第23回 世界をリードする環日本海経済交流 富山県ものづくり総合見本市NEAR2012 TONIO Web情報マガジン 富山

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第23回 世界をリードする環日本海経済交流

NEAR初参加の台湾、タイ、インドの関係者
相互訪問、提携、投資勧誘などを盛んに

 前回のこのコーナーでは、県から台湾へ派遣された経済訪問団のことを紹介した。石井知事をはじめとする一行は、企業間の交流促進を図るとともに、それをサポートするための政府・行政機関相互の協力も確約してきたところだ。
 そのひとつに、「富山県ものづくり総合見本市NEAR2012」を台湾企業に告知するとともに出展を勧めることがあった。台湾側もNEARには高い関心を示し、台湾経済部(日本の経済産業省に相当)・工業局の周能伝(しゅう・のうでん)副局長は、「台日産業連携架け橋プロジェクトの担当部署として積極的に協力する」と語り、また台日産業技術合作促進会の陳添技(ちん・てんし)理事長も「日本の地方都市への出展は台湾企業にとっては初めての試みになるが、促進会として10社の出展を確保したい」と意気込んだほどだ。
 今号のレポートでは、初めてNEAR に出展した台湾の企業、また同じく初参加となるタイ、インドなどの政府関係者の声を紹介しよう。

「工場を見学していただくことに…」

台湾の年配の方には日本語を流暢に話される方が多
いが、王董事長もその1人。来場者との商談では、技
術的なことやビジネス上の専門用語は通訳に確認し
ていたが、通常の日本語での会話は支障なく話され
ていた。

 まずは台湾から。陳理事長の目標どおり、企業10社と政府関係2機関の、合わせて12団体による出展となった。その中から、慶鴻機電工業股份有限公司の王武雄氏(董事長)に取材を申し込んだ。同社に着目したのは、同社のブースでは、座って話し込む来場者が多く見受けられ、中には30分以上話し込む人も。相当手応えを感じているのではないかと推測されたからだ。
 同社の主な取扱製品は放電加工機、CNC搭載ワイヤカット放電加工機、タッピングセンタ、ドリルEDM など。部品メーカーではなく産業機械のメーカーだった。出展者ガイドブックには、アメリカのGE、シーメンス、ブリヂストンなどとの取引実績がある旨記載されており、日本でも代理店を経由して大手の電機関係に納めているという。
 王董事長が語る。
 「日本での販売実績はほんのわずかで、これからだと思っていました。ちょうどそういう時に、台日産業技術合作促進会からNEARを紹介され、参加することにしたのです。富山には数回、企業見学できたことがあり、その内の1社には当社の工場を見学していただきました。素晴らしい技術を持った企業ですから技術提携して、中国やアメリカの市場を一緒に伸ばしたいと思っています」
 相当数の企業関係者と話し込み、中には予め商談の予約をとっていた企業もあったのではないかと思って尋ねてみると、「会期前に予約いただいた企業もありますし、ここでゆっくり話がしたいけど、何時なら空いているかと聞かれてアポイントを入れた企業もあります。いろいろお話し、詳しい資料を送ってほしいという要望は何件もいただきました。中には、来月か再来月、当社の工場を見学したいというリクエストもいただきました」と王董事長はにこやかに語り、手応えがあったことを匂わせた。
 ちなみに王董事長は、中華民国精密機械発展協会の会長も務めており、会員企業を誘ってNEARに参加したのだそうだ。

