「ホテル等店外でのきものの展示販売は昭和60年前後から盛んになり、当社はその先駆けの1社です。呉服屋は“待ちの商売”の典型ですが、店頭一辺倒では限界が見えていました。それで店外での展示販売を企画し、それを発展させて常設展示場を構えたのです」
武内社長はそう振り返るが、売上げの回復を図って企画した店外での展示会・販売方法も、当初は受け入れられなかったようだ。違和感を抱いて、店を辞める従業員もいたという。
きものの小売市場は年々減少している。「家計調査年報」(総務省)をさかのぼってみると、昭和45年には1世帯当たり年間0.451枚の婦人用きものが買われていたものの、平成16年は0.049枚と約10分の1に減少。1世帯当たり2年で1枚買われていた婦人きものが、35年経った今日では20年に1枚しか買われていないことになる。
これに歩調を合わせて、きもの小売店も著しく減少してきた。「商業統計表」(経済産業省)によると、元号が平成に代わったころは、全国に3万を超える店があったが、平成14年には1万7000店余りまで減少。同期間の年間販売額は2兆円超から、1兆円を下回るまでになってしまった。
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