどして意見を求めた。そして手前みそながら当機構では「小さな元気企業応援事業」(平成25年度)で、商品開発を2年にわたってサポートしたのである。

ひょうたんから駒で商品化

ひき肉をそぼろに調理する際、この「はちみつみそ」で調味す
ると、それだけでご飯が何杯も進む、とか(生姜入りもある)。

 「おかげさまで『はちみつみそ』は平成26年の秋には商品化され、小矢部のアウトレットや農協の直売所、自然食品を扱うお店で販売されるようになりました」(片口専務)
 薬膳みその開発については、27年度以降の“宿題”となったのだが、その宿題をこなす余裕もないほど忙しい事態が出来(しゅったい)。それは、その一方で開発を試みていた鰤を使った魚醤(商品名/鰤醤)が引く手数多の人気商品になったのである。
 事の経緯を紹介しよう。
 時は平成25年暮のこと。石川県立大学で醗酵食品についての講演会が催された。講師は福井県立大学のある教授。もとは大手食品会社で商品開発に取り組み、工場長も務めた御仁。業界では、魚醤の第一人者として知られていた人物だ。講演会後の交流会で、片口専務は教授と名刺交換したのであるが、その際教授が「富山湾でとれる鰤で魚醤をつくったら、うまいでしょうね」と話しを振ってきたのだという。
 「私は最初、教授のおっしゃることが半信半疑でした。実際につくったらおいしいかもしれませんが、開発のお手伝いをしていただけるとは夢にも思っていませんでした。それで年が明けて教授に電話を差し上げると、原料をどんどん送って欲しいといわれたのです」(片口専務)

人気の鰤醤(氷見産鰤のみ使用)。2カ月ほど
の期間限定で、JR上野駅・秋葉原駅など土産
物店でも扱われ、グレードが上のホテルや旅
館なども採用し始めたという。

 ここでいう原料とは鰤の内臓のこと。専務は県内の鮮魚店を回ってその提供をお願いし、冷凍して福井県立大学へ送り続けたのである。
 鰤の魚醤が完成したのは平成26年4月のことだ。通常の魚醤は1年ねかせる(醗酵させる)が、教授が開発した新製法では、55度に温め3日間醗酵させる。醗酵期間が短いため塩分を抑えることができ(一般的な魚醤は塩分25%程度。新製法では15%前後)、また遠心分離機にかけ臭いの元となる油分を除去するため魚醤独特の臭いも少ないものとなった。
 さっそく容器等も整えて、同年12月の寒鰤シーズンから生産を開始。氷見産鰤が原料の場合は1本1,200円。その他富山湾産鰤の場合は1本1,000円(ともに120cc、税込み)。普通のしょうゆに比べて割高なのだが、道の駅、高速道路のサービスエリア、ホテルの売店などが「販売したい」と次々に手を挙げ、またホテルや旅館の料理長がその深い味わいを気に入って扱うようになったのだ。
 こうなると問題は、生産量を確保すること。従来は、委託生産していたのだが、「片口屋の工場で設備を整え、量産したらいいのではないか」(片口専務)と思ったのだ。

施策担当者も期待する新商品

鰤醤で味付けした「バイ貝入り炊込みご飯の素」も開発。「富山の海の幸が感じられる」とこちらも
人気商品に育ちつつある。

 各方面からのアドバイスを受け片口専務は「ものづくり・商業・サービス革新補助金」(経済産業省)の支援で設備を整えようと考えた。26年度は2回申請したが採択されず、半ば諦めかけていた時、別件で訪ねた県の商工労働部から当機構を紹介され、そのアドバイスに沿って3度目の申請書類を提出。そこでも不採択となったが、採択に向け何度も議論を重ね、ようやく4回目で採択となったのだ(26年度後期)。
 「諦めてはだめ。様々な角度から検討することが大事。マネージャーの助言が本当にありがたかった」と片口専務は語り、「おかげで国の支援を受けることが決まり、28年3月頃の完成を目指して、細部の打ち合せなどを行ってきましたが、マネージャーは次に『量産を前提にした顧客開拓を試みるべきだ』と提案してくれたのです」と続けた。
 片口専務はここでもその提案を受け入れて、当機構の専門家派遣制度(平成27年度)を活用して、東京からフードコーディネータを招聘。鰤醤を使ったレシピの開発に乗り出すとともに、そのフードコーディネーターを講師に料理教室を開催し、主婦層への訴求を図るだけでなく、地元メディアの取材を通じての宣伝も試みたのだ。

東京で活躍するフードコーディネーター(富山県出身)に依頼してでき
た鰤醤を用いたレシピの例。ベトナム風サラダ(上)と鯛の広東風蒸し。

 「こうしたレシピの開発や料理教室は、あまり臭わず、また塩分濃度も高くない鰤醤を身近に感じていただくいい機会になったと思います」
 8月29日に開催された料理教室を振り返りながら片口専務は語るが、量産に向けての準備は着々と進んでいるようだ。
 ここでマネージャーはもう一言つけ加えた。
 「これからは顧客がもっと増え、在庫や出荷の管理、入出金の管理等が煩雑になる。POSシステムなどを導入して、販売管理を合理化するなどの改善に、忙しくなる前に取り組んだらいいのではないか」と。これに関しては、業務改善助成金(厚生労働省)の採択を受けて、平成28年の年初より本格的に取り組むようになった次第だ。
 いずれの支援施策の事務担当者も、扱う素材が鰤であるだけに、この新事業がどこまで“出世”していくのかを楽しみにしているようだった。

所在地/射水市戸破荒町6362
代表者/片口 淑子
資本金/1100万円
従業員/4人(パート等含)
事 業/味噌・醤油の製造販売
TEL/0766-55-0003 FAX/0766-55-4531
URL/http://www.kataguchiya.com/

作成日  2016/02/22

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