第37回 氷見昭和館 創業・ベンチャー挑戦応援事業 TONIO Web情報マガジン 富山

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第37回 氷見昭和館

趣味で始めた昭和レトロの展示館。
事業として育て、拡大。そして…

デストロイヤーと力道山の一戦に釘付けになる入館者。テレビが
世に出た当初は、「街頭テレビ」といわれて、20~30人がテレビを
取り囲んだ時もあった。

 氷見昭和館。「オールウェイズ……」の映画の頃に生まれた編集子にとっては、この施設は昭和の懐かしさがいっぱい。平成生まれのアシスタント女史は「こんなテレビあったのですか」と画面の周りに金属のフレームのあるテレビに目が釘付けに。おまけに白黒映像で、力道山とデストロイヤーの一戦(もちろんプロレス)が繰り広げられていた。
 アシスタントは、昭和のかおり濃い模擬店を覗くたびに感嘆の声を上げ、「こんどお母さん連れてきてあげよ」「今日の取材、ツイッターで紹介したい」と目を輝かせていた。
 この氷見昭和館。そもそもの始まりは、館長の蔵田幹善さんが珍しい5円玉に出合ったのを機に芽生え、当機構の支援が一種の追肥となって、もうすぐオープン3年目を迎えるところだ。

最初は趣味で始めたが…

最初に再現したのは、このたばこ屋など3つのお店(赤いトレー
ナーは館長の蔵田幹善さん)。2階には懐かしい酒屋などもある。

 今から11年前の平成15年のこと。当時52歳だった蔵田さんは、職場の同僚が持っていた「穴なし5円玉」を見て、「なんちゅー珍しいもん、持っとるが…」(氷見弁で)と声を上げた。
 その5円玉は、昭和23~4年だけにつくられたもの。昭和26年生まれの蔵田さんも、今まで数えるほどしか手にしていないし、昭和の終わり頃からは見た記憶も定かではない。同僚に「穴なし5円玉」を譲ってもらってコインショップに行くと、あるはあるは古いお札や硬貨の山。それを見た途端に、子どもの頃お菓子のパッケージを集めていた記憶がよみがえり、蔵田さんの収集家魂に火を点けてしまったのだ。
 中年になってからの趣味は、のめり込むという。蔵田さんも例外ではなく、昭和の紙幣・硬貨を集め終えると、次にはかつてよく見かけたホーロー看板(大村崑の栄養ドリンク、由美かおるの蚊取り線香の看板など)に関心が向かい、後にはさらに広がって昭和の文物全般を集めるように。いつしか自宅の座敷、廊下、玄関は収集物であふれ、人の住む場でなくなってしまった。
 「一歩間違うと、ゴミ屋敷でした。でもコレクションとしてきちんと保管していましたので、倉庫でもあれば…と思うようになったのです」(蔵田さん)
 氏の定年の2年前、倉庫付きの空き店舗が売りに出されたので買った。倉庫は天井が高く、大工さんに頼んで平屋の町屋風古民家を再現。その軒先を模擬店に見立て、昭和レトロな品々を展示する構想をいだいていた蔵田さんは、簡単な棚などは自らがノコギリを引くことに。コンパネ、垂木、古いガラス入り引き戸を利用して、たばこ屋、電気店、雑貨店の店先をつくった。またその一角に昭和の喫茶店を再現し、コーヒーを出すことにした。
 空き店舗を入手してからおよそ2年。蔵田さんは定年(平成23年3月)を待って氷見昭和館をオープンすることに。開館日は施設の名にちなんで昭和の日(4月29日)とした。
 氷見昭和館は、蔵田さんの趣味の賜物だ。コーヒーは有料としたものの、展示コーナーの見学は無料。館のメンテナンスと奥さんとの喫茶店運営で、定年後をゆっくり楽しむつもりだった。
 ところが、である。氷見昭和館のオープンが報道により知れ渡ると、週末には、多い時で1日200人が訪れることも。また「氷見で何やらおもしろいことを始めた人がいる」と噂が広まり、それが当機構の中小企業支援施策普及員の耳にも入った次第。普及員はオープン間もない氷見昭和館を訪ね、「展示コーナーをもっと充実させて、入館料をいただくようにしたらいい。館の運営をビジネスとしてとらえ直したらいいのではないか。事業として取り組むのなら、公的な支援の可能性もあり得る」と蔵田さんにアドバイスしたのだった。

助成を受けて模擬店充実。入館者10倍に

壊れて廃棄予定だったジュークボックスを譲り受け、電気技術に
詳しい友人の協力を得て修理。懐かしい昭和の歌謡曲が聞ける。

 「最初は、“これだけの展示物で入館料をいただくのは…”と思っていました。ところが来館されるお客様が『うちにこんな物があったけど、お役に立つようなら差し上げます』とレトロなものを寄付してくださるようになったのです。また友人知人を介して、古い文具店、おもちゃ屋さん等が店じまいする情報が入り、店舗の備品などを安く譲っていただくこともできました」(蔵田さん)
 数カ月もすると模擬店10店分ほどの品々が集まり、館内の充実を図ることが可能に。そこで蔵田さんは普及員の助言に沿って、8月から入館料(高校生以上200円)をいただくことを試みた。すると、毎月3万円ほどかかっていた水道光熱費が、入館料収入でまかなえるようになったのだ。
 これらを受けて蔵田さんは、1階に駄菓子屋、おもちゃ屋、文具店など5店の模擬店を、2階を建て増して薬屋、酒屋、写真屋など7店の模擬店を増やす計画を立案。翌平成24年度に入って「創業・ベンチャー挑戦応援事業」に応募し、採択の知らせを受けて、模擬店を増やす工事に入った。助成金は、この工事費に充てられたわけだ。

旧国道(160号)沿いにある氷見昭和館の外観。
懐かしいホーロー看板の他、映画館や演劇場の前に掲示された
昭和のスターの看板が目を引く。

 リニューアルオープンは平成25年2月2日。展示物の充実に当たり、高校生以上300円、小中学生200円と入館料を改めた。またリニューアルオープン1月ほど前に、本格的なリーフレットを作成して市内の民宿や旅館、観光案内所に配布。さらには運良く、4月には東京のテレビ局の人気番組で取り上げられ、平成25年の入館者数は以前の10倍近くになった。
 趣味ではじめた氷見昭和館も、立派なビジネスに育った。蔵田さんは今は、「氷見平成館」の構想を練っているところだ。

所在地/富山県氷見市柳田526-1
代表者/蔵田 幹善
資本金/個人創業
従業員/1人
事 業/昭和の文物の展示館運営、喫茶事業
TEL/0766-91-4000 FAX/0766-91-0784

作成日  2014/01/30

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