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第41回 有限会社四津川製作所

新商品・ぐい呑み「kisen」(喜泉)が大好評
従来品にも波及して大忙しに

各種のぐい呑み「kisen」。デザインによって
「FUJI」「WAN」「KOKESHI」(手前、左から右)、
「BAMBOO」(TALL)「HORN」「BAMBOO」(SHORT)「DON」
(奥、 左から右)などがある。代々続く屋号をブランド名にした。
平成26年度のグッドデザイン賞を受賞。

 当機構の「地域資源ファンド事業」の助成を受け始めて、1年数カ月した頃(平成26年秋)のこと。四津川製作所の四津川兄弟(兄/元将氏:社長、弟/晋氏:ブランドプロデューサー)は、忙しさで悲鳴を上げていた。弟の晋氏が「このままではどちらかが先に倒れる」と兄に投げかけると、「社員を1人増やして、自分たちの業務を軽くしよう。新商品のブラッシュアップができないし、このままではお客様にご迷惑をかけるかもしれない」と返してきた。
 ここでいう新商品とは、平成26年2月にデビューした、ぐい呑み「kisen」(喜泉)であり、お客はその販路として開拓された十数店のデパート等のことだ(後にもっと増える)。いずれも助成事業を通じて新たに生まれたもので、同社の従来品の生産、出荷の対応と合わせて、2人は毎夜10時、11時まで働き詰めの日々。休日も取れなくなっていたのだ。

「kisen」を本格的に始めると、従来の商品も動き
出しました」と語る四津川元将社長。27年夏までに
2名の増員になった。

 それから1年も経たないうちに、さらに1名を増員するようになるのだが、「ファンド事業の助成を受けて、商品開発と販路開拓に取り組もう」と兄弟が口にし始めた平成24年には、この忙しさは想像すらできないものだった。

展示会初出展でデパートとの取り引きが……

「東京インターナショナルギフトショー春2014」に出展した際の
同社のブース。

 話を4年前に戻そう。四津川兄弟が、新商品「kisen」の元になるアイデアを抱いたのは平成23年のことだ。装飾品ではなく、生活の中で使うカトラリーの開発を目指したのだが、食品衛生法上、銅を食器として使うには銀または錫によるメッキが必要という規定があった。そのため兄弟は、二の足を踏んでいたのだ。それを「木とのコラボ」という社長のアイデアで一歩踏み出し、商売の復活を期したのである。
 ただ、“銅と木のコラボによる商品開発を……”といっても、その可能性は数多(あまた)ある。2人は連日夢を語り合ったが、長引く銅器産業低迷の中で、形になったものが早く必要になった次第。そこで基部に真鍮(銅と亜鉛の合金)を使って重心を低く安定させ、器の部分は水目桜をろくろで挽いたものでかたどり、それらを一体化させてぐい呑みとすることを思い立ったのだ。
 この時点では、具体的な形やデザインが決まっていたわけではない。そこで兄弟は、前年度に当機構の支援事業を活用した同業者にアドバイスを求め、ファンド事業を活用しての商品開発と販路開拓を望むようになったのだ。

「kisen」のひとつFUJI。ギフトショーのバイヤーズガイドブックの
表紙にも採用された。木の部分を漆で加工するなどの展開を、
今後は図っていく。

 「おかげで平成25年夏に認定を受け、具体的なデザインを起こすとともに試作品もつくり、駆け足で商品化を図りました。そして翌年2月の『東京インターナショナルギフトショー春2014』でお披露目したのですが、大変に評判がよかったのです」
 社長の回想をまとめると以下のようになる。
(1) バイヤーズガイドブックの表紙に、「kisen・FUJI」が掲載されて注目を集め、3日間の会期中、ブース前に人だかりが絶えなかった。
(2) 特にデパートのバイヤーからの引き合いが多く、具体的な取引開始に結びついた。
(3) ぐい呑み「kisen」をきっかけに、当社の既存商品にも関心を持っていただいた。
 同社ではこの後、ファンド事業の助成を受けて、「インテリア・ライフスタイル東京2014」、2015年春のギフトショーにも出展するのだが、前記の(2)、(3)はその都度実感したのだった。

世界の市場も見えてきた

ドイツの消費財見本市「Tendence」(テンデンス)に出展した際の
様子。左はブランドプロデューサーの四津川晋氏。

 「最初に『kisen』のオーダーをいただいたのは、老舗デパートの銀座店でした。フロアーマネージャーの方が、『kisen』を一目惚れされたようです。その銀座店を皮切りに姉妹店からもご連絡いただき、また他のデパートからも『kisen』を売り場に並べたい』とお声をかけていただきました。正直なところ、こんなに反響があるとは……」
 デザイン等をプロデュースしてきた晋氏(弟)にとって、これは予想外のこと。また後には、展示会出展を支援する「販路開拓挑戦応援事業」(H25)や、商社OB等の支援を受けながら販路を開拓して行く「中小企業首都圏販路開拓支援事業」(H26)などにも採択されたことが功を奏して、合計40店近いお店が「kisen」を扱うようになったのだ。
 展開はまだ続く。フィンランド在住の晋氏の友人(デザイナー)の勧めを受けて、ドイツで開催される消費財の見本市「Tendence2014」に出展しようと主催事務局にアプローチすると、「2人分の交通費、宿泊費を事務局で負担するから、ぜひ「kisen」を持ってTendenceに出展して欲しい」と招待されたのだ。そして見本市では、サンプル出荷が数件決まった他、フランクフルトで日本酒バーの開店を企画していたオーナー(石川県出身)が「kisen」に目をとめ、お店の酒器として使うとともに、日本の工芸品として販売したい、と申し出てくれたのだ。

同社は、地域資源ファンド事業の支援を受けて「台湾文博会」に
出展(H27年4月29日~5月4日)。文博会では、デザインや創造
性に富んだ商品を表彰する「Cultural and Creative Award」が
実施され、世界中から集った615社の中から上位30社に「特賞」
が贈られた。四津川製作所の「kisen」もその栄誉に輝いたので
ある。

 一連の好評価を背景に、四津川兄弟は漠然と思っていた「kisen」のバリエーション展開や海外での販路開拓も本格化させようと、国の「地域資源活用プログラム」の申請も検討するように。当機構の専門家派遣制度を活用して書類を作成するとともに、プレゼンテーションの準備も整えて審査に臨んだところ、これも採択になったのだ(H26)。
 こうして「kisen」の販路が開けてくると、「四津川さん他の商品はないの?」とバイヤーの皆さんが尋ねるようになってきた。そこで従来品(香炉、仏具、鉄瓶など)のカタログなどを手渡すと、“これも、それも、あれも”とオーダーが膨らみ、2人の睡眠時間や休日を奪うようになったのだ。
 兄弟の悲鳴は、うれしい悲鳴だった。

所在地/富山県高岡市金屋町6-5
代表者/四津川 元将
資本金/1000万円
従業員/5人
事 業/香炉や干支置物、鉄瓶などの銅器製作
TEL/0766-30-8108 FAX/0766-26-1063
URL/http://www.kisen.jp.net/

作成日  2015/08/04

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