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平成21年度産業支援機関連携促進会議 [事業紹介・事例発表 他]  

昨年の金融危機以来、厳しい経営環境が続いています。欧米も中国も日本も、それぞれ緊急経済対策を打ち出して、100年に1度の大津波を乗り越えようとしています。そんな中で「日本の回復は意外に早い。日本の中小企業はココに注目、力を入れるべきだ」と元気な大学の先生がいました。本年度の連携促進会議では、中小企業にエールをおくる橋本久義教授(政策研究大学院大学)を招いて講演いただくとともに、地域の産業支援機関が集まって近時の支援施策や支援成果を報告し、今後のさらなる連携強化を確認しました。その概要をお知らせします。



  ■第二部 事業紹介・事例発表
農商工支援について
独立行政法人中小企業基盤整備機構北陸支部 連携支援課長 今野 直明氏    
 農商工連携については、かなり親しみが出ていると思います。昨年、法律(農商工等連携促進法)ができた当時、今日ほどではありませんが厳しい状況にありました。この法律は、地方を元気にするために、地域資源を活用してものづくりを振興しようという狙いのもとで施行されました。中でも地域の産業には農業や漁業にかかわるものが多く、農林水産物を活用した新事業の展開などを支援していくことにしています。
 農商工連携には、法律上の認定要件があります。すなわち農林漁業者と中小企業者の2社以上が、設備や知識・技術などの点で協力し合って、明確な役割分担のある事業であること。新商品・新サービスであること。5年以内の計画であること。そしてこの事業により売上げが5%以上伸びることが見込めること、などです。この2社以上で作成した農商工等連携事業計画を、農林水産大臣や経済産業大臣などの主務大臣が審査し、認定した事業については各種支援措置を活用していきます。
 支援には、補助金、低利融資、信用保証、設備投資減税があります。私ども中小機構では農商工連携を支援するために、常設の専門家を複数名配置しています。事業者が計画をつくるには困難を伴うことがありますし、認定後、事業が計画通りに進まないこともあり得ますので、専門家や連携拠点を初めとする地域の支援機関が協力して、事業の推進を支援していきます。
 これまでのところ、全国で190件くらいの事業計画が認定されています。そのうち富山では5件認定されています。2、3の例を紹介します。まずは、氷見のハトムギ茶。第一回目の認定時に入った計画です。
 氷見市とJA氷見では、農家の耕作意欲を刺激するために、戦略的作物としてハトムギの栽培を奨励していました。そこで、ただハトムギを生産販売するだけではなく、加工して商品化することが課題になっていました。その一貫として取り組んでいたのが、ハトムギ茶のペットボトル化でした。今回の事業計画では、ペットボトル化したハトムギ茶の機能性を上げることを目標としており、金沢大学の協力を得て医学的な観点からの実証も得ました。新商品は、エキス化したハトムギを今まで以上に高濃度に入れ、「ハトムギ茶ゴールド」という名前で来春には販売開始の予定です。
 ペットボトル用のハトムギの生産は、平成17年には7haだった作付け面積が昨年の平成20年には72haとなりました。ハトムギ茶も昨年は150万本販売しています。ハトムギ茶のペットボトル化の取り組みは、農商工連携のモデル事業として全国的にも知られている事例です。
 次は、地元の大麦を使った、黒部のモルト麦茶の開発、販売事業です。6月4日から販売開始になりました。計画では、5年後には20万本の販売を予定していますが、地元黒部市では100万本の目標を持っています。
 3つめは、八尾のネマガリタケです。筍というと通常は太いものをイメージしますが、東北ではこのネマガリタケをいいます。山菜そばなどに使われる、20cmほどの長さの細い筍です。
 このネマガリタケが八尾の中山間地に自生しているのですが、片道2時間かけて山中に入って、約30㎏収穫してリュックサックに詰めて、2時間かけて山を下りてくるという収穫の仕方でした。非常に労力がかかっています。一方、八尾では稲作はすたれて、9割近くが耕作放棄地になっています。そこで耕作放棄地にネマガリタケを栽培して、それを収穫して製品化しようというのが、この事業です。
 従来、ネマガリタケは缶詰めにして販売していました。今はレトルトパック化に取り組んでいます。缶詰めでは30~40本のネマガリタケが入り、「一度に使い切ることが難しい」という消費者の声が届いていました。レトルト化では、1袋13~14本程度を想定していますが、火の通りも早くて加工も容易で、長期間の保存が可能になります。栽培については、富山県立大学の協力を受けています。
 富山には農商工連携の課題になる産物が豊富にあります。当機構や各支援機関との協力の下、認定されるよう支援し、その後の事業もサポートしていきたいと思います。該当の案件と思われるものがありましたら、お気軽にご連絡ください。

