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第26回 世界をリードする環日本海経済交流

台湾での展示会出展を契機に足場を固め
そこを拠点にタイなど東南アジアへ ——(株)タカオカメガの試み——

 「今回の『2013台中工具機展』への出展は、当社にとっては飛躍のきっかけになるかもしれない」
 にっこりと微笑むのは、射水市に本社を構える(株)タカオカメガの十二慎一郎(じゅうに・しんいちろう)氏。産業用砥石の製造販売、工作機械・工具の販売、中古工作機械の販売・修理などを主な業務とする会社の社長だ。
 続けていう。
 「台湾での展開が軌道に乗れば、そこを拠点にアジア各国へ足をのばすことができる。従業員十数人の当社がそこまでできるのは、何より人脈と公的支援のおかげです」
 今回のリポートでは、タカオカメガの台湾での事業展開の軌跡、そして台中工具機展への出展の経緯や、今後の可能性などについて紹介しよう。

人脈づくりから始まった台湾への進出

「台湾では、飛び込み営業より、知人の紹介や展示会で一度
顔を合わせておき、その後のフォロー営業の方が効果がある」
と二十数年の経験からそのポイントを語るタカオカメガの十二
社長。

 タカオカメガの台湾ビジネスの始まりは、今から26~7年前にさかのぼる。ある時、同社の客先の依頼で、台湾製の研磨マシンを導入することに。制御部には日本製のコンピュータが採用され、工作機械自体としては優れたものだった。ただ、海外製工作機械の仲介は初めてだったため、導入にあたっては幾度も台湾に足を運んだものだ。その取引き以降、台湾企業との商談はしばらくの間はなく、社長の言葉を借りるなら「鳴かず飛ばずの時代が10年ほど続いた」という。
 転機になったのは、1998(平成10)年のとやまテクノフェアだ(同フェアは、2010年からは富山県ものづくり総合見本市の一部となり、隔年開催されている)。同社のブースに、各種産業機械を製造販売する台湾の中堅企業・東建安股份(人偏に「分」)有限公司の郭立霖社長が来訪。マグネシウム合金製ノートパソコンの筐体の研磨法について質問してきたのだ。
 その時、十二社長はたまたまブースを留守にしていた。東建安との付き合いはなかったものの、接客した担当者から郭社長の質問と名刺を受け取り、その対応策を名刺のFAX番号に送付。これが縁で両社の間に交流が始まり、翌1999年10月には業務提携するまでになったのだ。
 「東建安という会社は、日本の財閥系企業とも取引きのある会社で、ある意味、彼らの外注先の一つとして信頼を得ていました。当社では、研磨機用の砥石の販売から取引きが始まったのですが、中国の日系企業にレンズ研磨機を売り込みに行った際には、私は東建安の名刺を持って郭社長と一緒に営業に行ったものです」と十二社長がいうように相互の信頼関係は、ますます深まっていったのだった。
 そうしたある日のこと。郭社長に誘われて台南の烏山頭(うさんとう)ダムへ。そのダムは石川県出身の利水技術者・八田與一氏が建設を監督したもので(1930年完成)、耕作地を潤すとともに、農地を塩害から守るなどの役割を果たしているため、今日でも氏の偉業は台湾に語り継がれているという。
 満面に水をたたえるとエメラルドグリーンに輝くダム湖で記念写真を撮った十二社長。後年、たまたまその写真を石川県日華親善協会の会員に見せ、台湾企業との取引きがある旨を話すと、兼六園の徽軫灯籠(ことじとうろう)のレプリカを烏山頭ダムに寄贈する計画があって、その仲介役を引き受けて欲しいという依頼が舞い込んだ。
 「『ぜひに』という依頼でしたので、台湾側の窓口を郭社長にお願いして話を進めました」
 十二社長は当時を振り返るが、徽軫灯籠設置記念のイベントが催された折には、八田與一氏のお孫さんや、当時、国民党の総裁であった馬英九氏、台湾統一企業の高清愿代表など台湾政財界の主だった方々とともに招かれて、彼らの知遇を得ることとなった。
 こうして十二社長は、東建安の郭社長とのご縁で交流を広げ、仕事以外の分野で多くの友人を得ることに。その中から「一緒に仕事をしよう」「あの会社を紹介してあげる」というふうに、ビジネスの輪が広がり、砥石の販売先、OEMでの供給先が増え始めた。そしてそれを機に同社では、台湾からの砥石や工作機械の輸入を開始。2007(H19)年には台湾事務所を開設し、2011(H23)年には現地法人「台灣高岡麥嘉股份有限公司」を設立するまでになった。

