ニュースページトップへ戻る TONIOトップへ戻る
平成23年度産業支援機関連携促進会議  

果実(成果)が実りつつある、とやまの農商工連携

 国内経済の情勢は、リーマンショック(08年9月)からようやく立ち直りの兆しが見え始めました。ところがその矢先の3月11日、東日本大震災が発生し多くの人命が失われるとともに、経済基盤も壊滅的な被害を受けました。改めて、亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。
 この震災の影響により、本県経済もまだまだ低迷の域を脱したとは言いにくい状況にあります。しかしながら、このような時にこそ、県内産業支援機関が一体となって、それぞれの力を結集し中小企業のニーズに応え、また、課題解決に取り組んでいかなければなりません。そこで当機構では、国、県、商工会議所等の産業支援機関がその進捗状況を確認し、また情報を共有するために、平成23年度産業支援機関連携促進会議を開催いたしました。その概要をお知らせします。


  ■第一部 農商工連携で元気とやまの創造 【事業報告】
これまでの取り組みと全国の成功事例
独立行政法人中小企業基盤整備機構北陸支部 連携支援課長 森下 優彰氏    
  • 農商工等連携促進法に基づく認定件数
  平成20年度 平成21年度 平成22年度
全 国 185件 186件 66件 437件
うち北陸 10件 9件 8件 27件
  • 中小企業基盤整備機構による支援
    • 創業、新事業展開をサポート
       インキュベーション施設、専門家派遣等
    • 成長、発展をサポート
       ビジネスマッチング、中小企業大学校による人材育成、ファンド出資等
    • インフラをサポート
       高度化事業、産業用地の提供
    • もしもに備えたセフティーネット
       共済制度
    • 北陸支部独自の取り組み
       百貨店バイヤーを招いて開発商品評価会を開催
       話題性のある商品の催事(百貨店等売場等)の開催
  • 農商工等連携による成果の全国事例
    • 生産者連合組合デコポン(千葉県)では
       生産者主導による加工品開発に取り組むことにより、生産者が加工品の価格を決定
       農業観光やシンガポール・香港への輸出事業など、多角的に事業展開することで、生産者の所得の向上を実現
    • ヒガシマル醤油(兵庫県)では
       地場産原料を用いた醤油や素麺の売り上げ増を実現
       圃場巡回や工場見学など生産者との定期的な交流によるモチベーションアップと所得拡大を実現
    • 福田農場ワイナリー(熊本県)では
       施設内で市場や各種イベントを行うことで、若手農家のネットワークづくりを促し、若年者・女性などの育成や活躍の機会を提供することで地域の若手の生産意欲が向上
       地域資源を活用し、雇用や交流拡大を通じて地域経済と地域ブランド化に貢献

●(独)中小企業基盤整備機構北陸支部
 石川県金沢市広岡3-1-1 金沢パークビル10階
 TEL 076-223-5761(代)
 URL:http://www.smrj.go.jp/hokuriku/


  ■第一部 農商工連携で元気とやまの創造 【事業報告】
ファンド事業の紹介とこれまでの県内の取り組み
財団法人富山県新世紀産業機構取引設備支援課 副主幹 室田 衛    
 農商工連携ファンド事業は、平成21年度に30億円の基金を創設し、基金運用益を助成金として交付しています。

  ・対象者  富山県に本社を持ち、新商品・新事業開始予定の中小企業者と、農林漁業者の連携体
  ・助成金額 上限600万円(1/2助成)
  ・募集日程 毎年、4~5月頃と8~9月頃の2回を予定

  • これまでの採択件数
平成21年度 平成22年度 平成23年度
(第一期)
10件 9件 3件 22件
  • 農商工連携ファンド事業による成果例
    • 富美菊酒造(富山市)では
       富山県産酒米「富の香」を使用し、氷温・長期熟成による「純米吟醸・無濾過生原酒」を商品化
    • パティスリーション(氷見市)では
       朝摘み完熟の氷見産苺の風味を活かした、イチゴジャム等加工食品を商品化
    • 銀盤酒造(黒部市)では
       富山の麦、黒部伏流水等で富山オリジナルな麦焼酎(富山で製造する焼酎では第1号)を商品化
    • マナーハウス(富山市)では
       富山県産大麦とネパール産エコ紅茶を原料とした「アロマ紅茶エール」等を商品化
    ●(財)富山県新世紀産業機構
     富山市高田527番地 情報ビル2F TEL 076-444-5650
     URL:http://www.tonio.or.jp/


