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平成19年度産業支援機関連携促進会議  

地域資源を活用して、地域の再生を図ることが注目されています。今回の会議では、地域ブランドづくりの成功事例に学ぶとともに、地元支援機関の取り組み事例、新たな施策などが紹介されました。その概要をお知らせします。

講演 地域ブランドづくりのチャンス到来! 概要はこちら

支援機関発表 中小企業地域資源活用プログラム関連施策 概要はこちら

支援機関発表 食のとやまブランドの推進について 概要はこちら

支援機関発表 富山市新産業支援センターの開設について 概要はこちら

  ■支援機関発表
中小企業地域資源活用プログラム関連施策 
(独)中小企業基盤整備機構北陸支部 地域経済活性化推進役 高村 誠人   

 中小企業地域資源活用プログラムのうち、機構が担当する事業について説明します。地域資源活用プログラムは国の施策で、地域資源を使って5年間で新しい事業を1000創出することを目標に制度化された事業です。産地の技術、農林水産物と観光資源。この3つの資源を使って事業を起こし、活性化していく施策で、中小企業地域資源活用促進法に基づいています。国が策定する基本方針を受けて、都道府県が地域の資源を使った事業を支援していく基本構想をつくり、それを受けた形で地域の中小企業が地域資源活用事業計画を策定して、国の認可を受けた上で事業を進めていく。そこで各種の支援措置が受けられるのです。そのための相談窓口が、これから全国で10カ所設けられる予定です。
 その他の支援としては、地域資源活用のきっかけづくりの支援、あるいは出口支援である商談会やアンテナショップ、人材育成などを行う事業です。これらのうち当機構が行うものにつきましては、地域企業化力向上支援事業と呼んでいます。
 地域企業化力向上支援事業は5つの事業からなっています。まずは地域資源活用企業化コーディネート活動等支援事業。この事業は地域資源を活用した新たな取り組みが創出されるよう、商工会議所や地場産業支援センター、中小企業組合などが市町村と連携をとりながら、産地の中小企業と大都市圏のデザイナーやバイヤーとの間でネットワークを構築するなど、新たなプロジェクトを立ち上げるための交流会や勉強会など支援するものです。芽出し部分の支援事業です。この事業につきましては近く公募する予定にしています。第1回目の募集は、まずは6月上~中旬にHP上で事業の告知をし、6月下旬から7月の上旬に公募。9月中に交付決定を予定しています。詳細は近々告知されるホームページをご覧ください。この事業につきましては年度内にもう一度募集を予定しています。2回目の募集は、年度の後半に行う予定です。
 支援対象者には7つのグループがあり、1つ目は公益法人で地方公共団体が資金を供出しているもの。具体的には県の支援センターとか、県の地場産センターです。2つ目は自治体等が出資している第三セクターで、中小企業者が中心になって作り上げたものです。具体的にはまちづくり会社などを想定しています。3、4、5番目は商工会議所、商工会連合会、中小企業中央会など商工3団体です。6つ目のグループは中小企業が主たる構成員である法律に基づく事業協同組合などの組合。7番目はその他の団体。県または県の支援センターの推薦が必要になりますが、具体的にはNPO、観光協会、農協や漁協が対象になる予定です。この「その他の団体」につきましては、機構で別途基準を定めます。中小企業者が4社以上でグループを組んで行うケースは、この第7のグループで対象とできないかを検討しているところです。
