ニュースページトップへ戻る TONIOトップへ戻る
 

第12回 世界をリードする環日本海経済交流
輸出のビジネスチャンスを探そう
~中国見本市出展支援事業の紹介~
 
  
 当機構・環日本海経済交流センターでは、県内企業の北東アジア地域での経済交流促進を目指して、さまざまな支援事業を展開してきた。そのひとつが、「中国見本市出展支援事業」。これは出展に要するブース料、通訳雇用費、運送費を補助(対象は中国・香港、台湾で上限40万円)するもので、毎年、県内企業の方々に利用していただいてきた。ここ数年の支援実績を紹介すると、平成17年度8社、18年度6社、19年度4社、そして本年度(20年度)は4社。出展企業の分野は各種工業製品ならびにその部品・部材、食品など多岐にわたっている。
  今回のレポートでは、本年度、この事業を活用して出展された2社を訪問し、出展の動機や商談の行方についてうかがった。

後押しがうれしい。商談継続は5件

「アジアの包装機器市場はこれからが期待できる」と抱負を語る花方淳副社長。
 まずは株式会社ハナガタ。包装機器の製造販売で、国内はもとより欧米(アメリカ中心)でもビジネス展開してきた同社は、数年前からアジアの市場に注目。中国・台湾等で行われた展示会には、ここ5年ほどの間に10回近く出展してきた。出展したいずれの業界も、商品の包装は徐々に進んでいるもののほとんどが手作業で、機械化による「合理化の提案」をしながらの出展であった。
 ところが、同社が今回出展した「チャイナビューティーエキスポ2008」(5/20~22、上海)に関連するような、化粧品やスキンケア商品などの業界では包装があまり進んでいない。メーカーがその必要性を最近認識し始めたところで、いずれにしても化粧品・スキンケア商品業界へは包装そのものを一から説得するに等しかった。
チャイナビューティーエキスポ2008の様子。デモンストレーションで機械を動かすと、ブース周辺は人であふれたという。
 「店頭で、香や色を確かめるためにお客さんが商品を試用し、そのまま元に戻すことがあるようです。そうすると、内容量が減ったり、試用した痕跡が残って、売れなくなる。あるいは返品になる。人を雇って、試用を防ぐようにしている小売店もあり、包装の要望も一部には起こりつつあるようです。当社としては、『簡単なシュリンク包装をして出荷したらいいのでは…』というご提案をメーカーにさせていただきました」(花方淳副社長)
 合理化の提案の場合は、その前提として手作業とはいえ包装作業の事実はある。ところが今回の場合はそれがなく、従来の出展よりはリスクは高いというわけだ。
 チャイナビューティエキスポ2008への出展を検討していたちょうどその時、「中国見本市出展支援事業」を案内するチラシを入手。同社ではさっそく環日本海経済交流センターを訪れて、申し込んだのであった。
 ブース来場者の中から、名簿に記入していただいたり、名刺交換した方は150人余に及ぶ。初期的な商談は45件行った。展示会終了後は、その見込客を中心にフォロー営業を続け、「5社との商談が継続中」(21年2月末時点)ということだ。
 「中小企業にとってはこうした支援事業はたいへんありがたく、『がんばってチャンスをものにしてきなさい』と後押しされているようなものです」と花方副社長は語り、「今度は、中国の太陽電池業界の展示会(PV EXPO上海 09/5/6~8)への出展を決めました」と続けた。
同展示会で紹介した包装機器。


できたパイプを太く、さらに増やしたい

「ドレッシング関連の商品は東京・大阪・名古屋などの大都市圏へも売り込んでいきます」と意気軒昴な宅間崇宏専務。
 一方のトナミ醤油株式会社は、ジェトロ富山から当センターへの紹介で「フードタイペイ2008」(6/18~21 台北)に出展。フーデックスジャパンほど大規模ではないものの、東南アジアや香港、そして一部、上海など中国のバイヤーも視察に訪れる国際見本市であるため、台湾でも盛大に行われるようになってきたビジネスショーだ。
フードタイペイ2008の様子。来場者には必ず試食していただき、商品が受け入れられるかどうかを確認した。
  同社はその展示会で、「ゆずぽん酢」「ゆずしょうゆドレッシング」などのゆずを使ったドレッシングや「めんつゆ」を提案。台湾市場での自社商品の反応を探ることと代理店開拓を目的に、来場者には試食していただくよう努めた。
  「当社の商品は、他メーカーの類似品と比べると割高です。しかし『おいしさが伴っている』と反応は上々でした。ゆず塩ぽん酢は、平成20年度のふるさと食品中央コンクールの新製品部門で賞をいただいたぽん酢ですが、試食していただいた来場者の間でも好評で、うちの店で扱いたいと申し出てくれるスーパー・デパートなどがいくつもありました」と来場者の対応にあたった宅間崇宏専務が振り返った。
 100人のバイヤーと名刺交換し、商談に進んだのは40件ほど。これらの中にはスーパーやデパートからの個別取扱い希望も含まれるが、代理店経由の販売ルートの確立を望んでいた同社にとっては、「しばらく待って欲しい」というしかなかった。
  展示会とその後のフォローで、台湾の代理店1社が決まった。また東京の代理店経由で香港の富裕層向け食品スーパーへの出荷も決定。スーパーの買付け担当者がブースで試食をし、取引きのあった東京の企業に代理店を引き受けるよう働きかけた結果、ルートができたのであった。
展示会で紹介した同社の商品。「ゆず塩ぽん酢」が平成20年度優良ふるさと食品中央コンクール新製品開発部門で、食品産業センター会長賞を受けた。
  出荷は9月から始まった。追加のオーダーも来ているというから、消費者に同社の商品が受け入れられたと見ていいだろう。
 「台湾では日本語が通じるケースが多いので助かります。ジェトロ富山から誘いがあって、21年度もフードタイペイには参加の予定ですが、昨年来場していただいた小売店の方が再び来られたら、取引きが確立した代理店を紹介したいし、新たな代理店も探したい」と宅間専務は意欲満々だ。




   

 中国見本市出展支援事業は、平成21年度も実施の予定だ。詳細が決まり次第、環日本海経済交流センターのホームページで紹介しますので、そちらをご参照いただきたい。
 また、中国以外の地域で行う見本市については、平成20年度から富山県国際経済交流推進協議会(TEL076-423-1111)が20万円を上限に支援しているので併せてご利用いただきたい。

○問合せ先
[(財)富山県新世紀産業機構 環日本海経済交流センター]
 所在地 富山市高田527 情報ビル2F  TEL 076-432-1321  FAX 076-432-1326
 当センターURL http://www.near21.jp/

[株式会社ハナガタ]
 所在地 富山市横内417  TEL 076-425-1545
 当センターURL http://www.hanagata.co.jp/

[トナミ醤油株式会社]
 所在地 砺波市庄川町金屋600  TEL 0763-82-0264
作成日2009.03.25

Copyright 2005-2013 Toyama New Industry Organization All Rights Reserved.