  ■第一部 農商工連携で元気とやまの創造 【取組事例(成果)展示】
がんばってます新商品開発
 実際の取組成果(新商品・試作品等)の展示につきまして、下記の事業者(五十音順)の皆様にご協力をいただきました。
展 示 者
(連携者)
開発時の連携内容
赤星商店
(山元醸造(株)、谷井伝誠)
山田地区特産柿酢入り加工商品(柿酢ぽん酢・柿酢醤油等)の開発及び、「柿酢ソース」の改良、販売
宇奈月ビール(株)
(黒部市ビール麦生産組合)
地元産大麦を使った麦芽と日本有数の清流・黒部川の名水を使用した「モルト麦茶(仮称)」の開発・販売
尾山製材(株)
(みな穂農業協同組合)
富山県産菜種油ベースのみつろうクリームの市販化による休耕田の活用
銀盤酒造(株)
(飯田 光浩)
富山初の麦焼酎製造と多用途利用
(株)JAアグリひみ
((株)CRD、氷見市農業協同組合)
高機能ハトムギエキスを加えた新しい「はとむぎ茶ゴールド(仮称)」の製造・販売
(有)食養の杜とやま
((農)立山特産)
栄養機能性食品「のどとおる」、「声とおる」の製造・販売
杉野味噌醤油(株)
((有)仁光園)
素朴風味な「たぁーっぷり卵のお味噌汁」の商品開発・製造・販売
土山建設(株)
(飯田 滋)
南蟹谷産ぎんなんを活用した加工食品の開発・製造・販売
パティスリーシュン
((農)久目果実生産組合)
朝摘み完熟の氷見産苺の風味を活かした加工食品の開発・製造・販売
(有)はなと
(黒部そば生産組合)
黒部産そばを使用した栄養価の高い「そばの実餃子」の商品開発・販売
(株)藤岡園
(藤岡農園)
富山の梨を原料とした加工品の開発・製造・販売
(有)フーズデベロップメント
(飛騨地鶏研究クラブ)
飛騨地鶏を活用した新商品の開発・製造・販売事業
富美菊酒造(株)
(福光農業協同組合)
富山県産酒米「富の香」を使用した「富の香 純米吟醸 熟成 無濾過生原酒」商品の製造販売
(有)へちま産業
(大島町へちま生産組合)
未活用のヘチマの葉を使用した「ヘチマ茶」の商品開発と販売
堀岡養殖漁業協同組合
((有)快成)
富山湾海水を活用した陸上養殖により白子を極大化したトラフグの加工品製造・販売事業
(株)マナーハウス
((有)渡辺農園)
富山県産大麦とネパール産エコ紅茶を原料とする新規アルコール飲料とノンアルコール飲料の開発・製造・販売
(農)八尾農林産物加工組合
(八尾ネマガリタケ生産組合)
中山間地の耕作放棄地を利用したネマガリタケ栽培とレトルト加工食品の製造・販売
(株)ユーキフーズ
((農)サカタニ農産、いみず野農業協同組合)
地元TV局会員を活用した市場調査に基づく地場産カット野菜開発・販売事業

新商品・試作品等の展示会の様子


  ■第一部 農商工連携で元気とやまの創造 【講演】
地域活性化に向けて -農商工連携のここがポイント-
株式会社KOフードテック 代表取締役社長 大塚 耕太郎氏    
 農林水産業は地域を支える基幹産業ですが、高齢化や担い手不足という厳しい状況にあり、一方、商工業者も経済構造の変化に合わせ新たな事業展開が求められています。
 本日は、農業と商工業が連携し、消費者ニーズに沿った新商品の開発販売により、農業経営・商工業経営の強化や雇用創出など、地域活性化にも結び付くよう「農商工連携のここがポイント」と題してお話します。