 対象事業は、地域資源を活用した新商品、新サービスの開発、新たな取り組みの創出・育成を図るための勉強会、研究会、またこれにかかる調査業務。これらを対象事業ととらえています。ここでいう地域資源は、芽出し支援を想定しており、先ほど、法律に基づいて県が地域資源を指定することを申し上げましたが、それより少し広く捉え、例えば申請時点で県の基本構想に指定されていないものであっても、地域資源として利用する事業であれば、支援の対象になると考えています。
 助成率と額については、1件につき100万円以上で500万円を越えない範囲の額で、定額助成です。定額助成というのは、補助率が10/10(対象経費については全額補助という意味)。また対象経費は、支援事業を行うための経費として、専門家に関わる謝金、旅費、交通費。そして申請する組織の職員の旅費、交通費。そのほか、勉強会、交流会に必要な経費で、会場費や印刷製本費、通信運搬、資料購入費、それらに必要な調査費などが含まれます。申請組織の人件費とか一般管理費は対象にはなりません。
 また採択件数は、500万円ベースで約100件を想定。事業の期間は、交付決定から事業完了予定日までを12カ月以内とし、年度をまたぐことも可能です。ただし、助成金の交付は事業完了後に一括交付となります。具体的な手続きは、北陸3県については当機構の北陸支部に申請していただくことになります。
 他の4つは、年度後半からの事業です。詳細について事業内容を検討中ですので簡単な紹介にとどめます。まず1つ目は「首都圏等販路開拓商談会、アンテナショップ」。これは地域の中小企業者と域外の市場の入り口となるバイヤーとの接点を提供しようという事業です。商談会の細目については現在検討中で、東京と大阪で年度の後半に、各1日1回を予定しています。またアンテナショップは、成田空港と都内に1カ所の合わせて2カ所。11月頃の開設を考えています。このアンテナショップは、当機構としてはテストマーケティングの場として捉えており、そのノウハウを合わせて学んでいただけるような運営を考えています。
 次に人材育成に関する事業で、「地域づくり達人養成塾」。各地の活性化の第一線で活躍している人のところに長期的、継続的な派遣を行って、週末学校や合宿形式で、次世代のリーダーを実践形式で育成しようという取り組みです。これも年度後半に、全国9地域で塾を開校する予定です。また、地域資源を活用したビジネスを促進するために、「地域資源フォーラム」を開催していきます。第1回目の東京での開催は6月22日。年度後半には、全国10カ所でフォーラムを開催する予定です。
 5番目の「市場開拓力向上マニュアル策定」では、商品の企画や開発、販路開拓のノウハウを提供するためのマニュアルづくりを準備しています。これについても年度後半に作成して、研修会等を通じて普及する予定にしています。以上が企業化力向上支援事業です。
 当機構が担当する地域資源活用プログラムに関する新規事業には、「地域中小企業応援ファンド」があります。このファンドは、地域資源を活用した事業の進捗状況に応じて資金的な支援をすることを目的としています。都道府県や地域の金融機関と連携してファンドを創設し、資金提供をしていくものです。これには、初期段階の応援を目的とした「スタート・アップ応援型ファンド」と、事業の展開段階を支援する「チャレンジ企業応援型ファンド」の2つのスキームがあります。富山県では今年度は、「スタート・アップ型応援ファンド」の創成を予定しています。
 以上、機構の事業紹介をさせていただきました。事業の具体的内容や近く公募を始めるコーディネート事業については、ホームページで内容の確認をいただくか、機構の北陸支部にお問い合せください。  
●(独)中小企業基盤整備機構北陸支部
石川県金沢市広岡3-1-1 金沢パークビル10階
TEL 076-223-5761(代)
URL:http://www.smrj.go.jp/hokuriku/


