第35回 株式会社サンリツ 専門家派遣事業 TONIO Web情報マガジン 富山

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第35回 株式会社サンリツ

「知的資産経営報告書」を作成
それがまた新たな資産をつくって…

同社の「知的資産経営報告書」をまとめた冊子。
印刷製本して関係者に配布された他、経済産業省
の「知的資産経営ポータル」にも掲載されている。

 「この知的資産経営報告書を当社の事業計画に生かすのはもちろんですが、これを当社のPRに使うことはできませんか」
 報告書の出来映えに満足された大津賀則男社長は、当機構のマネージャーに問いかけた。問われたマネージャーは、何か方策はあるかと思って中部経済産業局に問い合わせると、「経済産業省のホームページの中に、全国の報告書を紹介するコーナーがあり、そこに掲載することは可能だ」と返ってきた。
 参考までに報告書を紹介している「知的資産経営ポータル」のURLを文末に紹介しておく。そこを開いてみると、多くの企業の報告書がpdf形式で掲載されているではないか。しかも、そのほとんどは上場企業または大企業だ。その旨を大津賀社長に報告すると、「会社の規模が問題なのではなく、健全経営を目指して何をしているかが重要なのです」と凛としている。
 当機構では中部経済産業局の協力を得て、サンリツの知的資産経営報告書をポータルサイトに掲載されるよう事を進めたのだが、これがまた思わぬ形で役に立つようになったのである。

大企業に技術でまさって…

同社の製品の一例「スペーサージョイントテラプレス」(中・大口
径用)。マンホールの躯体にアンカーボルト等の打ち込みを必要
としないため、マンホールの強度が低下しない。

 大津賀社長はもともとは下水道工事を行う企業に勤めていた。平成3年にサンリツを設立するまでは、この道20年のベテランだった。技術者として毎日工事現場に立ち、若手の育成にあたっていた同氏であったが、工事をしながらいつも思うことがあった。「配管と継手が、どうもしっくりこない。オレだったら継手をこうつくるのに…」と。
 当時の継手は、大半は輸入物が使われ、国産はあるゴムメーカー1社がつくるのみ。しかもそのゴムメーカーは、継手の製造が本業ではなく、開発担当者は現場を知らないのだろうと思われた。
 「オレだったら…」の思いが高じた大津賀さん。施工しやすい継手の開発に乗り出した。第1号の商品ができ上がったのは平成3年のことだ。それに合わせて会社を立ち上げ、初代の社長には大津賀社長の兄が就いた。

福島県郡山市の駅前合流改善事業において、同社の大口径耐
震継手「スペーサージョイント ラウンドプレスHPD2000RR」が
取り付けられた。(施工25年2月)

 販売には苦労したようだ。営業経験があったとはいえ、初代社長の前職は証券会社の営業マンだ。従来のネットワークは役に立たない。サンプルの継手を持ち、市町村の下水道課、下水道工事会社などに飛び込み営業をかけ、可撓性(かとうせい)のある継手(配管接続箇所のゆがみなどを吸収する機能のある継手)の告知に歩いた。
 流れが変わったのは平成7年1月の、「阪神・淡路大震災」と名づけられた大地震の後だった。下水道工事に従来の可撓性以上の耐震性能が求められるようになり、要の部材である継手が注目されるようになったのだ。
 「下水道やマンホールの継手に、ビジネスチャンスありと見た企業も多く、新規に参入してきた企業が多数あります。大手もこぞって参入してきました」
 大津賀社長は、平成8、9年頃を振り返るが、工事現場を知っている同社は強かった。大企業相手に互角に仕事を進め、専業メーカーとしてのプライドを保ったのである。

報告書の存在が強みになって、新たな契約を

同社の得意な工事は大口径の工事。取材でうかがった時には
直径2400mmの継手を組立てて確認作業をしていた。

 大津賀社長が、兄より経営を引き継いだのは平成23年9月のことだ。同社は、継手の専業のメーカーとしての地歩を確立しつつある時で、大手企業からのOEM生産の契約も交わし、順風満帆に進んでいるようだった。
 ただ、大津賀社長に不安がないわけではない。いつまでも追い風が吹き続けるわけでなく、苦しい局面に立たされる可能性もある。そうした時に、過去の経験を生かして、今後の方向性を打ち出す際の指針となるものが欲しいと思うようになったのだ。それを、富山銀行の支店長に相談すると、「知的資産経営報告書をまとめて、会社の強み、弱みなどを明らかにしたらいい」と勧められ、平成24年4月、当機構の中小企業支援センターを訪ねたのである。
 報告書の作成に当たっては、国ならびに当機構の専門家派遣事業が活用され、専門家の中小企業診断士が同社に通った。

「当社の一番の強みは、取り組んだら諦めず最後 までやり抜く
こと」と胸を張る大津賀社長。 ある大手企業との共同開発の際、
大手企業は途中で開発を断念 して、単独で研究を続けたことも
あるそうだ。その時の成果が、主力商品の1つになっている。

 「最初のうちは、専門家に会社のありようを適当に話したら、報告書ができるものだと思っていました。ところが打ち合わせを進めるうちに、そうではないことがわかりました。詳しいことは…、今後この報告書を作成される企業のみなさんの愉しみのために内緒にしておきますが、先生との打ち合わせのために、前日、予習をするようになったのです」(大津賀社長)
 毎回の打ち合わせには、社長の他に2名の社員が参加。報告書をまとめたのは確かに専門家だが、その前提となる会社の姿を浮き彫りにしていったのは社長と社員で、自分たちで会社の現状を分析したようなものだった。
 冒頭にも紹介したように、こうしてでき上がった報告書に大津賀社長は満足し、「知的資産経営ポータル」にそのpdfを掲載したところだが、今年に入ってある大手企業からの提携話に臨んだ際、「先方の課長の話しぶりから、当社の報告書を読まれているのがうかがえた」(大津賀社長)というのだ。交渉は順調に進み、大手企業へのOEM生産はこれで2社となった。「知的資産経営報告書」の存在そのものが会社の強みになったようなものだ。

所在地/中新川郡立山町上中143
代表者/大津賀 則男
資本金/2000万円
従業員/28人
事 業/マンホール、下水管などの耐震継手
TEL/076-462-9325 FAX/076-462-9334
URL/http://www.sanritsu.com/

作成日  2013/07/31

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