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まずは福井へ修業の旅 |
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「売りたい…」と申し出る店が次々と |
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「将来は、子ども向けにパン焼きの体験工房のようなこともしたい」と夢を語るあたりは、福井での経験が影響している様子。 |
福井での研修はこうして終わり、平成17年4月、氷見に帰った。そして店がオープンするまでの4カ月間はパンの試作に明け暮れたのである。米粉入りパンといっても、米の比率が高くなるとモッチリ感が出過ぎたり、またスコーンのようになってしまう。「パンとしておいしく食べられる量を目安とした」というが、最終的には米粉の量は原料の30%ほどに落着き、パンの種類も30種ほどに増やしたのであった。
平成17年8月、満を辞して店をオープンしたものの、現実は厳しい。冒頭に紹介したように、当初は毎朝2時半には店に入り、パンを焼いたのである。また地元のマスコミなどに紹介されたとはいえ、1日に焼くパンの数は300個前後。事業として軌道にのるには1年近くかかった。
地元のスーパーや直売所が、「ウチの店でも売ってみたい」と打診してきて、自店の他に6カ所の店で販売。毎日最低でも、700個のパンを焼くようになったのである。
「お米を使ったパンが珍しいのと、地産地消という今の時代にマッチしたところがあるからでしょう。スーパーなどでも注目されるようになりました。今でも時々、『ウチでも売りたい』と打診してくださるお店があるのですが、配達に限界があるため、お断りするケースも結構多いのです」
何ともったいない話。配送は、時には他の社員(家族)も手伝うものの、基本的には由佳さんの担当であるため、納品に時間をかけ過ぎると次の日の仕込みがおろそかになってしまうという事情があったのである。
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相乗効果が出てきた! |
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郊外型というより、田舎の田んぼの中に1軒ぽつんと建つお店。取材時には稲刈りは終わっていたが、少し前までは稲穂の絨毯が店を取り囲んでいた。 |
お店をオープンしてから2年が過ぎた。慣れてきたため最近は毎朝4時からパンを焼き始めているというが、地元の主婦らが6時には店にくるようになった。
ベーカーリー部門を事業部と見て、その採算性を判断した場合は、「ギリギリやっていける状態」らしいが、相乗効果も出てきた。お店にくるお客さんが、パンの他にミソやお米も買い求めるようになったのである。
お店は、氷見市余川(よかわ)の田んぼの中の一軒家。旧余川小学校より鹿島方向に300mほど行ったところを右折するとあるが、土地勘のある人しかわからないような、いわゆる店舗には向かないところにある。にもかかわらず、噂を聞き付けてパンを買いに来るお客さんが、後を絶たないというから驚きだ。
商店街ではシャッターを下ろした店舗が目立ち、「貸店舗」のはり紙が風にゆれている。小売業では、大型化や多店舗化ばかりが注目されがちだが、農業法人が立ち上げた小さなお店は、そんな状況に一石を投じたといっても過言ではないだろう。二十歳で店を始めた由佳さんの挑戦はまだまだ続く。
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川岸由佳さん 有限会社ファームこばやし パン工房担当
店舗所在地/氷見市余川821-2
事業内容/稲作(受託作業含)、大豆等の栽培、ミソ、干し柿、パンの製造販売
資本金/800万円
従業員/4名
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