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富山県よろず支援拠点

「なんとサテライト」開設記念セミナー&相談会開催

富山県よろず支援拠点「なんとサテライト」のオープンを記念してセミナーと相談会が開催されました。基調講演に招かれたのは、ガリガリ君の生みの親といってもよい赤城乳業株式会社監査役の鈴木政次氏。セミナーでは鈴木氏が、幾多の不況や大手アイスメーカーとの競争の中でも生き残ってきた経験の中から「強小カンパニーの作り方」を披露されるとともに、富山県よろず支援拠点の支援事例が紹介されました。その一部をお知らせします。

「ガリガリ君に学ぶ、強小カンパニーの作り方」

 基調講演では赤城乳業の鈴木監査役が、同社の商品開発の歴史と日本の流通業の発達の歴史を重ね合わせて、同社が全国区のアイスクリームメーカーに成長していく過程を紹介。その中で氏が携わった商品開発については、成功例も失敗例も具体的な商品名を挙げながら解説し、それぞれの要因を分析するとともに「失敗の中から何を学ぶかが大切」と強調されました。
 同社のヒット商品「ガリガリ君」の企画が持ち上がったのは、1973年の第一次オイルショックの時のようです。それ以前まではアイスクリームは大手、氷菓は中小と棲み分けられていたものが、「不況の荒波はその棲み分けをなしにし」(鈴木監査役)、大手が氷菓に参入するきっかけをつくると同時に、生き残りをかけての大手・中小が入り交じっての戦いが繰り広げられるようになったのでした。
 鈴木氏によると、その際赤城乳業では既存商品の中での売れ筋商品を調べ、そのバーアイス化で活路を開こうと決まりかけたそうです。ところが「カップをバーにするだけでは根本的な経営改善にはならない」という意見が持ち上がって、バーアイス化の話はペンディングに。「物真似やリメイクでないアイスをつくりたい一心で、ガリガリ君の元になったソーダ味のアイスを企画した」(鈴木監査役)のでした。
 そのバーアイスの当初のネーミングは「ガリガリ」だったそうです。それは氷菓(みぞれ)を噛んだ時の音で、これでは商標登録ができないので悩んでいたところ、「では『君』をつけよう」と当時の専務(現会長)が発案してガリガリ君に決まったのでした。鈴木監査役によればガリガリ君は、誕生の時もその後何度も岐路に立たされたそうですが、その都度、経営陣が時々の状況を鑑みて後の方針の判断を下したようで、「日頃から、情報が経営陣のところに集まり、また風通しのよい職場環境をつくるよう心がけることが大事だ」と強調されていました。
 こうして埼玉県深谷市に本社を構え、「かつては地方の一氷菓メーカであった赤城乳業が大手メーカとも伍していくようになり、小さいながらも強い会社に育ってきたのです」と鈴木監査役はセミナーをまとめました。

「よろず支援拠点の支援事例紹介」

 続いて、富山県よろず支援拠点のコーディネーター・大野正晴氏が、サテライトの設置によって相談しやすくなることや富山県よろず支援拠点の昨年度(平成27年度)の利用状況と併せて、当拠点の支援事例を紹介しました。以下に要約して載録します。

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 富山県よろず支援拠点では、県内企業の経営相談を無料で行っています。今までは富山市高田の富山県新世紀産業機構の一角に事務所を置き、そこでの相談と富山市立図書館のサテライトでの相談(毎月第2水曜日の午後)のみでしたが、このたび南砺市でのサテライトの開設が決まりました。南砺市での相談受付けは毎月第3水曜日の午後、会場は南砺市商工会館です。また高岡市(毎月第3火曜日/高岡商工会議所)、魚津市(毎月第2火曜日/魚津商工会議所)でもサテライトを開設し、企業の皆様の相談にあたって行きます。
 相談はどんなことでも、何度でも、無料で行っています。「こんな事を聞いていいのかな」と思うようなことでも受付けています。先日もある経営者から「会社のコピー機は5年のリース契約を結んでいて、今4年目に入っている。リース業者から『ランニングコストの安い、多機能の新しい機種が出たので、こちらに契約し直した方がお得だ』と勧められているけど、本当にそうなのか」というご相談を受けました。契約書も確認し「5年リースが満了した場合、6年目以降は、今までの3カ月分のリース料で1年間の契約ができる」ことになっていましたので、その旨をお答えしました。
 相談内容が専門的な場合は、最適な研究機関や支援機関をワンストップで紹介し、いわゆるたらい回しのようなことはしません。
 平成27年度の富山県よろず支援拠点の利用状況を申し上げますと、2262件の相談を受付けました。相談者の業種別の内訳では製造業が40%近くで一番多く、サービス業、建設業、小売業と続きます。事業所の規模別では、従業員数5人以下が約3割、6~20人が2割強、21~50人が17%程度。創業予定の事業者からの相談もあり、それが10%ほどありました。

