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第17回 世界をリードする環日本海
中小企業の販路開拓支援 海外でも積極的に展開
  
 当環日本海経済交流センターでは、県内企業と北東アジア地域とのビジネス交流を盛んにするためにNEAR(北東アジア交流EXPO)、経済成長が注目される地域への視察ミッション、投資・貿易セミナー、北東アジア地域の経済事情や貿易実務に詳しい専門家による個別相談などを実施。これらについては、このコーナーでも紹介してきたためご存じの方も多いだろう。
 また昨今は、「海外への販促支援を充実して欲しい」というニーズが高まってきたことを受けて、県内企業の海外での販路開拓支援も行うようになった。そのひとつが「中小企業販路開拓総合助成事業」だ。
 このTONIO Newsの「中小企業ルネッサンス」「オーダーメイドの企業支援」などのコーナーで、これまでも中小企業の販路開拓の事例等を紹介してきた。しかしそれらは国内の販路開拓を主眼にしており、海外への販路開拓支援は「中国見本市出展支援事業」があるだけであった。
 そこで富山県ならびに当機構では、従来の販路開拓支援事業を見直して、今年度から「中小企業販路開拓総合助成事業」を新設。国内の販路開拓活動では上限25万円、海外の販路開拓活動では上限50万円(ともに補助率1/3以内)の補助をすることとし、補助対象を次のようにまとめた。
  1. 市場調査費(委託費や調査謝金等)
  2. 県外の見本市・展示会・商談会等への出展経費(小間料、小間装飾料)。海外見本市等への出展の場合は展示物の輸送費、渡航に関する航空運賃(国内移動分除く)、通訳費も対象
  3. 人材育成費(販路開拓関係セミナーへの参加費用等)
  4. 広報費(パンフレット作成経費、上限10万円)
  5. 海外マーケティング活動費(旅費、通訳費、海外用販促ツール製作費、産業財産権(特許権、実用新案権、意匠権および商標権)の出願手続代行経費
 ここでいう海外は、中国に限定されるものではなく、また海外見本市等に出展の場合は、富山県国際経済交流推進協議会の助成(上限25万円、補助率1/3以内)も合わせて受けることができ、海外の販路開拓支援は間口が広く、支援も手厚いものとなった。

極めて注目される海外への販路開拓支援

 その総合助成事業の海外分に、さっそく手を挙げた1社が高岡市に本社を構える(有)仁光園(にこうえん)。同社は採卵養鶏を本業とする企業で、平成20年2月、日本農業法人協会が香港で開催した商談会に参加したのを機に、積極的にセールスプロモーションを展開し、香港の百貨店での生食用卵の販売にこぎつけた実績を持っている。
 「卵の生食、平たくいうと卵かけごはんですが、海外ではそういう習慣はありません。それで、大げさな言い方で恐縮ですが、卵かけごはんという食文化も輸出する覚悟で取り組みました。デパートの食品売場では、お客様の目の前で卵を割って卵かけごはんをつくって試食していただきましたし、レストランを訪ねて卵かけごはんをメニューに加えて欲しいと提案もしてきました」
 営業担当の島哲哉さんは、香港で始めた本格的な販路開拓をこう振り返る。そして初めての商談から1年が経過した平成21年3月。香港の百貨店が同社の生食用卵を販売するようになり、またあるレストランでは、季節限定ではあるが卵かけごはんをメニューに採用。その結果、平成21年度は62,300個、約3,900kgの生食用卵を香港に輸出したのであった。
 「日本国内の卵の市場は飽和状態で、海外販売初めての試みで、これだけの量を開拓できたことは大きい。これを足がかりに、海外での販売量を徐々に増やしていきたい」(島さん)と極めて意欲的だ。
 そして本年度から当機構で始まった総合助成事業(海外分)の採択を受けて、香港でのさらなる拡販のテコ入れと、シンガポール、台湾でも卵かけごはんの普及(生食用卵の販売)を試みることとなった。
 再び島さんが語る。
 「助成事業を活用して、食料品店などで卵かけごはんの試食会を行いましたし、また今は、現地の言葉での卵かけごはんを紹介するパンフレットの作成も検討しています。可能性として一番高いのは、香港での新たなチャネルの開拓でしょうか」
 昨年末に発生した鳥インフルエンザの影響で、「商談は一時ペンディングの状態」という。しかし、それも終息に向かっていることを受けて、近々再開する予定。円高と鳥インフルエンザの影響で、22年度の香港への卵の輸出量は、「前年比で若干のマイナスが予想されるものの、23年度からの右肩上がりは十分に期待できる」というから、光明が差し込みつつある状況といえるだろう。
 さてこの総合助成事業の海外分。県内企業の注目が極めて高かったため、平成22年度の年度当初に6件を採択して募集を締切っていたが、「採用数をもっと増やして…」という声が多数寄せられた。そこで県の補正予算を得て第2期分として追加募集(6件程度)したところ、これもすぐに予定を越えるお申し込みをいただいて締切ったところだ。この事業は来年度も実施する予定であるので、富山県内にあり、海外への販路開拓を試みる中小企業は、事業の活用を検討してみてはいかがだろうか。参考に、本年度第2期分の募集要項は下記に挙げるホームページに詳しく紹介しているので、是非ともご覧いただきたいところだ。