富山県内の商工等連携促進法の認定は、過去3年間で14件
 平成20年度は、(1)高機能ハトムギエキスを加えた新しい「はとむぎ茶ゴールド」の製造販売、(2)氷見の海からできたワイン生産及び関連商品の開発販売、(3)県内産麦芽と黒部川の名水を使用した「モルト麦茶」の開発販売、(4)中山間地の耕作放棄地を使用したネマガリタケ栽培とレトルト加工食品の製造販売、(5)北陸の未利用地魚を利用した冷凍すり身およびすり身新商品の開発と製造販売の5件が認定されました。
 平成21年度は、(6)富山湾海水を活用した陸上養殖により白子を極大化したトラフグの加工品製造販売、(7)地元テレビ局会員を活用した市場調査に基づく地場産カット野菜の開発販売、(8)トレーサビリティを確立した無濾過純米酒と純米酒ベースの梅酒の製造販売、(9)観賞用水耕栽培チューリップ「Q-Lip」の開発販売、(10)富山県チューリップの国際競争力強化に向けた省力化機械の開発と販売及び生産拡大による農家所得向上の5件が認定されました。
 平成22年度は、(11)飛騨地鶏を活用した新商品開発販売、(12)含水率等を明示した高品質のストーブ用薪の製造販売事業、(13)新たな花き流通システムの構築及び日持ち保証を実現した菊の開発生産販売、(14)富山県産古代米(緑米)を活用した日本酒の開発と海外への販路開拓の4件が認定され、3年間合計で14件の認定となっております。

認定までの支援と認定後のフォロー
 農林漁業者と中小企業者が、「事業化したい、一緒にやろう」となった場合は、まず中小機構の窓口相談で「ビジネスアイデアの構想を具体化」することになります。その際、事業計画のブラッシュアップとして8~10回面談し、事業計画の策定、商品開発・市場調査等のアドバイス、事業性・市場性の評価を経て国による法律認定を受けることになります。
 計画認定後は、定期的な連携体会議、支援策活用サポート、販路開拓などのハンズオン支援により、需要開拓と事業化の達成を目指します。
 また、認定事業に対する支援策としては、補助率2/3で上限3,000万円の補助金、低利融資、信用保証、販路開拓のサポート、専門家によるアドバイスなどのメニューが用意されています。

認定事業の実例紹介(レトルトネマガリタケ)
 次に実例紹介をします。
 最初は、中山間地の耕作放棄地を利用したネマガリタケの栽培とレトルト加工食品の製造販売。事業体は、農事組合法人八尾農林産物加工組合と八尾ネマガリタケ生産組合です。
 まず、事業の目標策定ですが、この事例の場合「八尾特産ネマガリタケ」の安定生産と需要拡大、おいしいネマガリタケ加工品の開発製造販売、「越中八尾おわらの山菜」ブランドの構築、特産品を中心とした中山間地の活性化の四つを目標の柱にしました。
 この目標策定に当たっては、案件発掘は富山県新世紀産業機構(略称TONIO/トニオ)が、事業計画ブラッシュアップにはトニオと商工会・中小機構の各機関が支援しました。
 次に連携体制として、中小企業者側の八尾農林産物加工組合では「加工品であるレトルトネマガリタケの開発製造販売」を分担するため、富山県食品研究所から「レトルト加工技術、各種試験分析」の技術指導を受けています。一方、農林漁業者側の八尾ネマガリタケ生産組合では「耕作放棄地での栽培、生産体制の確立、品質向上」を分担するため、富山県立大学から「竹の栽培技術、優良品種の開発」の技術指導を受けています。
 この連携体制をサポートするため、トニオ、商工会連合会(八尾山田商工会)、富山市、中小機構の各機関が支援しました。また、販路開拓に当たっては、商工会、トニオ、中小機構の各機関が支援しました。
ネマガリダケ レトルト商品

認定事業の実例紹介(Q-Lip)
 次の事例は、観賞用水耕栽培チューリップ「Q-Lip」の開発販売です。事業体は、高岡市農業協同組合と株式会社堀プラスチック富山と高岡市チューリップ球根組合です。
 まず、事業の目標策定ですが、その背景に「富山県のチューリップ球根生産は全国一、高岡市戸出地区は県内最大の産地、輸入自由化により球根の販売単価は20年前の27円から18円まで低下」という現状があり、球根に付加価値を付けた新商品として「水耕栽培チューリップ『Q-Lip』の開発と販売」を目標にしました。
 この目標策定に当たっては、案件発掘は高岡商工会議所が、事業計画ブラッシュアップには高岡商工会議所と高岡市、中小機構の各機関が支援しました。
 次に連携体制です。中小企業者側の高岡市農業協同組合では「花卉販売のノウハウと販路、チューリップ商品の生産技術」を、堀プラスチック富山では「プラスチック加工技術と水耕栽培容器」をそれぞれ分担しました。一方、農林漁業者側の高岡市チューリップ球根組合では「水耕栽培用の球根生産技術と消費者ニーズの高い品種」を分担しました。
 この連携体制をサポートするため、高岡商工会議所、高岡市、中小機構の各機関が支援しました。また、中小機構本部事業のブランディング支援により、チューリップの持ち帰り方・飾り方・落花後の処理を観点に「電車の中や徒歩での持ち運びが便利、花瓶に移し替えずケースから出すだけ、土より軽く処分も容易」という商品特徴を出しています。