●(独)中小企業基盤整備機構 北陸地域活性化支援事務局
 石川県金沢市広岡3-1-1 金沢パークビル10階
 TEL 076-223-5573
 URL:http://www.smrj.go.jp/hokuriku/


とやま新事業創造基金で新事業・新商品支援
(財)富山県新世紀産業機構 企画管理課主任 加藤 健    
 先ほどは国の農商工連携の説明がありました。私がこれから紹介するのは、農商工連携の富山県版です。この事業は、「とやま新事業創造基金」の下で行われ、「とやま新事業創造基金・農商工連携ファンド事業」と、「とやま新事業創造基金・地域資源ファンド事業」があります。
 地域資源ファンド事業は平成19年度から「富山発新事業チャレンジ支援事業」という名前で始め、今年度、名称を変更しました。農商工連携ファンド事業は、昨年、富山県の単独事業として先に開始されましたが、今年からファンド事業となりました。
 地域資源ファンド事業は、富山県内の地域資源を活用した新商品や新サービスの開発を、助成金で支援するものです。助成額は最大で600万円。1/2以内の助成で、3年間の継続が可能です。何を地域資源とするかについては、富山県の方で基本構想を定め、ホームページに公開されていますのでご参照ください。平成19年度、20年度の2年間に、合計12件が採択されました。
 農商工連携ファンド事業は、素材を提供される農林漁業者と最終商品を製造加工する中小企業者が連携して行う、新商品・新サービスの開発を助成金で支援するものです。助成額や助成率は地域資源ファンド事業と同じです。
 農林漁業者と中小企業者の連携には、双方ともに工夫が必要となります。普通に素材を提供して、普通に加工する一般的な商品開発は該当しません。例えば、最終商品をつくるために、農産物に与える肥料を変えたり、新しい品種の栽培に取り組むことなどが、工夫に該当します。商工業者側の視点でいうと、今までにつくったことのないものをつくることが、工夫に当たります。
 両事業とも本年度春の募集は終了していますが、秋にも募集する予定です。両事業で、該当しそうな案件がありましたら、ぜひ相談いただければと思います。当機構の中小企業支援センターでは、国の案件も合わせて相談に応じていますので、ご利用いただければ幸いです。

●(財)富山県新世紀産業機構 企画管理課
 富山市高田527番地 情報ビル2F TEL 076-444-5601
 URL:https://www.tonio.or.jp/