台湾企業の社長たちが出展祝いの花を

過去に当機構の事業(現販路開拓挑戦応援事業)の補助を受けて作成された同社の台湾向けの
パンフレット。

 富山—台北の間に直行便が就航したのはその翌年、2012(H24)年4月のことだ。利用客の需要に合わせて週4~2便で運行され、今年度11月末までの利用者数は2万8789人、平均搭乗率は72.3%。昨年度を6.7%上回っている。こうした実績を背景に、2014年の夏ダイヤでは週5便、雪の大谷の観光シーズンには週6便も検討されるほどになったわけだ。
 人的交流に並行して、経済交流も盛んになった。富山から台湾へ、台湾から富山へと相互に貿易商談ミッションが派遣され、民間企業も積極的に参加するように。タカオカメガでは、2012(H24)年5月に開催された「富山ものづくりセミナーin台北」に参加したのを機に、当機構やジェトロ富山事務所などとも積極的に情報交換するようになった次第。そうした中で当機構の「販路開拓挑戦応援事業(国外・H25年度)」に採択されて、「2013台中工具機展」の富山県パビリオンに出展するようになったのだ。
 「6年ほど前にも一度、台湾で開催された見本市に出展したことがあります。その時は当社の台湾事務所はまだ機能しておらず、たくさんの方に関心を持っていただいたもののフォロー営業ができなくて、出展の成果はゼロでした。今回は、すでにいくつもの企業と取引きが本格化しているので、少しだけ期待して出展しました」(十二社長)
 ところがである。11月7日から11日までの5日間の会期中に、1日平均十数組、合計80組前後が同社のブースを訪問。この展示会には、他の日本企業も多数参加していたが、タカオカメガのブースの賑わいは、それらの中でも際立っていたようだ。
 同社のブースでまず目を引いたのは、十二社長の台湾の友人たちより贈られた出展祝いの花だった。来場者にしてみれば、見知らぬ日本企業のブースに、地元台湾企業の社長たちから贈られた花があるということは、既に台湾人との間で信頼関係を築いていることを推察させるに十分なものだった。その花に誘われ、「このブースはどんな製品を扱っているのか」と訪れた来場者も相当いたようである。
 展示会終了後、十二社長は名刺交換した80社余りを分類し、新たな取引きの可能性の高い企業を20社ほど選び、フォロー営業のために1社ずつ訪ねることから始めた。

フォロー営業で大きな案件が。そして将来は…

「2013台中工具機展」での同社のブース。台湾の取引先の社長
などから贈られた花を通路から見えるようにしていた。

 「訪問先でまず話題になったのは、出展祝いの花でした。台湾の企業と、花を贈り合うという信頼関係を築いていることを評価していただきました。1社ずつ訪ね、当社の取り扱い商品を紹介するのはもちろんのこと、相手先のニーズも詳しくうかがいました。そのあと何度か連絡をとり合っているのですが、ある企業からは専属の販売代理店契約を結ぶことができないかと打診されています。砥石のビジネスは1個数百円から始まりますが、今交渉しているとおりに話がまとまれば、年間一千万円単位以上の取引きになるでしょう」
 冒頭に紹介した「飛躍のきっかけになる…」とはこの企業のことだ。大きな商談に発展する可能性があるため、十二社長ばかりでなく同社スタッフ全員も期待を持つようになった次第。取材時、商談はまだ継続中で、他の企業へのフォロー営業とともに、成果の上積みが期待されているところだ。
 先述のように同社では、東建安経由で中国本土での展開を試みている他、韓国、オーストリアの企業とも取引き実績がある。その中で成長著しいのは台湾企業との取引きで、1割ほどが台湾関連で占めるようになったという。
 「当社としては、台湾でのビジネスを充実させ、そこを拠点にしてマレーシア、インドネシア、タイ、ミャンマーなどにも足をのばしたいと思っています。そういう意味では、先般の台中工具機展への出展は足場を固める上でも有意義なものでした。最近では、台湾でつくった砥石や台湾製の工作機械を、台灣高岡麥嘉から直接、中国やインドネシアの企業に輸出するようになっています。近い将来、台灣高岡麥嘉は、東南アジアへのハブ基地化するのではないかと思っています」

中古工作機械の販売は、オーバーホール、再塗装の後に行う(上/修
繕前、下/修繕後)。日本で修繕すると、運賃だけでも150~200万円
かかるので、修繕を行う台湾法人を2013年10月に設立した。

 十二社長は極めて意気軒高だ。
 ちなみに社長は、あるロータリークラブに加入していて、20年ほど前、クラブ主宰の中国語会話のセミナーに参加。以来、中国語の勉強を続けてきたため、日常の会話はなんとかできるようになった。また同社で働いている社長の長女は、貿易商社勤務の後に数年間、台湾への語学留学を経験した方。中国語でのビジネス会話も普通にこなせる。
 この2人が、同社の台湾ビジネスの中心的な役割を果たしてきたのはいうまでもないことだが、他の社員が傍観していたのでは、なかなか進まない。そこで十二社長は、2011年3月、台北で開催された工作機械の見本市を社員全員で視察。合わせて東建安ほか、取引先の企業や工場を表敬訪問し、台湾のお客様の声を直に聞くことをとおして、少しでも当事者意識を持ってもらおうとしたのだった。
 「この視察で、国内一辺倒だった社員の意識は少しずつ変わり、海外のお客様のニーズと向き合うようになりました。念仏のようにグローバル化を唱えるだけではだめです」と十二社長は強調した。
 同社の台湾でのビジネスは、花開き、大きな実を結びつつある。その背景には二十数年かけて築いてきた台湾での信頼関係が大きな要因としてあり、時宜を得た展示会出展とそのサポートも少しお役に立っているようだ。

○問合せ先
[(公財)富山県新世紀産業機構 環日本海経済交流センター]
所在地 富山市高田527 情報ビル2F
TEL 076-432-1321  FAX 076-432-1326
URL http://www.near21.jp/

作成日  2014/01/08

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