食のとやまブランドの推進について
富山県農林水産部農産食品課 食のブランド推進班長 作井 英人   

 富山県は海の幸、野の幸、山の幸に恵まれ、万葉の時代から食文化が育まれてきました。その伝統が今も県内に根づいています。食のブランド化といっても、農産物、その食品加工、料理など幅広くあります。農産物については、例えば品種や栽培技術、品質、出荷量なども要因となっています。また、農産物は、その背景となる歴史、文化、自然なども重要です。そしてマーケットでの評価と期待で、ブランド価値が決まってきます。
 農産物のブランド化では、品種が非常に重要な要素です。富山県では、この4月に新しい水稲の晩生品種「てんこもり」を発表しました。平成16年には「てんたかく」という早生品種が本格デビューし、「てんたかく」「コシヒカリ」、その後に収穫する良質でおいしい品種の「てんこもり」を出した次第です。「てんこもり」は倒れにくくて、おいしい米です。食卓への本格的なデビューは来年からとなります。
 とやま型「地域ブランド」戦略については、県の知事政策室に平成17年5月、「とやまブランド推進本部」が設置されました。本部長は知事で、地域間競争に勝っていくため、県産品や地域の魅力を「とやまブランド」として育成強化するために、関係機関との協力のもとに進められています。その「とやまブランド」の形成をどうしていくか。1つは個別ブランドの創造・育成、それから地域のブランド化が大切です。ここでは、相乗効果が非常に重要になってきます。
 食につきましても、「食のとやまブランド推進戦略」の検討を17年5月から進め、この6月にまとめたところです。関係機関、団体の皆さんと一体となって、情報発信や販売促進活動に取り組んでいます。推進戦略を立てるにあたって、富山県には、いろいろ食材や加工食品がありますが、それらを調査しました。県外出荷額や知名度なども調べました。出荷額が多くて知名度も高いもの、出荷額は多くなくても知名度が高いもの、地産地消的なもの、などいろいろありました。それをどのように育成していくかを検討しています。推進戦略では、首都圏等でブランド力を強化していく産品、県外から富山に来ていただいて食べていただく、あるいは取り寄せていただく産品、そして県内での有利販売・地産地消的な取組を強化していく産品、と大きく3つに分けて進めています。
 首都圏でのブランド力を強化するためのひとつの方法として、昨年12月、東京・有楽町の交通会館の地下に、「いきいき富山館」という県のアンテナショップが開設されました。売場面積は従来の2倍。料理するコーナーも新しく設けられ、生産者の方に実際に行っていただいてマーケティングすることを支援していく予定です。また、様々な機会を利用して、富山の産品を売り出すことも試みています。ゴールデンウイークには銀座のみゆき通りで、チューリップの花びらで富山の産品をPRしました。同時に、銀座松坂屋の地下で、「富山うまいもんフェア」を開催し、富山で開発されたオリジナルチューリップを展示するとともに、マス寿司の販売や富山特産大使に深層水を配っていただいたりしました。
 県外から富山県に来ていただくための仕掛けづくりとして、「とやま食の街道」づくり事業を始めました。この事業では、食の関連施設、飲食店、販売店、加工施設などを結ぶ街道を設定。103名の方にお願いした「食の語り部」さんに、街道で活動をしていただいています。街道づくり事業の概略を申し上げると、ひとつには「日本の味・とやま昆布街道」があります。富山県は昆布の消費量が全国一多く、昆布にまつわる施設を結ぶルートです。次に富山県は魚がおいしいですから「神秘の海・富山湾きときと街道」と銘打った魚にまつわるルートも設定しました。もうひとつは「心のもてなし・とやま里山料理街道」です。富山県は、浄土真宗にまつわる「報恩講料理」や立山信仰にまつわる「つぼ料理」などの伝承料理がありますので、これを生かしたルートです。こうした取組を通して、富山に来ていただく仕掛けを考えています。
 県内での有利販売の推進については、これまで「食祭とやま」を秋に開催し、またインショップということで、量販店に地場産コーナーを設けてきました。現在、県内59店舗で開設しています。それから17年からは新たな「とやま名物」商品開発事業として、県民の皆さんからのアイデア募集や産学官の連携によって、新商品の開発を行っています。17年度は3つ。18年度は5つの名物を開発しました。
 富山県には「富山県ふるさと認証食品制度」があり、平成12年度からEマークをつけた食品が販売されています。主な原材料が富山県産100%であること、工場等が富山県内にあること、食品としての品質が優れていること、などの認証の要件があり、現在23品目の認証基準を定め、75団体・224の商品について認証しています。
 今後の展開については、今年度から食のブランド推進関係の事業を見直し、情報発信の強化を図っています。「越中とやま食の王国」づくり事業を新たにスタートさせて、今後、食に関するポータルサイトの検討やキャッチフレーズ、ロゴの公募、イメージづくり、話題づくりなど、産品の魅力が話題にされるよう取り組んでいきたいと思っています。また、食に関するネットワークづくりでは、例えば機能性食品の開発では、大学や産業支援機関の皆さんのお力添えをいただきたいと考えています。
 富山県にお客さんを呼び込む力の強化としては、8年間続けてきた「食祭とやま」を、今年からは「越中とやま食の王国フェスタ」と装いも新たにし、10月には秋の陣、来年2月には冬の陣を開催する予定です。その他、食の街道づくりでは、「食の語り部」さんの活動を支援していきます。また、人材の育成のために、これまで、「食の伝承人」と「特産の匠」を認定してきましたが、新しく「創作の匠」を加えて、例えば加工食品に優れた方や創作料理に優れた方を加えて、「とやま食の匠」制度を創設していくことを考えています。
 特許庁が昨年から始めている地域団体商標では、富山県内では、入善ジャンボスイカしか取得されていません。ブランド産品の育成強化のためには、知的財産面での意識向上や新しい品目の導入、販路開拓の支援、そして生産者の皆さんとともにブランド力を上げるにはどうしたらいいかを意識啓発していくなどの取組も必要で、そのための支援も積極的に行いたいと考えています。
●富山県 農林水産部 農産食品課 食のブランド推進班
富山市新総曲輪1番7号
TEL 076-444-3271
URL:http://www.pref.toyama.jp/cms_sec/1613/