地域資源活用・農商工連携事業の事例発表 
 1.高度な鋳造技術と独自の研磨技術によるオリジナルデザイン製品「フィオリキアリ」「シィンク」の製造・販売の取組み(国認定・地域資源活用事例)
株式会社高田製作所 常務取締役 高田 晃一氏    
 当社では、金属を溶かして型に入れて、ものをつくることを1947年から行っています。鋳物の会社です。当初から鋳造の技術と合わせて、金属の表面をピカピカに磨く技術も持っていました。それゆえ、ある宗派の仏具を、オリジナルデザインの商品として制作してきました。また、1977年に戸出工業団地に移ってからは、ドアハンドルや排水金物などの工業製品もつくるようになりました。
 私は以前は、東京の建築会社に勤めていて、その時にアルミに出会いました。アルミを使って、インテリアなどがつくることができないかと、父が経営していた会社に打診したのが事の始まりで、今日まできました。
 フィオリキアリはイタリア語で輝く花という意味です。フラーワーベース(花器)のフィオリキアリとシィンクという現代調の仏壇仏具を開発し、テスト販売していました。またそこに、新商品を加えながら販路を開拓して、より売上げを伸ばしていこうと計画していた時に、地域資源活用の事業を知り、申請して認可されたところです。
 当社は30名ばかりの会社ですが、大きな夢を持っています。伝統文化を踏まえて、洋式のデザインを取り入れていきたいと考えています。この花器をイタリアのミラノサローネに出展し、今では都内の6店舗で販売しています。また仏壇は、小型で収納することができ、現代の生活スタイルにあったデザインであることを特徴としています。ある仏壇の問屋さんでは、最近は10%くらいが現代仏壇になっているようで、さらに増えることを予想されていました。
 当社の兄弟会社にタカタレムノスという、デザイン時計の製造販売をしている会社があります。こちらは営業力が高く、デザインクロックのシェアは日本で一番です。そちらの営業ルートの協力も得ながら、シィンクとフィオリキアリの販売を伸ばせないかと計画しています。花器食器類の市場は85億円。時計の市場は287億円。素材の特性を生かしながら、現代のライフスタイルに合わせてシリーズ展開を考えています。
 一方、仏壇仏具の市場は2,500億円あります。以前よりだいぶ減ってきましたが、2,500億円もある。仏壇については、ライフスタイルの変化に合っていない面もあると思いますので、デザインをキーワードに新しい商品を開発し、販路開拓をしていく予定です。当面の目標は、フィオリキアリとシィンクを合わせて年商1億円。5年後には会社全体で、年商4億円を超える会社にする夢を持っています。
 6月初めには、インテリアライフスタイルショーに出展しました。ブースのデザインは、建築畑で働いていた経験を生かして私がしました。フィオリキアリの展示は、白を基調に高級路線をとりました。シィンクの現代仏壇は、テーブルの大きさなどは日常生活の中にあるサイズにして、お客様にコンパクトさを実感していただくようにしました。幸い、ブースには小売店関係の方がたくさんお越しになり、さまざまなオファーをいただきました。今まで、問屋さんからも小売店さんからも関心を持っていただけなかったのですが、それを思うと地域資源の認定を受けて、今回の展示会に出展できたことは大変に嬉しいことでした。

