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世界の工場から世界の市場へと転換
特に上海周辺の華東地域が有望
 

第3回 世界をリードする環日本海経済交流
世界の工場から世界の市場へと転換
特に上海周辺の華東地域が有望

 中国の華東地域といってもピンとこないかもしれない。しかしその中心が上海というと、おぼろげながらも推測できるのではないだろうか。経済発展が著しい中国にあってその牽引役を果たし、昨今では“工場”としての注目度よりは、“消費市場”として注目されるようになってきた。
 環日本海経済交流センターでは、その華東地域へ2度目の中国事業開拓ミッションを派遣(2月7?12日の6日間。県内企業10社、総勢15名)。上海市、江蘇省蘇州市、浙江省杭州市を視察し、現地・中国政府機関や進出日系企業、日系企業向け工業団地(蘇州日本工業村)との交流を通じて、中国各地の投資環境や市場動向に対する理解を深めた。

 

外資系企業からの進出が集中する華東地域

 

 前記3市が位置する華東地域は、’04年の外国直接投資(実行額)、貿易額が、それぞれ中国全体の50.7%、33.8%を占め外資系企業のプレゼンスが極めて高く、また産業集積度も非常に高い。特に蘇州市は、 ’04年統計によると外資導入額が全国1位(95億ドル)、工業出荷額は上海に次いで2位(9,560億元)。外資系企業の進出先として最も注目され、県内企業も、華東地域への進出が最も多い(45社・64法人/当センター調べ)。
 蘇州日本工業村を管理する東亜キャピタル(株)社長の津上俊哉氏(元経済産業省北西アジア課長)は、現地で開催した中国ビジネス勉強会の中で、交通インフラ整備が進み上海を中心とした経済活動圏(グレーター上海)が着実に広がりつつあることを指摘。進出先としての優位性について、(1)地場産業に加え外資系企業の進出により産業集積度が高い。(2)地方政府が抜群の財政力を持ち、インフラ整備が速い。(3)上海に近接していながら人件費、用地コストが比較的安価でお買い得。(4)蘇州工業園区などの国家級の開発区が質の高い行政サービスを提供、の4点を挙げている。
 また同氏は、当地域とのビジネスの着眼点として、(1)市場がハイエンドである上海などでは、日本の商品をそのまま持ち込んでも売れる。(2)最先端でなくても、現地で需要のある技術、商品が多い。(3)日本からの技術導入ニーズは高い。技術を高く売ることも大切、とアドバイスしてくれた。


百聞は一見にしかず

 
 当ミッションに参加した立山科学工業(株)香港支店長の森謙一郎氏は、「香港・中国華南地区での営業活動が多く、華東の最新情報を得る機会が少ないので参加した」と語り、当地域の投資環境については、「外資系企業間の競争は必至。多くの台湾、香港、シンガポール系企業は、日系企業に比べて言語や文化の違いが少ない利点を活かして成功している。今回のミッションに参加して、目的を明確にし、何でアドバンテージを取るのかを十分考える必要があると感じさせられた」という。
 また、(株)ロゼフテクノロジー資材部次長の炭谷孝氏、同営業部課長の新井真人氏は、当ミッションを振り返り「華東地域の活力を肌で実感することができた。テレビや新聞から得た中国の印象と、現地で見聞きした印象はかなり違う。現地の部材の質、現地企業の能力についての関心も高まり、進出を本格的に検討する時期は遠くない気がする」と話した。
 今回のミッションでは、昨年10月に就航した富山?上海便を利用した。3時間足らずで上海に到着。“名古屋へ行くのと大して変わらない時間圏に巨大な市場が存在している!”のである。


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