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同社が生産している主な端子・リード線。CPU用のピンのシェアは90%というから、この記事を読まれた方のパソコンにもおそらく搭載されているはず。 |
ひと口に精密な端子、微細ピンといっても、用途は多種多様。右の写真にその一部を紹介するが、電気機器を接続するコネクター、パソコンのCPU(Central Processing Unit:中央処理装置)のプリント基板に実装されるPGA(pin grid array=ピンの格子配列)、リチウムイオン電池の電極端子などに使われ、最終製品としては電子・電気機器から工作機械、自動車、人工衛星に至るまで幅広く応用されている。
同社が製造しているピンは、5000種類以上に及ぶ。実装される機器によって、またメーカーによって、その規格(長さ、径、形状、素材、めっき厚など)がすべて異なるため、ピンの種類は多くなっている。中でもパソコンのCPUに使われるヘッダーピンは、同社が世界の約90%のシェアを持つようになり、最終製品のメーカーも同社の技術を注目するようになってきている。
CPUは以前、セラミックが使用され、この基板にピンを銀ロウ付けしていた。ところがコストダウンやCPU の品質をよりよくするために、プラスチックの基板に挿入する形状のピンが必要となった。しかし、どのピンメーカーもこの要求にすぐに応えることができなかった。
松田登社長は当時を振り返って、
「ピンの品質や精度に応えようとすると課題が次々と浮かび上がり、大変苦労いたしましたが、一応、新型ピンは完成いたしました。
その後、この新型ピン開発に向けた当社の取り組みが、後の技術力と生産力の布石になってくれたことに感謝しております。ファインネクスでは以前から、自社製品の金型もその製品を製造する機械もすべて自社で開発・製造していますが、競合他社のほとんどは、購入した金型や機械を使っているため、フレキシブルに対応することがなかなかできません。また、今もお客様からは多くの試作依頼がありますが、我々はさらに進んで量産が可能かどうかも試しています。そうして量産時においての課題を一つひとつクリアしているので、当社に対して安心感や信頼感がでてきているように感じられます。我々が試作品を多くつくることは、お客様に育てていただいたようなものだと思います。試作品をつくる過程で、金型の設計・製作、機械や部品の設計・製作、そして機械組立の技術が社内に蓄積されるものです」と語った。
一世代前の130ナノのCPUに使われたヘッダーピンの直径は0.45mm。CPU1個当たり三百数十本装着されている。しかし現在、65ナノのCPUでは0.3mmが主流で、CPU1個当たりで900本は使う。松田社長によると、「ピンはより細く、また短くなる傾向にあり、いっそうの精密さが求められている」というから、金型や機械を内製している同社の強みはますます高まるであろう。ちなみに同社のピンは、メーカー規格の寸法(径、長さ、形状)に対して、誤差は3μm(マイクロメートル)以内。安定した品質で生産されていることがうかがえる。
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同社の本社・工場。平成13年にCIを導入し、素晴らしい(FINE)に顧客満足度を表わすCSをつけて「ファインネクス」という社名に変更。平成17年には企業グランプリ富山(技術部門)を受賞した。(右は記念のカップ) |

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