●株式会社高田製作所
 富山県高岡市戸出栄町54-7
 URL:http://www.imono.com/


 2.地元産大麦を使った麦芽と日本有数の清流・黒部川の名水を使用した「モルト麦茶」(仮称)の開発・販売の取組み(国認定・農商工連携)
宇奈月ビール株式会社 代表取締役社長 大橋 聡司氏    
 昨年12月に農商工連携の認定を受け、商品開発を進めてきました黒部モルト麦茶をご紹介します。6月4日から販売を始めました。
 まず宇奈月ビールの概要です。当社は、観光と農業の活性化を目指して平成7年に設立した第三セクターの会社です。平成9年に同社が運営する宇奈月ビール館がオープンしました。この宇奈月ビール館で、黒部の名水と地元産の二条大麦を使用した地ビール3種類を製造販売しています。また道の駅宇奈月を持ち、レストランとお土産などの物販施設を併設し、黒部峡谷、宇奈月温泉を訪れる観光客の交流拠点施設になっています。
 宇奈月ビールは、味には大変に定評がある地ビールで、国際ビール大賞や全国酒類コンクールなどに平成15年からエントリーし、毎年、受賞してきました。最高賞も何度か受賞しています。ただ、経営は順風満帆とは決していえません。地ビールの生産を始めて数年で、醸造量が大きく落ち込みました。初年度の平成9年には95㎘生産したものが、平成11年には57㎘。6割の量です。その後もしばらく低迷しました。少量生産であるため価格が高くならざるを得ず、また市場では発泡酒などの低価格のビールが主流となり、余計に割高感が感じられるようになりました。
 全国的にも、多くの地ビール会社が苦戦し、倒産する例もあります。それでも私たちは、発泡酒では満足されないお客様、おいしいビールを求める市場があると信じて、農業と観光の活性化のために邁進してきました。平成17年からは、缶ビールの販売も開始。少しずつ、年間醸造量が増えています。昨年度は108㎘を超え、缶ビールの販売量も20万缶を超えました。
 地ビール以外では、ビールカレー、黒部名水ギョウザ、ビールケーキなどの新しい商品を、平成18年以降、毎年発売してきました。これらが効を奏したのでしょう。宇奈月ビール館を訪れるお客様は年間11万人を超えています。
 本題の、農商工連携についてです。宇奈月ビールに、ビール用の二条大麦を供給してくれる黒部市ビール麦生産組合が、平成10年に設立されました。以来、二条大麦の安定的な供給を目指して、栽培技術の向上に努めています。組合の努力によって二条大麦の生産量が増えてきました。しかし、地ビールの醸造量は、醸造施設の規模の関係で、今以上には増やすことができません。その結果、麦が余ってしまいました。二条大麦を生かした別の商品の開発が求められるようになり、その中から黒部モルト麦茶の開発が始まったのです。
 黒部モルト麦茶は、黒部産の二条大麦、宇奈月ビールが製造した高品質のモルト(麦芽)を使用して、黒部の名水で仕込んだ黒部特産のお茶です。豊かな香ばしさ、旨味、そしてスッキリとした飲み口は、既存の麦茶にはない特徴です。地元での販売が主で、市場にはまだほとんど流通していません。しかしながら、清涼飲料市場における麦茶の成長率は第二位であることを踏まえると、今後の成長が見込まれます。
 モルト(麦芽)は、麦を発芽・乾燥させたもので、ビールやウイスキーの旨味の成分となり、消化を促進する働きがあります。またビタミンB群をはじめとした栄養素が含まれているため、美肌効果があって健康にいいともいわれています。黒部モルト麦茶には、アルコールは入っていません。カフェインゼロ、カロリーゼロ。赤ちゃんからお年寄りまで安心して飲んでいただけるお茶です。
 黒部モルト麦茶の開発・販売にあたっては、昨年12月に国から農商工等連携事業計画として認定を受けました。商工業側からは宇奈月ビール、農業側からは黒部市ビール麦生産組合が参画し、さらにはNPO法人黒部まちづくり協議会などの地元関係団体が連携を組み、連携体の経営資源を生かして観光客から地元市民まで幅広くマーケットを獲得することを目指しています。
 商品開発には苦労がつきまといました。試作品を1万800本つくり、今年の2月に1,280名の方に試飲していただきました。66%の方からおいしいと評価をいただいたものの、マーケティングの戦略からいうと70%以上の方から支持をいただく必要がありますので、改良を加えてきたのです。
 カギは培せん技術にあり、その技術力と生産能力を持った事業者を探しました。モルト麦茶の風味を生かす培せん方法には、直火培せん、熱風培せん、蒸気培せんの3つの方法があります。各々の培せん時間も変えながら何度も試行しました。結果として、熱風で140分間培せんする方法を選びました。またモルトと二条麦の割合についても、培せん方法と合わせて試作し、試飲を繰り返した結果、麦芽2、二条麦1の割合がベストであるという結論に達しました。
 パッケージデザインも1,280名のアンケート結果から、半数以上の方から購入したいデザインになっていないという回答を得ました。パッケージデザインの改良にも取り組んだのです。いくつも案をつくり、最終的に3案に絞って、再びアンケートをとりデザインを決めました。また調査の過程で、子どもや女性の方にも無理なく飲める350mlサイズが必要なことが判明しました。そこで500mlと350mlの2つのサイズを販売することにし、500mlサイズは夏向けで、ボトルは白を基調としたデザインにしました。一方350mlサイズは少し暖色系を加えて通年でご愛顧いただけるデザインにしました。
 販売方法は、現在のところ宇奈月ビール館をはじめ、黒部市内、新川地区と順次販売店を広げています。黒部市や黒部まちづくり協議会など、各種団体の協力も得まして、職場やご家庭、地域の会合等でご利用いただいています。私たちは、黒部モルト麦茶を、地域に根ざしたお茶として確立したいと考えています。また黒部のブランド商品として成長させていくことを目指しています。
 計画では、平成25年には19万2,000本の販売、売上げ1,344万円を予定しています。この目標は遥かにクリアできるでしょう。黒部市長は、100万本の販売を目指すと意欲満々でした。その数字も視野に入れて、取り組んでいきます。