販路開拓の相談から新商品開発に発展

 具体的な支援事例を紹介します。南砺市下梨にある「平家豆腐ねこのくら工房」では、南砺産の大豆や天然のにがりを用いて、豆腐や油揚げをはじめとした商品を開発し販売しています。なかでも「畑のテリーヌ」や「五箇山ギョーザ」、「畑のソーセージ」などは肉を使わず、大豆のみでつくられていることで注目を集めています。
 2014年に開催されたある展示商談会で富山県よろず支援拠点の存在を知り、販路開拓などの支援を受け始めると売上げは前年同月比で20~30%増えるようになりました。そこで販売予測に基づいた製造計画が必要になり、歩留まりを向上させることが課題になり、その相談に来られました。
 詳しく話をうかがうと、「畑のセリーヌ」などを製造する際、中間工程で出る素材は個体状の豆乳で、これは富山県食品研究所が開発した「豆乳の成分分離技術」を活用したものでした。相談の過程で、その素材をお客様が自由に活用することができる食材にすることで、いろんな料理にアレンジしていただけるのではないかと気づき、どのようなレシピに展開できるのかに関心が移りました。
 そこで当支援拠点では、料理専門家を紹介するとともにレシピの開発、商品発表会、試食会の開催などを勧め、新聞社や放送局へ向けてのリリース原稿作成の支援も行いました。また商品のネーミングにあたっては、知的財産権に抵触しないようにするために弁理士にアドバイスも求めました。
 こうした準備を経て新商品「食べる豆乳」を、2015年11月の商品発表を兼ねた試食会で紹介したところ、新聞で報道されるとともにテレビのニュース番組でも取り上げられ、これが功を奏してお客様の獲得にも結びつきました。また、これまでのさまざまな取組みが評価されて、デパートのお歳暮商品に採用されるようになりました。
 平家豆腐ねこのくら工房では、新たなテーマを設けて当支援拠点のコーディネーターとのコンタクトを取り続けているところです。

セミナー当日には、南砺市商工会館において相談会が開催され、
南砺地域の企業4社からの相談に応じました。

 もうひとつ事例を紹介しましょう。富山市内で建設業を営む株式会社サンコーの例です。同社は1984年の創業以来、「水とエネルギーのプランナー」をモットーに、富山県内の上・下水道設備、消雪設備の設置・施工およびメンテナンスなどを主に行い、10年ほど前からは太陽光発電や風力発電システム、木質ペレットストーブなどの再生可能エネルギー関連商品の販売・施工も行ってきました。
 同社では昨年、高機能浄水システムや水に関する防災機器を新たに扱い、新規事業の拡充を図ることを計画し、「富山県内でのニーズの把握や販路開拓の方策について相談したい」ということで当拠点の方に起こしになりました。
 新規事業の方向性についてコーディネーターといろいろ話し合っていくと、自社のことについて改めて気づくことが多くあったというのです。そこで当拠点では、「自社の強みを認識して新規事業に生かしたらよいのでは……」と提案。「経営理念、人材、技術、ノウハウ、知的財産、組織力など、財務諸表には表れない知的資産を明確にするために、知的資産経営報告書を作成したらよいのではないか」と勧めました。
 同社ではちょうど新社長が就任し、創業から30年経って節目を迎えていたこともあって、「自分たちの姿を見つめ直そう」とコーディネーターの支援を受けながら知的資産経営報告書の作成に乗り出しました。そこでわかったのは、地域ではまだ少ない総合的水環境システムサービスを持ち、それを裏付ける人材育成システムを擁していることなどの自社の強みを意識していく中で、従来の事業領域の中での売上げの向上が見られたようです。
 28年度に入って同社では、この知的資産経営報告書をベースに中期経営計画の策定に入り、そこで新規事業の拡充についての方向性を決めようとしています。
 富山県よろず支援拠点での支援事例を2つご紹介しました。これはあくまでも一例で、当拠点では、県内事業者の皆様のどんな経営相談にも、納得していただける答を見つけるまで、複数の支援機関や専門家の知恵や得意技も動員していきますのでお気軽におこしください。

富山県よろず支援拠点
所在地 富山市高田527 情報ビル1F (公財)富山県新世紀産業機構内
TEL 076-444-5605  FAX 076-444-5646
URL https://www.tonio.or.jp/info/yorozu/

作成日  2015/09/08

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