「これをご覧ください。当社の高純度アルミが使われています」 
			   冨田昇太郎社長が、小さな袋を取り出した(写真右)。パッケージ見本であるため、本来の医薬品の代わりにグラニュー糖を入れてあるそうだが、読者の皆さんにはこの袋に使われているアルミが見えるだろうか。 
			   えっ、見えない!?……。 
			   でもご安心を。実は、この記事を書いている編集子自身にも見えません。しかしながら、何層かになっているパッケージの中間層全面には薄くアルミが張られ(専門的には「蒸着する」という)、普通なら水蒸気が入ってしばらくすると固まってしまうグラニュー糖が、さらさら状態を保っている、のである。不思議な話だ。金属の物性に詳しくない者にとっては、「透明なアルミってなに!?」と首をかしげたくなるところであろう。 
			   お湯状に溶かした高純度アルミを気化させたり高純度ケイ素を昇華させ、フイルムに蒸着させる時に酸素を吹き掛けると、アルミやケイ素が酸化して半透明になってしまう。しかもその厚さはオングストローム単位(1オングストローム=1cm/1億)。これだけ薄いと、半透明のアルミもケイ素も肉眼では透明に見えてしまうわけである。 
			   今回取材でうかがったのは、その高純度アルミを製造加工するホクセイプロダクツ。アルミ製品というと建材や機器の部材・部品、生活雑貨等が連想されやすいが、医薬品のパッケージなど意外なところに用途が広がっていた。
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					高純度アルミが、フイルムの内部全面に蒸着されたパッケージ見本。酸化されるためアルミは半透明になり、しかも極めて薄いため肉眼では透明に見えてしまう。
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