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同社グリーンエネルギー研究所のみなさん。 |
さてここまでくると、実験のレベルから実用化を見越した開発へとステージが上がってくる。まずは水素を安定的に発生させ、アルミと水酸化ナトリウムの補充がしやすいカートリッジを開発しなければいけない。発生した水素を、ムダなく燃料電池に送る技術も要る。またアルミ付き紙パックが、他の廃棄物と分別されて、安定的に回収される社会的な仕組みも必要だ。
今までの共同開発者(富山高専、県工業技術センター、パルプメーカー)以外にも協力を求めなければならないが、何よりも開発の資金が必要となってくる。そこで水木さんは、環境省の「地球温暖化対策技術開発事業」(平成21年度)と、同じく環境省の「地域における容器包装廃棄物3R推進モデル事業」(同前)に応募したのであった。
前者は、低炭素社会を目指す基盤技術の実用化を促進するための技術開発・実証を進める事業だ。全国からの応募数は70件あり、同社のプランを含めた9件が採択。研究開発の委託費(年4,680万円)が平成21年度から3年間交付されることとなった。
これを受けて、開発に拍車がかかったのは言うまでもない。富山大学大学院、不二越(富山市)などとともに、カートリッジの開発を急ピッチで進めることになった。
また後者の事業は、容器包装廃棄物の3R(排出抑制:Reduce、再使用:Reuse、再生使用:Recycle)の先進的な取り組みについて、その普及や効果の検証など進めるもので、これも採択されて事業委託費 (195万円)が交付された。そして富山市、金沢市などで、アルミ付き紙パックの回収が試みられるようになったのである。
冒頭に紹介した、アルミ付き紙パックをアルミとパルプに分離して、パルプを再利用するケースはまだ少ない。アルミ付き容器の大半は、埋め立てか可燃物に混ざった状態で焼却されているのが実態だ(焼却されてもスラグとして残り、埋め立て地に運ばれる)。飲料用のアルミ付き紙パックの場合、5%程度のアルミがあることによって、95%の紙の再利用が阻まれている、といってもいいわけだ。
その意味では、このプロジェクトの推進のためには、技術開発とともにアルミ付き容器廃棄物の分別回収という、社会の仕組みもつくっていかなければならず、3R推進モデル事業に採択されたことは意義あることであった。
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