その総合助成事業の海外分に、さっそく手を挙げた1社が高岡市に本社を構える(有)仁光園(にこうえん)。同社は採卵養鶏を本業とする企業で、平成20年2月、日本農業法人協会が香港で開催した商談会に参加したのを機に、積極的にセールスプロモーションを展開し、香港の百貨店での生食用卵の販売にこぎつけた実績を持っている。
「卵の生食、平たくいうと卵かけごはんですが、海外ではそういう習慣はありません。それで、大げさな言い方で恐縮ですが、卵かけごはんという食文化も輸出する覚悟で取り組みました。デパートの食品売場では、お客様の目の前で卵を割って卵かけごはんをつくって試食していただきましたし、レストランを訪ねて卵かけごはんをメニューに加えて欲しいと提案もしてきました」
営業担当の島哲哉さんは、香港で始めた本格的な販路開拓をこう振り返る。そして初めての商談から1年が経過した平成21年3月。香港の百貨店が同社の生食用卵を販売するようになり、またあるレストランでは、季節限定ではあるが卵かけごはんをメニューに採用。その結果、平成21年度は62,300個、約3,900kgの生食用卵を香港に輸出したのであった。
「日本国内の卵の市場は飽和状態で、海外販売初めての試みで、これだけの量を開拓できたことは大きい。これを足がかりに、海外での販売量を徐々に増やしていきたい」(島さん)と極めて意欲的だ。
そして本年度から当機構で始まった総合助成事業(海外分)の採択を受けて、香港でのさらなる拡販のテコ入れと、シンガポール、台湾でも卵かけごはんの普及(生食用卵の販売)を試みることとなった。
再び島さんが語る。
「助成事業を活用して、食料品店などで卵かけごはんの試食会を行いましたし、また今は、現地の言葉での卵かけごはんを紹介するパンフレットの作成も検討しています。可能性として一番高いのは、香港での新たなチャネルの開拓でしょうか」
昨年末に発生した鳥インフルエンザの影響で、「商談は一時ペンディングの状態」という。しかし、それも終息に向かっていることを受けて、近々再開する予定。円高と鳥インフルエンザの影響で、22年度の香港への卵の輸出量は、「前年比で若干のマイナスが予想されるものの、23年度からの右肩上がりは十分に期待できる」というから、光明が差し込みつつある状況といえるだろう。
さてこの総合助成事業の海外分。県内企業の注目が極めて高かったため、平成22年度の年度当初に6件を採択して募集を締切っていたが、「採用数をもっと増やして…」という声が多数寄せられた。そこで県の補正予算を得て第2期分として追加募集(6件程度)したところ、これもすぐに予定を越えるお申し込みをいただいて締切ったところだ。この事業は来年度も実施する予定であるので、富山県内にあり、海外への販路開拓を試みる中小企業は、事業の活用を検討してみてはいかがだろうか。参考に、本年度第2期分の募集要項は下記に挙げるホームページに詳しく紹介しているので、是非ともご覧いただきたいところだ。
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香港での商談会、試食会の様子 |
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