連携のミスマッチをどう乗り越えるか
 企業側は「安定供給、一定の品質規格、安全性の証明、契約概念」などを要望します。一方、生産者側(農林漁業者)は「継続的な取引、費用リスク負担の軽減、生産コストに見合った価格」などを望みます。そのため時として、企業側と農林水産業者のミスマッチが生じる場合があります。
 では、それをどう解決するか。農商工連携事業は「国際結婚」に例えることができると思います。
 異なる文化と言語の壁をどう乗り越えるか。それには「お互いの理解が必要」であり、「お互いの歩み寄りが必要」であり、「ハッピーになる継続的な努力が必要」であり、これはそのまま農商工連携にも言えることです。
 つまり、農商工連携事業は「お互いの信頼関係を構築」し、「お互いの強みを活用」し「お互いがWIN-WINの関係」になることだと思います。
 最後に、事業者が農商工連携事業を育て発展させていくためには、会議にお集まりの各機関が今後も継続的に支援されることが重要であることを申し添えて本日の講演を終わりとします。

●講師略歴
 昭和58年 神戸大学大学院農学研究科修士課程修了
 平成 2年 農学博士号を取得
 平成18年 食品関連技術コンサルタント業「(株)KOフードテック」を設立
        平成18年度とやま起業未来塾(創業支援コース)修了
 平成20年 中小企業基盤整備機構北陸支部のプロジェクトマネージャーに就任
 平成22年 中小企業応援センター事業のコーディネーターに就任
 平成23年 中小企業支援ネットワーク強化事業のアドバイザーに就任


  ■第二部 情報ひろば 【事業紹介】
1.富山県商工関係新規主要事業について

 平成23年度の商工関係新規事業や主要事業について、富山県商工労働部商工企画課主幹・高林外広氏に説明いただきました。
 内容につきましては 富山県ホームページの「平成23年度当初予算」の関連資料を参照ください。

  関連資料
  • 「元気とやま創造戦略枠」等の主な事業(活力)
  • 施策テーマ別の主な事業1~5
●富山県商工労働部商工企画課
富山市新総曲輪1-7 県庁東別館3階 電話:076-444-3242
URL:http://www.pref.toyama.jp/cms_sec/1301/index.html

2.富山県ものづくり研究開発センターの開設についてて

 動画で見る富山県ものづくり研究開発センターをご覧ください。

3.知財総合支援窓口の設置について(特許等取得活用支援事業)

 平成23年度に設置された相談窓口の内容について、一般社団法人富山県発明協会事業部長・尾間忠則氏に説明いただきました。
 内容につきましては、富山県発明協会ホームページの知的総合支援窓口を参照ください。

●一般社団法人富山県発明協会
高岡市二上150 富山県工業技術センター内 電話:0766-27-1150
URL:http://www.toyama-hatsumei.com/

4.最低賃金総合支援センターの設置について

 平成23年度に設置された相談窓口の内容について、富山県中小企業団体中央会コーディネーター・岩崎重臣氏に説明いただきました。
 内容につきましては パンフレット(pdf 230kb)を参照ください。

●富山県中小企業団体中央会
富山市総曲輪2-1-3 富山商工会議所ビル6階 電話:076-424-3686
URL:http://www.chuokai-toyama.or.jp/

5.県東部での総合デザインセンター相談窓口の開設について

平成22年10月に設置された県東部での相談窓口の内容について、富山県総合デザインセンター主任研究員・堂本拓哉氏に説明いただきました。
 内容につきましては 富山県総合デザインセンターホームページの支援プログラムを参照ください。

●富山県総合デザインセンター
高岡市オフィスパーク5 電話:0766-62-0510
URL:http://www.toyamadesign.jp/

6.富山県海外販路開拓サポートデスクの設置について

平成23年度に当機構に設置したサポートデスクについて、環日本海経済交流センター部長・酒井勝康が説明しました。
 内容につきましては 当機構ホームページの富山県海外販路開拓サポートデスクを参照ください。

●(財)富山県新世紀産業機構環日本海経済交流センター
富山市高田527番地 情報ビル2F 電話:076-432-1321
URL:https://www.tonio.or.jp/

作成日2011.11.07

Copyright 2005-2013 Toyama New Industry Organization All Rights Reserved.