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第19回 世界をリードする環日本海経済交流
富山県海外販路開拓サポートデスクを設置
~東南アジアなどでのビジネス展開も支援~
  
海外販路開拓サポートデスクの設置を報じる北日本新聞(左)、富山新聞(ともに4月23日付)。またNHK富山局は、鹿野氏に個別にインタビューを求め、それを報じていた。
 「こういう窓口ができるのを待っていたんだ」
 これは富山県内で、非鉄金属の加工品をつくっている、ある企業の社長の弁。「こういう窓口」とは、この春、当機構の環日本海経済交流センターに設置された「富山県海外販路開拓サポートデスク」のことだ。
 センターでは1993(平成5)年の開設以来(当初は環日本海貿易交流センター。2004(平成16)年、現在の名称に変更)、海外との経済交流を図り、NEAR(北東アジア経済エキスポ)の開催や貿易・投資促進ミッションの派遣、個別企業の現地展示会出展や貿易相談の支援に積極的に対応してきたところだ。その相手先は、センターの名称が示す通り、環日本海地域すなわち中国、韓国、ロシア沿海地域、モンゴルがメインだが、昨年度からスタートした中小企業販路開拓総合助成事業(海外分)では、中国に限らず海外全般の展示会出展等も支援することとなった。採択企業の対象国は依然、中国が多いものの、東南アジアなどへのニーズも確実にある。また、これらの地域への注目度は、今後さらに高まるだろう。
 このように環日本海の枠を飛び越え、さまざまな国へ活路を見い出そうとする企業の期待に応えようと海外販路開拓サポートデスクは設置された。4月22日に挙行された開所式には県関係者ばかりでなく企業経営者も参加。新聞・テレビ各3社も取材するなど、極めて関心の高いものとなった。
 冒頭の非鉄金属企業の社長の弁は、その開所式の折にうかがったものだ。東南アジアでの工場展開の可能性を模索していた同社にとっては、サポートデスクの設置は極めてタイムリーで、さっそく相談のためのアポイントをとろうと海外販路開拓支援マネージャーに接触していた次第だ。

マネージャーは東南アジア・中東に精通

44年ぶりに富山に帰ってきた鹿野氏。「これも何かのご縁」とマネージャー就任に当たって意欲を見せていた。
 さてここで、その海外販路開拓支援マネージャーに就任した鹿野健(かの・けん)氏を紹介しよう。
 氏は、1947(昭和22)年生まれの64歳。大卒後、総合商社の住友商事に入り(1970年)、主に鉄鋼の貿易業務に携わってきた。以来30年、商社マンとして世界各国の企業と取り引きし、エジプト、サウジアラビア、シンガポール、イラン、フィリピンではそれぞれ数年間駐在。国内勤務時も貿易業務を担当してきた。また2000年から09年は、関連会社や取引先企業に迎えられて、フィリピン、ベトナム、タイの現地法人の社長・副社長を務め、工場の建設や現地生産の準備、そして現地からの輸出(日本以外の国も含む)などの業務に携わってきた。
 39年のビジネスマン人生のうち、数えてみると半分以上の22年を、海外で駐在してきたことになる。「おかげで、少々のことでは驚かなくなりました」と鹿野氏は笑うが、文化の違いによる仕事の進め方や人間関係の結び方の違いには、悩んだことも多々あった様子。その一つひとつを克服して、仕事を進めてきたわけだ(そのあたりの詳細は、氏のビジネスコラムに経験談として多数紹介されているので、下記のURLにて、ぜひご一読を!)。
 以上の経歴の紹介からご理解いただけるように、鹿野氏は特に東南アジアから中東にかけてはスペシャリストといってよく、その他の国々についても、商社時代に鍛えられたグローバルなものの見方を武器に、指導・アドバイスを通じて、販路開拓や現地への工場進出などを図ろうというのだ。


輸出、工場進出などを支援

相談の様子。今までの相談で多いのは、輸出より東南アジアに工場進出し、製品のコストダウンを図るとともに、そこを拠点に日本以外の他の国にも輸出したいというものだ。
 では実際の支援メニューを紹介しよう。主な支援を箇条書き的に列記すると…、
  • 海外販路開拓に関する各種相談にワンストップで対応
  • 海外展開有望企業の掘り起しと海外展開戦略の策定支援
  • 海外市場調査と海外取引先開拓支援
  • 海外進出企業をメンバーとしたネットワークの構築
 となる。
 このうち初めの3つに関しては、平たくいうと “海外で自社製品を売りたい(つまり輸出したい)”、あるいは“海外に工場をつくってそこを生産・販売の拠点にしたい”という要望を持つ企業に、その事業計画の策定や現地での事業展開の際の留意点を指導。また時に、輸出を希望する企業には商社を紹介することもあるという。
 「商社といっても、製品によっては得意・不得意がありますので、私の古巣ばかりでなく、他の商社もご紹介するようになるでしょう。また反対に、東南アジアや中東などの国々から、こんな製品を輸入したいと相談されれば、そういうご要望にもお応えしたい」
 と鹿野氏は臨機応変に対応していくことを約してくれた。
 海外経験の少ない県内企業にあって、東南アジアをはじめ海外の企業との取り引き、あるいは工場進出などを模索している企業はぜひ、海外販路開拓支援マネージャーの鹿野氏と一度、面談していただきたいところだ。


すでにいくつも相談案件が…

7月5日の講演会では主にシンガポールとタイの経済情勢を説明し、現地進出の魅力・留意点を富山県内の企業に説いた(参加15社(団体)、18名)。
 海外販路開拓サポートデスクが開設され、鹿野氏が海外販路開拓マネージャーとして活動し始めて、この取材までに2カ月あまりが過ぎた。この間、冒頭に紹介した企業の他に、プラスチック加工品をつくっている企業からの東南アジアへの工場進出の相談、ガラス製品メーカーからの中国・東南アジアへの輸出の相談、他方、ヨーロッパやアメリカでの製品の販売戦略の相談まで寄せられている。これらについては、相談は引き続き行われており、良好な結果が期待されるところだ。
 またこんな相談もあった。ある繊維製品メーカーから、英語圏でのビジネスショー出展にあたり、その開催要項の英文が理解しにくいので、出展にあたっての留意事項も含めて細かい指導をしてほしいという相談が寄せられた。もちろんこれも鹿野氏の業務内容で快くアドバイスに応じ、開催要項のキーになる部分は翻訳し、相談者に差し上げた次第だ。
 一方で氏は、地元の金融機関や経済団体が主催するセミナー・講演会に講師として招かれ、東南アジアの国々の経済情勢などを講演。中小企業が海外でビジネス展開する際の魅力や可能性なども語ってきた。
 ちなみに鹿野氏は富山市の出身で、今はふるさとに帰って住んでいる。英語の他に富山弁も流暢に話し、シャイな富山人の性格もわかった上で、相談に応じてくれる。
 お問い合わせは下記まで。「事前にご連絡いただいて日時を決め、ゆっくりお話をうかがいたい」と氏は意欲を見せる。

○問合せ先
[(財)富山県新世紀産業機構 環日本海経済交流センター]
 所在地 富山市高田527 情報ビル2F
 TEL 076-432-1321  FAX 076-432-1326
 当センターURL http://www.near21.jp/
作成日2011.07.14

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