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第1回 世界をリードする環日本海経済交流
中国への派遣ミッション参加から
対中ビジネスの足掛かりを!

BRICs(ブリックス)という言葉をご存じだろうか。2003年秋に、アメリカの証券会社が、ブラジル(B)、ロシア(R)、インド(I)、中国(C)の4カ国が今後急速に経済発展を遂げ、G7を中心とした現在の世界経済の枠組みが大きく変わるとレポート。インドは2032年に日本を、中国は2041年にアメリカを上回るのではないかと推測し、BRICs全体ではカナダを除く先進6カ国の経済規模の合計を2039年に超えるのではないかと論述したため、この4カ国が注目され始めた。


実際に訪れてわかる中国

青島タイコ エレクトロニクス アンプにて
 中でも中国の発展には目を見張るものがある。世界の工場といわれるほど製造業が集積し、さらに2008年の北京オリンピックや2010年の上海万博を控え社会基盤整備が進み、世界の市場としても大きな期待が寄せられている。
  当機構の環日本海経済交流センターでは、対中ビジネスの機会を創出するため、平成16('05)年3月に初めて、県内企業17社、総勢27名のミッションを派遣、大連市や青島市の現地政府機関や業界団体、日系企業4社を訪ね、生の中国ビジネス事情に触れた。
  今回参加した(株)スギノマシン生産改善室の杉野岳氏が、ミッションを振り返っていう。「私が日々生産性改善活動において重視している“現地・現物・現実・原理・原則”の5ゲン主義は、今回の訪中でも非常に有効でした。日本で毎日のように接する、送り手によって加工された中国情報ではなく、“現地・現物・現実”により、自分の五感で感じ取った“生の中国像”は、今後私が対中ビジネスを行っていく上で、大きな役割を果たすと思います」。  また、(株)三協の専務・速水幸子氏も「漠然と抱いていた対中ビジネスに対する不安を、団長の藤野さんのお話で解決できました」と語り、「現地の合弁企業や独資大企業の工場見学では、中国と日本の事情の違いを垣間見ることができた」と好意的に評価された。三協では「中小の製造業の技術水準や市場の可能性などを知る必要があるだろう」ということで、今度は単独で4月上旬に訪中。大連市の現地企業を見学して、対中ビジネスのあり方を模索しているという。


違いを理解し合うことが大切

大連億達日平トヤマにて
 今回の訪中では参加企業のほとんどが製造業であったが、北陸銀行国際業務部から参加した坂井鉄路氏は、「対中ビジネスの展開を金融機関としてサポートする方法を見い出そう」と行動をともにした。坂井氏は「よいものを安く売る(提供する)ことに国境はない」と現地の経営者や政府担当者らの考え方を俯瞰した上で、「対中ビジネスのよきサポーターになるための第一歩」と今回のミッションを評価していた。


  4月頃から、日中関係は反日運動や東シナ海のエネルギー開発などの影響から悪化した。しかし、両国には既に緊密した分業体制ができているため、中国を重視した県内企業の戦略に大きな変化はない。ミッションを機に、新たに中国ビジネスの実現に向けて本腰を入れた企業もあるという。リスクマネジメントの観点からも「バスに乗り遅れるな」的に拙速に対中投資を行うのではなく、日中の相違についての理解を深めることが大切である、と30年以上中国ビジネスに携わってきた藤野文晤センター長は考える。


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