●宇奈月ビール株式会社
 富山県黒部市宇奈月町下立687
 URL:http://www.unazuki-beer.jp/


 3.LED・電子制御技術を生かした安価な「植物育成用チャンバー」の開発・販売の取組み(県認定・地域資源活用)
セト電子工業株式会社 技術部 数井 健一氏    
 弊社・セト電子工業は、本来は電気屋です。なぜ農業に目を向けたのか…。その点については後で説明します。
 まずは当社と商品を簡単に紹介します。会社は昭和54年に設立。今年で30年目を迎えます。経営理念としては「思いやる心 お客様・仲間・家族・自分」を掲げ、お客様はもちろんのこと、身のまわりの仲間や家族、自分も大切にして行くことをモットーとしています。
 商品としては、バスターミナルなどに設置されているバス運行システム、最近はLED表示装置によって案内されていますが、LED表示装置を主につくっています。制御系や照明についても開発を進めています。30年の歴史の中で培った高効率LED点灯技術、電子制御技術をコア技術として生かし、今後の市場をにらんで植物育成用のチャンバーの開発を考えました。
 チャンバーに的を絞ったのは、以下のような理由からです。弊社はこれまで30年間、富山県、富山の人びとにお世話になりました。そこで富山に役立つジャンルはないかと、商品開発の方向性を模索した次第です。富山という、田舎だからこそできることはないか。都会に比べて有利な条件はないか、と考え続けました。見渡すと、富山には農地がたくさんあり、農業のプロがたくさんいます。そこで植物育成用のチャンバーの開発が浮上してきたのです。
 このチャンバーは、簡易栽培実験装置として使っていただけます。市場にはすでに似たようなものは出ています。しかし弊社としては植物用として開発し、温度や湿度、CO2濃度を制御したり、LEDを使って明るさのコントロールもできるチャンバーの開発を目指しています。
 全天候型の家庭菜園装置としても応用できるチャンバー、簡易恒温装置としても利用できるチャンバーの開発を目指しています。社内では、チャンバーによる椎茸栽培の実験を行い、室温栽培と比較してみました。チャンバーで育成した椎茸は、室温栽培に比べて個数が多く、色が白いという結果が得られました。椎茸の良否の判定にまでは至っていませんが、育成方法の違いにより、見た目、量などに差異があることがわかりましたので、チャンバー栽培には有効性があると推測できます。
 今の段階のチャンバーは、まだ試作段階です。今後は、設計製作を進め、基本性能評価を行う予定です。また来年度はモニター機をつくり、ユーザーのニーズをとらえて製品に反映させる予定でいます。

●セト電子工業株式会社
 富山県射水市戸破8-10
 URL:http://www.npsec.com/seto/seto.htm


  ■第三部 情報交流ひろば
ものづくり中小企業支援について 
富山県中小企業団体中央会 工業振興課長 米谷 孝行氏    
 大変に厳しい中小企業の経営環境にあって、ものづくり中小企業を応援するための大型の補正予算の内容についてご説明させていただきます。
 緊急経済対策により総額700億円を超える大型の補正予算がつきました。その内容につきましては大きく3つの事業があります。まず、ものづくり中小企業への研究開発委託による支援。平成18年度から始まっている戦略的基盤技術高度化支援事業の拡張事業です。2番目はものづくり中小企業への試作開発支援。3番目は公設試等による製品実証等を通じた販路開拓支援。後者の2つは補助金で、私ども中小企業団体中央会に申請を行っていただくものです。
 本日は、ものづくり中小企業の試作開発から販路開拓への支援の部分に重点を置いて説明します。助成対象となる事業は、中小企業者が自ら行う「特定ものづくり基盤技術」の20の分野を活用した、試作開発とその成果の販路開拓にかかる取り組みまでを一貫して対象とします。助成期間は1年、補助率は3分の2。補助金額は100万円~1億円までです。補助対象経費は、試作開発にかかる従業員の人件費、試作開発に要する機械装置、原材料費、外注加工費、そして販路開拓に要した経費等も対象にすることが可能です。
 ものづくり中小企業の製品実証等への支援につきましては、既に開発された製品や技術の実証あるいは性能評価を公設試験研究機関等に依頼する際に、その費用の一部を定額で補助するものです。補助額は50万円~500万円を予定しています。
 いずれの支援につきましても、対象となる技術分野や募集要項については、全国中小企業団体中央会のホームページをご参照いただくか、各都道府県の中央会に連絡いただけたらと思います。富山県には、ものづくり中小企業がたくさんあります。ぜひこの制度をご活用いただければと思います。

●富山県中小企業団体中央会
 富山市総曲輪2-1-3 富山商工会議所ビル6階
 TEL 076-424-3686
 URL:http://www.chuokai-toyama.or.jp/


