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第11回 世界をリードする環日本海経済交流
支援メニューが豊富な当センター
専門家の層も厚く、信頼抜群
 
  
1月14日に行われた第36回中国研究会の様子(19名参加)。実際の数字や資料を紹介しながら、中国経済の動向が紹介された。
 「悲観論ばかりに目を奪われていると、中国経済の行方を見誤ってしまう」。年明け早々の「第36回中国研究会」で、当機構・環日本海経済交流センターの藤野文晤(ふみあき)センター長は、中国経済の見方に注意を喚起するとともに、「チャンス到来」と力説した。
 当センターでは、月1回のペースで中国経済の情勢についての勉強会を開催する一方、北東アジア地域の部品・部材企業の製品展示と商談を目的としたNEAR(北東アジア経済交流EXPO)の開催、中国への経済交流ミッションの派遣、そして農水産物輸出セミナー等を開催しながら、県内企業の中国をはじめとする北東アジア地域での経済交流をサポートしてきた。
 各事業についてはその都度、このTONIO NEWSやセンター発行の「環日本海経済ジャーナル」で記事にしてきたので、詳細はそれらに譲るが、今回のTONIO NEWS では、事業を進める上で要の役割を果たしてきた藤野センター長と当センターの事業概要を改めて紹介したい。



人脈を生かして支援事業を展開

藤野文晤センター長。「欧米の国々とも取引きしたけど、中国が一番やりやすかった」と。
 中国とのビジネスを展開した経験のある方なら「藤野文晤」の名前はご存じのはずだ。大手総合商社の伊藤忠商事で40年以上にわたって中国ビジネスを担当。鄧小平政権が改革開放政策を実施する前から中国に駐在して人脈づくりに勤しみ、大手総合商社の中では最初に中国とのビジネス実現にこぎつけるために、その舞台裏を整えた人物だ。
 「1963年から1年の半分を中国で過ごすようになりましたが、当時の貿易高は微々たるもので、人の交流も限られていました。’72年3月、商社の中では伊藤忠が最初に取引相手と認められたのですが、その準備を、上司であった富山県出身の瀬島龍三さん(当時・専務)と一緒に1年以上にわたって進めていました。その時役に立ったのは、’63年からつくってきた人脈でした」
「NEAR2008inとやま」の来場者は3,695名。1カ月後のアンケート調査によると、成約8件、成約金額2万ドル、商談中281件、商談中金額1,977万ドルであった。
  藤野センター長は当時を懐かしそうに語るが、40年にわたる中国ビジネスを支えてきたものは「人脈の一語に尽きる」と断言する。同氏は、江沢民政権までの歴代トップと会ってきた、数少ない日本の商社マン。本人あるいはその側近につながる太いパイプを持っていることで知られている。
 その藤野氏が当センター長に就任したのは5年前のこと。前出の中国研究会は氏の発案によって月1回のペースで開催されるようになり、各種の資料とともに最新の中国情勢が紹介され、中国との取引き(輸出入、現地への工場進出など)を検討している企業に貴重な情報やアドバイスが提供されてきた。(1月に実施された第36回の研究会については、その概要を以下に紹介)
 また、当センター最大の事業であるNEARの実施にも多大な協力をいただいている。NEARは中国、韓国、モンゴル、ロシア沿海州などの部品・部材企業の製品をテクノホール(富山市)に展示し、商談を促進するために行ってきた産業展示会(隔年開催)。部品・部材に限った専門的な展示会は極めて珍しく、大手メーカーの調達関係者ばかりでなく、各地の中小企業も注目してきた。
 昨年秋の5回めを数えるNEAR (NEAR 2008inとやま)では、157社(団体含む、以下同)が参加。2年前のNEAR2006inとやまには151社が来県。5回の通算では591社となり、日本企業との取引き開始の機会を得てきた半面、日本企業にとっては新たな提携先確保の場になってきたわけだ。
 出展企業を募る際、特に中国ではセンター長名義の協力依頼の文書が効いた。依頼文を受け取った現地政府や貿易促進委員会のトップらは「藤野さんの頼みなら」とひと肌脱いでくれ、地元企業に積極的に出展勧誘に動いてくれたものだ。回を重ねたNEARについて藤野センター長がいう。
 「NEARは相当定着し、現地での知名度も上がってきました。これは私の個人的な意見ですが、中国や韓国の部品・部材企業を招くだけではなく、富山の企業、北陸の企業が現地に赴いて、産業展示会等に参加することも必要でしょう。また工業製品だけでなく、農水産物やその加工品を輸出することを考えたらいい。これからは双方向の経済交流の時代になり、また製造業以外にも目を向けるべきです」