富山市新産業支援センターの開設について 
富山市商工労働部工業政策課長 二宮 努   

 富山市新産業支援センターは、この4月に開設しました。所在地は、富山大学の工学部の南端、地域共同研究センターと廊下続きで建っています。延べ床面積は約2000平方メートル。医薬・バイオ、ナノテク、IT、環境など今後成長が期待される新産業を育成するために、研究開発型ベンチャー企業や創業者、また新たな事業化を目指す起業家の皆様を支援するために開設しました。
 1階には機器分析室と事務室があります。機器分析室は富山大学が管理していますが、ここの入居者も分析機器を優先的に使わせていただきます。2階にはクリーンルームと4室からなるレンタルラボ、3階には7室のレンタルラボ、4階には5室のレンタルラボと研修室があります。2階、3階は、研究開発型企業の入居を想定しており、ガス・水道が完備されています。4階はオフィスタイプで、主にIT関係の方々の入居を想定しています。具体的な入居対象者は、大学の先生方や学生、また企業から独立する方でベンチャー企業を起そうとする方。既存の企業であっても、新技術・新商品の開発を大学の先生方との共同研究で行う方々も想定しています。
 この支援センターは、富山大学との連携の下に成り立っています。産学官の拠点施設として、市でも位置づけています。使用料は1平方メートル当たり2100円の単価で積算。30平方メートルを少し上回る部屋が多いので、1室6~8万円になります。ただし、産学官の共同研究や大学の先生方のベンチャー企業の場合は、この使用料は半額に減免されます。
 運営組織としては、運営委員会を設置しています。委員会は8名の方からなり、県、市、商工会議所、中小企業基盤整備機構、大学などから出ていただき、運営の基本的な事項について審議いただいています。また評価委員会も設置しています。評価委員会では、主に入居者の事業プランを評価していただき、入居についての審議を行う機関です。これについては県内企業の方々、富山大学、県立大学、高専、北陸先端大学の技術畑の先生方、そして日本政策投資銀行や県の商工企画課の方など12名の方に委員をお願いしています。
 この支援センターの所長は富山市工業政策課長が兼務しますが、常勤ではないので、所長代理1名を配属しています。その下に科学技術コーディネータ1人を配しています。コーディネータには、この3月まで文部科学省の外郭団体で活躍しておられた方に来ていただきました。産学官の連携強化を図るために、従来の知識や経験を活用していただいているところです。その他、中小企業基盤整備機構から中小企業診断士などの専門的な資格を持った方々を派遣していただき、相談窓口も設置しています。こういう専門家の支援の下で、入居者の育成等を図っていきたいと考えています。
 最後に入居状況を紹介します。先ほどご紹介申し上げたように2階から4階まで、クリーンルームを入れて17室あります。4月1日に開設して、これまで2回の評価委員会を開催し、15室の入居が決まっています。残りは2室のみ。15室には、企業の卵である13社が入居しています。大まかに分類しますと、IT系が7社、医薬・バイオ系が5社、ナノテク系が1社。また産学官の連携の中で動いているのは、13社のうち7社です。大学の先生や研究機関との連携の下に、新たな企業の立ち上げを目指している企業が半数以上あります。
 入居企業は、実に多種多彩です。関係諸団体・諸機関のご協力も得ながら入居者の育成を図り、将来的には市内・県内で独立していただいて、地元に先端技術が根付くことを願っています。
●富山市商工労働部工業政策課
富山市新桜町7番38号
TEL 076-443-2166




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