ものづくりの盛んなところを探したら…

グンワーニット部長(左)、ルチュパン部長の2人は 「日本の
中小企業のように、タイの中小企業も技術力を上げ、産業
の裾野を拡大したい」と熱真に語った。

 タイ関係で取材に応じてくれたのは、タイ投資委員会(BOI)のジットラー・グンワーニット氏(総務部長)とナルチャー・ルチュパン氏(裾野産業連携促進ユニット部長)の2人。BOI は日本でいうとJETROに近い組織で、外国資本のタイへの誘致やタイ企業が海外展開する際のサポート役を果たす政府系の機関だ。
 「BOIでは今まで、年間12回程度、海外の展示会にミッションを派遣してきました。日本へは年に数回訪れ、M-tech(エムテック/機械要素技術展)などの東京や大阪で開催される展示会に出展したことはありますが、地方での展示会に参加するのは初めてです」
 ナルチャー・ルチュパン部長は以上のように語るが、「BOIでは徐々に考え方が変わりつつあり、それを受けてNEAR に参加した」と付け加えた。その意味するところは、技術を有する日本の中小企業と提携し、タイ企業の技術力を上げるとともに産業の裾野を広くしたいのだという。そこで提携する中小企業はどこにいるかと探すと、ものづくりが盛んな地方都市に多いことがわかり、今回の参加に至ったというのだ。ちなみにM-techはベアリング、ねじ、ばねなどの機械要素や、金属・樹脂に関する加工技術を一堂に集めた専門技術展で、日本の大手企業に自社製品を売り込むことを主眼に置いていたようだが、NEAR への出展を通じて販売や技術提携のチャネルを増やすきっかけにしようというのである。
 またジットラー・グンワーニット総務部長から、「もともとは石井知事からNEARに来ませんかと、投資委員会長官にお誘いがありました」と事の始まりについての説明があり、「そのころBOI では、技術の集積が進み、また中小企業の層の厚い地域を探していたのです。富山はものづくりが非常に盛んな地域で、知事からのお誘いはグッドタイミングでした」と続けた。
 タイからの出展は、BOIの他に自動車、機械、電気・電子、プラスチック関係の部品企業が11社。出展各社はNEAR の会場で来場者に対応するほか、同時開催で、会場が隣の「とやまテクノフェア2012」へ交代で足を運び、産業機械や電気・電子機器、また金属加工の技術などについて観察を続けていた。

インドからは駐日大使が来県

足早に会場を視察されたワドワ駐日インド大使は
「次回のNEAR には大使館としても力を入れ、
インドの民間企業を出展させたい」と語っておられた。

 続いてはインドだ。今回のNEARではインドの民間企業の参加はなかったものの、インド大使館が出展。富山インド協会設立1周年の記念イベントと富山県ものづくり総合見本市のオープニングのためにディーパ・ゴパラン・ワドワ駐日インド大使が来県し、石井知事との会談ももった。
 その際ワドワ大使は、「インドでは後発医薬品の製造が盛んで、くすりの富山、富山の製薬企業と連携したい。そうすれば互いに補い合うことができる。また、世界に向けてジェネリック医薬品の展開が可能だ」と提案。さらには、インドの伝統医学・アーユルヴェーダを紹介しながら、「東洋医学の研究が盛んな富山県と協力し、伝統医学の研究をさらに進めることができるのではないか」と矢継ぎ早に石井知事に要望を出された。
 また富山インド協会の歓迎昼食会で挨拶に立ったワドワ大使は、「デリー・ムンバイ間産業大動脈構想」を紹介。「この2つの都市の間の約1500kmに物流網を整備し、産業の拠点も建設していく。極めて大きいプロジェクトで富山の皆さんも投資してほしい」と会場の企業に呼びかけ、他にもインフラ整備が盛んなインドの様子を語った。
 さて、環日本海経済交流センターは、その名称が示すとおり、中国、韓国、モンゴル、ロシア沿海地域などとの経済交流のサポートをメインとしてきたが、平成23年4月、海外販路開拓サポートデスクの設置を機に、東南アジアや中東、中米も視野に入れた支援をはじめている。もちろん今回、NEAR初参加となった台湾、タイ、インドなども対象地域で、現地への進出や現地企業との取引についてのサポートは積極的に行うので、ぜひとも活用していただきたいところだ。

○問合せ先
[(財)富山県新世紀産業機構 環日本海経済交流センター]
 所在地 富山市高田527 情報ビル2F
 TEL 076-432-1321  FAX 076-432-1326
 URL http://www.near21.jp/
 海外販路開拓サポートデスクについて
  http://www.near21.jp/kan/support.html

作成日  2013/01/08

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