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第34回 合同会社善商

御当地ラーメンに始まった町おこし
農商工連携に“農商校連携”も加わって

町おこしを目的に入善ブラウンラーメンの開発に臨んだ佐田代表。
佐田氏の本業は味噌・しょう油の製造で、
味噌仕立てのスープの開発に一役買った。

 ブラック、ブラウン、レッド、ホワイト。そしてこの後にグリーン、イエローと続く気配がある。さて、これらの色にちなんで富山で生まれている商品は…。
 地元の方ならお察しと思うが、答えはラーメンだ。富山ブラックは今や全国区になり、それに続けと御当地ラーメンが次々と誕生。地域の活性化・雇用の確保の一助にと期待されているところだ。
 その中でも今回は、入善ブラウンラーメンで町おこしの狼煙(のろし)を上げた善商を取材。もともとは商工会青年部の試みを、町・商工会が応援していたところに当機構も加わって、“とやまのみんな”で新しいブランドを育てようと動き出したわけだ。

ブラックに続けと…

入善御当地ラーメンの第一段のブラウンラーメン。
「富山のお土産ベストセレクション2011-2012」の農水産加工部門において、
最高の「知事賞」を受賞してからは、土産物店での販売も増えてきた。

 「入善町商工会青年部は、全国の商工会の中でも最初に青年部ができたところで、活発な活動をしています。青年部は、平成21年11月に50周年を迎えましたが、その式典で、町おこしの新しい企画を発表しようと、その年の初めからメンバーがアイデア出しを始めました。ブラウンラーメンは、企画のひとつだったのです」
 善商代表の佐田洋氏は当時を振り返って語るが、ラーメンのアイデアそのものは突飛なものでもなかった。というのも商工会青年部では、平成13(2001)年より、毎年2月に「入善ラーメンまつり」を開催。多くの参加者を得ていた。そこで御当地ラーメンのニーズもチラホラ出るようになり、50周年を機に地域独特のラーメン(深層水使用)の開発に乗り出し、スープは地元の味噌にエビのエキスを加え、ブラウンラーメンに仕立てたわけだ。
 50周年で入善ブラウンラーメンは発表された。すると記念行事で終わらせるのではなく、長く続けたらいいのでは…という意見も出てきた。そこで商工会青年部の有志が、「町の名物の開発と販売」を目的に会社(=善商)を設立。地元商工会を通じ、当機構に中小企業応援センター事業による専門家派遣を要請し(22年7月)、草創期の事業計画、ブラウンラーメン販売のシミュレーションなどを描いた次第だ。

農商校連携によって生まれた入善レッドラーメン。

 「このあたりから、ブラウンラーメンの事業化に拍車がかかりました。9月には県のトライアル発注の認定を受け、また10月には新世紀産業機構の創業・ベンチャー挑戦応援事業に採択されて、会社としての形も整ってきました。後は安定して生産し、販売店を確保するばかりでした」(佐田氏)
 製麺は地元の業者に依頼し、販売については、最初の年は町内のラーメン店と食品スーパーの協力を仰いだ。2年目からは県内全域のスーパーでも取り扱われるようになったが、そのきっかけは入善独特の“農商校連携”によるレッドラーメンの誕生にあった。
 事の経緯をおおまかにいうと、入善町ではイノシシやサルなどの忌避植物として唐辛子の栽培を農協が勧め、その苗の栽培を入善高校農業科の生徒が協力。収穫した唐辛子を麺に練り込んで商品化(レッドラーメン)したのが善商だった。御当地ラーメンがブラウン、レッドと増えるに及んで食品スーパーも注目し始めたわけである。

二足の草鞋を履きながらもメドがついたのは…

御当地サイダーの入善ジャンボ西瓜サイダー。
スイカのキャラの名前は「ジャンボールIII世」だそうで、
町には着ぐるみもある。

 ラーメンの販路開拓については、地元金融機関とも連携をとりながら当機構も積極的に支援。しんきんビジネスフェア、富山銀行ビジネスクラブ交流会、高速道路SA運営会社へのプレゼンテーション参加などを支援し、町内の土産物店のほかに、道の駅、サービスエリアなどでも販売されるようになった。
 一方、善商では他の商品開発にも余念がない。平成23年に商品化した入善ジャンボ西瓜サイダーは、生産した9000本を1週間で完売。昨年は地元飲料メーカーや短大とコラボレーションして18000本を販売。今年は28000本の生産を目指し、また入善町のゆるキャラ「ジャンボールIII世」の売り出しにも力を入れるという。
  得意のラーメンでの商品開発も企画されている。先述の“農商校連携”の一環で、今度はウコンを利用しようというのだ。ウコンといえばターメリック、ターメリックといえばカレー。カレーうどんのように、カレーをラーメンにかけて食べるようになるのか、ウコンを麺に練り込むのか…、そのあたりは「仕上がりをお楽しみに」(佐田氏)ということだが、入善高校とのコラボレーションの中でイエローラーメンの商品化を目指しているという。

ブラウン・レッドの両ラーメンを宣伝するために、
大小合わせて年間40のベントに参加。県外のイベントには、
商工会や金融機関、当機構の支援を受けて出展している。

 本家本元の農商工連携でも、新しい動きが始まった。ブラウンラーメンで人気の高い味噌と入善産の米粉を使っての商品開発を模索。「入善ブラウンせんべい」をつくろうという。この取り組みは、とやま新事業創造基金 農商工連携ファンド事業(24年度)に採択され、現在はレシピの開発・焼き方の工夫に主眼がおかれ、試行錯誤を繰り返しているところだ。
 「善商のメンバーは皆、商工会青年部の一員で、本業を持っています。本業の合い間や土日を利用して、配達や展示会出展などもしてきました。事業化のメドがついたのは、何より町民の方々や商工会の応援、そして公的な支援事業のおかげです」と、二足の草鞋(わらじ)を履く佐田氏は、しみじみと語った。

所在地/下新川郡入善町入膳3609-15
代表者/佐田 洋
資本金/140万円
従業員/14人
事 業/入善町の特産品の開発・製造・販売
     (入善ブラウンラーメン・レッドラーメン、ジャンボ西瓜サイダーなど)
TEL/0765-72-1988 FAX/0765-72-1998
URL/http://www.zensyou.com

作成日  2013/03/13

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