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同社の主力商品もみもみすり身の冷凍ギフトセット。すり身製造の過程で、ほとんどのメーカーは水晒しを行っているが、上久では鮮度のいい魚を使っているため水晒しの必要性がなく、魚の旨味がそのまま詰まっている。 |
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シイラという魚をご存じだろうか。
おでこのあたりが、オスは角張って、メスは丸みを帯びて異様に発達し、漢字では「鬼頭魚」とも書く。その語源は、「殻ばかりで実のない籾(もみ)=秕(しいな)」という説もあるほどで、成魚(1m数十cm~2m)では肉もついて鮮魚として販売されるが、体長50cm前後では肉はあまり多くなく、水揚げされてもありがたくない魚。養殖魚のエサにするには骨ばかりの硬い頭を取らなければならず、また元々値段が安いためエサにもなりにくく、漁師泣かせの魚であった。
小型のシイラは、いわば雑魚扱いされてきたわけだ。それを後に紹介するように、“失敗を縁”においしいすり身に加工したのが、今回取材でうかがった上久(かみきゅう)。このすり身を、今年3月に開催されたフーデックスジャパンで発表したところ、来場者や食品・水産関係の業界紙ばかりでなく、一般紙も注目(朝日新聞など)。安価でおいしいため大手コンビニがその揚げ物を弁当のおかずに採用し、スーパーの総菜コーナーもそれに続いた。
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