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第4回 富山県立大学の教授陣
ワインのように色がきれいな産学官連携ビール第2号の「海物語(企)」(左、ラベルは準備中)。3本でギフトセットもできる。(右端は、めざめるビール)
第4回富山県立大学の教授陣
産学官連携で深層水仕込みの新ビール誕生!
大学教授がうまいビールをつくった
地元だけでなく全国ネットでも報道されたためご存じだろうが、氷見のいきいき地ビールが国際的なビールコンテストで、2年連続、銀賞、銅賞を受賞。富山湾の深層水仕込みの「めざめるビール」は、まさにビール通の舌を目覚めさせた。このビールの開発には、実は県立大学の教授が関わり、後に(財)富山県新世紀産業機構も加わり、新ビールのバリエーションを増やす支援をすることとなった。
最初のビールは“しょっぱかった”
左より 下坪訓次教授、古米保教授、葭田隆治教授。
話は平成10年頃にさかのぼる。当時、いきいき地ビールでは、ビールづくりのために地下水の水質検査を同大学(短大部)に依頼するなど、大学との接点をもっていたのだが、同社の松本幸司工場長が葭田教授を訪ねて「深層水仕込みのビールをつくりたい…」と協力を要請したのであった。
もともとビールが大好きな教授。同じくビールが大好きで、微生物が専門の古米教授にも話を持ちかけ、開発をOKした。教授らはその頃、産学官の研究会である「環日本海機能水バイオ研究会」を立ち上げ、富山湾の深層水を用いての商品化の勉強会をしていたため、“深層水ビール”の開発には自然と熱が入った。
最初の深層水ビールは、しょっぱくて飲めなかった。深層水のミネラルが酵母の増殖を助長していたためで、仕込み水に対して0.1~0.8%の深層水を加えるとアルコール濃度約5.5%の黒ビールが誕生。「めざめるビール」と名づけられ、平成13年末から販売された。
このビールが世界的に評価されたことは冒頭に述べた通りだが、コクが足りない、フルーティーさに欠けるという声も寄せられた。そこで教授らは、先ずは「氷見鰤の刺身をつまみながら味わうビール」、すなわちアルコール濃度が高くてコクのあるビールをつくろうと、富山県新世紀産業機構の平成14年度の「新産業創出公募事業」に応募。同事業に採択され、いきいき地ビールと富山県食品研究所の寺島研究員も加わった産学官連携のビール開発チームの下で新ビールは産声を上げる時を待っていた。
公的機関が2つのビール開発を支援
産学官連携ビール第1号の「波奏麦酒」。一般の黒ビールより若干赤味がある。
「波奏麦酒」と名づけられたコクのあるビールの醸造が始まったのは平成14年晩秋のこと。アルコール濃度約8%。1年熟成させて販売したところ、口コミであっという間に売り切れてしまい、以後、毎年の冬、このビールは高い人気を博している。
さてもうひとつのフルーティーなビールの開発は、最初の「波奏」が熟成中の、平成15年6月から始まった。再び同機構の「新産業創出公募事業」に採択され、資源植物学に詳しい下坪教授が新たにメンバーに参画。通常は麦飯などの食用に使われる県産の六条大麦(ファイバースノー)を用いて試行錯誤の末に麦芽をつくり、また紫黒米(古代米)も原料に使って赤紫のワインのようなビール(アルコール濃度約4%)ができ上がった。ビール愛飲家の3教授が口をそろえていう。
「このビールには抗酸化機能があり、ラガービールの2倍、発泡酒の2.6倍、活性酸素を消去する機能があります」
ホップが抑えられているため苦味も少なく、テースティング調査の結果、ビールが苦手という女性などの間でも評判は上々。見た目がきれいなところから「結婚式などの乾杯用に使いたい」という声が届いている。
深層水仕込みの3本のビールには、「海物語」というシリーズ名がつけられた。ギフトセットとしても関心が持たれているが、何よりも“大学発のうまいビール”として、ビール通をうならせている。
連絡先/ 研究代表の古米保教授の研究室 富山県立大学工学部生物工学研究センター
〒939-0398射水郡小杉町黒河5180
TEL 0766-56-7500(代) FAX 0766-56-6182
e-mail furumai@pu-toyama.ac.jp
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