香港での商談会、試食会の様子


マーケティング・アドバイザーが中国市場開拓を支援

地元テレビ局の取材を受ける村中手芸の村中洋子さん
  平成22年8月に開催された「富山県ものづくり総合見本市-とやまテクノフェア2010・NEAR2010-」では、極めて活発な商談が行われた。その概要については、TONIO News の特集でお知らせした通りであるが、当該見本市に参加した企業から「商談のフォローを引き続きお願いしたい」という声が寄せられた。
 そこで当センターでは、「中国市場調査・マーケティング活動支援事業」を実施。NEAR参加企業を中心に中国での商談や販路開拓の支援を行うこととした。その主な業務は、NEAR出展中国企業との連絡調整(中国語通訳・翻訳サービス)、現地商談・展示会への同行、市場調査の実施、その他に中国での販路開拓に関する相談等々。中国の流通・経済の事情や貿易業務に詳しい黄春花さん(当センターのマーケティング・アドバイザー)がこの事業のサポート役となって、県内企業の中国での販促活動をアシストすることとなった。
  黄さんの展示会への同行については、「国際養生博覧会」(浙江省金華武義茶展示館、11/8〜10)でさっそく現実のものとなり、富山県内からは(株)村中手芸、オレットドア販売(株)の2社が参加。村中手芸はオーガニックコットンのベビー服を、オレットドア販売は中折れして開閉がスムーズで、高齢者や障害者に優しい設計となっているドアを展示したところ、来場者の注目度は群を抜いて高かった。そのため両社ともに地元メディアの取材を受けることになったのである。
 オレットドア販売の高松俊郎社長が振り返る。
 「ブースへの来場者が多く、その応接に大変でした。ただ、当社が展示したドアの価格は、中国の一般家庭用に販売されているドアの3倍程度はしたようで、最初は福祉施設や病院などがマーケットではないかと思いました」
医療・福祉機器を扱う中進京奥康復器材有限公司でのオレットドアの商談。右は孫総経理、中央は黄さん、左奥は高松俊郎社長。
  高松社長は、踏み込んだ商談は6社と行なった。いずれの社もオレットドアの機能の高さは認めるものの、「中国ではまだ早い」という感触を持ったようだ。ただ高松社長にしても、こうした展示会に参加してはじめて、商品への評価がわかったわけで、展示会への参加そのものは満足した様子。「海外への販路開拓の支援事業を活用させていただき、初めて当社商品の中国での販売の可能性を調べることができました。博覧会では、一般消費財・サービスがメインに紹介されていましたが、例えばドアの博覧会、建材の博覧会などがあれば、それに参加するのもいいのでは…と思いました。それにしても、初めての中国での販促活動で、右も左もわからないところを黄さんの通訳とアドバイスで商談が乗り越えられたのがよかった」と、黄さんのアシストの下で別な博覧会に出展したい…と匂わせながら高松社長はコメントを締めくくった。


3月の博覧会出展企業募集

 中国への博覧会出展支援では、当機構は経済産業省の「平成22年度地域中小企業海外販路開拓事業」の採択を受けて、急遽2つの博覧会出展を決めた。そのひとつは山東省済南市で行われる「第6回中国(山東)国際装備製造業博覧会」(23年3月16~18日)。もうひとつは、陜西(せんせい)省西安市で行われる「第12回中国西部国際装備製造業博覧会」(23年3月16~19日)。両博覧会ともに金属・機械(部材含む)を中心に商談する国家級の博覧会として中央政府も力を入れており、過去の博覧会では多大な実績を挙げているところから、今回も成果が期待されているところだ。
 当機構では、前者に10小間、後者に7小間を確保。1小間1企業を原則として出展企業の募集を開始した。詳細は下記に紹介するホームページで確認していただきたいが、小間代はもとより小間の装飾費や備品レンタル料、そして出展品パンフ中国語翻訳費、出展者旅費、大型展示品輸送費、期間中の通訳雇用なども支援の対象となり、富山県内のものづくり中小企業の皆さんには、ぜひとも参加していただきたい。

   

 当センターでは、来年度以降も中小企業の海外での販路開拓支援に積極的に取り組み、前記のような事業を展開していきます。個別の事業の詳細はその都度、ホームページやリーフレット、チラシなどで紹介しますので、ご覧ください。

○問合せ先
[(財)富山県新世紀産業機構 環日本海経済交流センター]
 所在地 富山市高田527 情報ビル2F
 TEL 076-432-1321  FAX 076-432-1326
 当センターURL http://www.near21.jp/
作成日2011.01.11

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