「地元の商社と連携したらいい」

’07年6月に開催された富山県農水産品輸出促進セミナー・個別商談会では具体的な商談が行われ、試食により味や食感のアドバイス等もされた。
  中国への農水産物の輸出に関しては、当センターでは一昨年6月「富山県農水産品輸出促進セミナー・個別商談会」を開催。会場は全席埋まり、後ろの方では立ち見が出るほどの盛況ぶり。農水産品輸出事情については、伊藤忠大連有限公司と上海石橋水産品有限公司の担当を招いて、中国の流通の仕組みや商習慣、好まれる食品の傾向などを解説していただいた。また併せて行われた個別商談会には、県内14の企業が持ち込んだ商品が検討され、後に2社の商品が実際に輸出されることとなった。(セミナーの様子は第7回に掲載
 また、2004年から年1回実施してきたビジネス交流ミッションでは(2008年は中止)、センター長を団長に毎回20社ほどの県内企業が参加。単なる視察ではなく、現地企業との取引き開始の糸口をつかむことを目的としたこのミッションでは、一行のスケジュールとは別に商談の機会を設けることもあった。
 例えば’06年の上海派遣ミッションでは、拡張が続いて世界最大級の貿易港になることが期待されている洋山深水港や中国国際工業博覧会、現地法人を訪問。ミッション参加者(機械関係)の関連会社が工業博覧会に出展していたため、彼らもしばらくブースに入って、来場者の感触をつかんでいた。
  また、’07年のミッションでは、無錫(むしゃく)、武漢など内陸部の発展しつつある都市を訪れる一方、前年同様、中国国際工業博覧会を視察。これらスケジュールの合間を縫うように、10件の個別商談、2社の個別企業訪問が行われたが、 NEARを通じて市政府や貿易促進委員会の現地事務局とパイプができつつあったのに加え、博覧会事務局、ジェトロ現地事務所、富山県大連事務所などの協力を仰ぐことができたからと思われる。
’07年の上海・無錫・武漢派遣ミッションの際、訪問先の武漢市で説明を受けている。
  「農林水産物にしても工業製品にしても、魅力的な商品は富山にはたくさんあります。1社単独で、製造・生産から販売までをこなすのは大変ですから、商社と組むことも必要でしょう。大手でなくても、地元を知っている、地元の商社でいいのです。富山は『先用後利』という商売の王道をいく考えの発祥の地。その上で人脈をつくりながら双方向でやっていけば、中国や韓国などにとっても大事な取引き相手になるはずです」
 以上のように取材を締めくくったセンター長は、「金融クライシスによって、欧米の国々はゼロ成長に近い予想を立てている中で、中国は8%を維持しようと必死です。日本にとって中国はますます重要な国になる」と付け加えた。




   

 当機構の環日本海経済交流センターでは、上記のような事業の他に、貿易・投資コンサルティングサービス中国国内見本市への出展支援「環日本海経済ジャーナル」の発行、北東アジア地域の最新の経済情報をメールマガジン「Bi Weekly」で配信…など、北東アジア地域でのビジネス促進のための支援メニューをそろえていますので、ご利用ください。詳細はセンターのホームページでご確認いただけます。

○問合せ先
[(財)富山県新世紀産業機構 環日本海経済交流センター]
 所在地 富山市高田527 情報ビル2F
 TEL 076-432-1321  FAX 076-432-1326
 当センターURL http://www.near21.jp/
作成日2009.02.09

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