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「苦節8年……」とアスタキサンチン事業化を振り返る 西田光德社長。 |
「もう必死でした。社内で会議をしたところ、本業の医薬品事業に力を入れようという意見の他に、ミネラルウォータやジェネリック薬品、ドリンク剤の製造販売など、当社にとっての新規事業を起そうという提案など、議論百出の状態でした」
西田社長は苦渋に満ちた当時を思い出すが、同社が選択したのはライフサイエンスの分野への進出。「医薬品で培った技術・ノウハウを、病気の予防や健康増進の分野で生かせるのではないか」(西田社長)という思いからの新たな船出であった。
では、素材として何を扱うか。単に医薬品の延長ならば、化合物になってしまう。同社が注目したのは天然ものであった。生理活性の高い天然ものを、サプリメントなどの形で利用できないかと考えたのである。
候補に上がったのは、雪藻(ゆきも)に含まれる高度不飽和脂肪酸、パーム油やはい芽などに含まれるビタミンEの約10倍の生理活性があるトコトリエノール、そしてエビやカニなどの甲殻類、サケなどに含まれるアスタキサンチン(カロテノイドの一種)。いろいろ検討の結果、最終的に絞られたのはアスタキサンチンであった。
「アスタキサンチンには極めて高い抗酸化作用があり、老化や病気の進展を防ぐことが知られていましたので、当社の新規事業にはピッタリだと思ったのです」(同前)
しかしながら、平成8、9(’96、’97)年頃の天然もの(主にオキアミ由来)のアスタキサンチンはキロ当たり3,000万円程度。天然ものを使うと製品価格に跳ね返るため、当時は合成のアスタキサンチンが市場の大半を占めていた。

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