工業高校生ものづくり人材育成事業について 
富山県職業能力開発協会 訓練振興課コーディネータ 桶谷 収氏    
 富山県が平成20年度より取り組んでいる工業高校生のものづくり人材育成事業をご説明し、ご理解とご協力をお願いします。
 この事業では、経済産業省と文部科学省の委託事業として、富山県教育委員会と富山県商工労働部、そして当協会が県内の企業と連携し、工業高校生を対象にしたものづくり立国を目指した活動を行っています。具体的には、魚津工業高校、富山工業高校、高岡工芸高校、砺波工業高校と、その地域企業が協働して活動を実施しています。
 活動内容は企業の技術者・技能士による工業高校での生徒の実践的指導。反対に、工業高校の生徒が企業に行って、自習する活動もあります。これは3つの方法があり、短期と長期とデュアルがあります。また学校の先生が企業現場に出向いて高度な技術を習得することもあります。そして4番目は企業と工業高校との共同研究。これらの事業を行うことによって、地域企業が求める実践的な知識や技能を、高校生や教員に習得させるとともに、ものづくり現場の職場環境、チームワークの大切さ、コミュニケーション能力向上の必要性を認識していただき、また勤労観の涵養を促して富山県におけるものづくり産業の担い手、地域企業のニーズに応じた人材の育成を図ることを目指しています。
 平成20年度の、工業高校3年生による10日間の企業現場実習(長期インターンシップ)には、74名が参加しました。また主に1、2年生が行う3日~5日の短期インターンシップには、4つの高校で712名が参加しました。
 企業技術者による工業高校での実践的な指導ついては、ものづくりコンテストに参加する工業高校生を、技能士が指導した例があります。またある工業高校では、新しいCAD、CAMを導入したばかりで、その実践的な講習を行いました。旋盤技能検定の指導もあります。一方、教員の現場研修は基本的には10日間、延べで80時間ですが、各工業高校の教員33名が参加しました。
 地域との交流で、生徒が実施しているユニークな例としては、地域の老人家庭での電球の取り替え、小さなお子さんのおられる家庭から持ち込まれたおもちゃの修理などがあります。
 特筆すべき活動としては、工業高校生による技術論文の発表大会を11月に実施しました。また海外研修の一貫として、中国の工業高校との交流と中国に進出している日系企業の見学会も行いました。
 本年度は、この事業の2年目にあたります。内容の充実を図り、活動のご理解をいただいて、企業の皆様のご協力も賜われば幸いです。

●富山県職業能力開発協会
 富山市安住町7-18 安住町第一生命ビル2階
 TEL 076-432-9886
 URL:http://www.toyama-noukai.or.jp/


各種助成金について 
財団法人21世紀職業財団富山事務所 課長代理 草島 りつ子氏    
 仕事と家庭の両立を支援する事業主、またはパートタイマーを雇用していて、パートタイマーと正社員との均衡待遇に向けた取り組み行っている事業主を対象に助成金を支給しています。いずれも労働保険、雇用保険適用事業主が対象となります。就業規則にそれらの制度を導入することも要件となっていますが、助成金の種類によっては、要件が緩和されているものもあります。
 両立支援レベルアップ助成金には、代理要員確保コース、休業中能力アップコース、子育て期の短時間勤務支援コース、育児・介護費用等補助コース、職場風土改革コースなどがあります。申請要件、助成金額につきましては、21世紀職業財団のホームページをご覧いただくか、富山事務所の方までご連絡ください。パートタイマー均衡待遇推進助成金についても、ご相談に応じています。
 次にパワーハラスメント防止セミナーです。当財団では有識者のご協力の下、パワーハラスメント防止研修用のテキストの開発に努めてきましたが、このほど完成しました。それを記念して、8月11日に、パレブラン高志会館で、パワーハラスメント防止セミナーを開催します。富山県、富山市、高岡市のほか、県内の多くの経済団体より、共催・後援などでご協力を得ています。
 講師は弁護士の江上千恵子さんです。パワーハラスメントは、今年の春には労災認定基準の関連項目に追加されました。職場風土を悪化させ、企業の法的責任にもつながりかねないパワーハラスメント防止に向けて、豊富な裁判事例から学んでいただくよい機会かと思います。
 私どもの財団では、事業所に出向いてのセクハラ防止研修なども行っています。昨年度もたくさんの事業所から要望をいただき、研修を開催しました。財団には、関連の専門図書もたくさんありますので、研修会の開催と合わせて、ご利用いただけたら幸いです。

●財団法人21世紀職業財団富山事務所
 富山市桜橋通り2-25 富山第一生命ビルディング8F
 TEL 076-444-1526
 URL:http://www.jiwe.or.jp/

作成日2009.08.03

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