この取材のために、スコールに数回足を運んだ。館内に1歩足を踏み入れると、普通の病院と違うことをまず実感する。いわゆる病院の匂いがまったくせず、トレーナーなどを着た疾病予防運動施設利用者が目をひく。
一般的なフィットネスとも様子が異なる。フィットネスクラブ会員の平均年齢(全国)は45歳程度だが、スコールの運動施設利用者の平均年齢は55歳。お隣さん、同じ町内同士の方も多く、「中には1日3回来所する方、昼食をとるために一時帰宅するだけの方もいらっしゃいます」と浦田理事長はいい、「かつての銭湯のようなコミュニティとしての役割を果たしているのではないか」と続けた。
ただ、医療法人全体としてのコストパフォーマンスをみると、運動部門の効率が若干悪く、従来の本業の診療部門や健診部門が補っているようだ。
「日本ではまだ、予防にお金をかける習慣が根づいていませんが、長寿の仕組み、ボケ予防の方法などが明らかになるにつれ、日ごろの生活スタイルが重要だとわかってきました。この地域のニーズに合ったアンチエイジングプログラムが開発されれば、また新たな動きが出てくるのでは…」と浦田理事長は期待を寄せている。
さて今回紹介した、医療+疾病予防運動施設の新しい取り組みの、“金の卵”は誰が手にするのか。entrepreneur(アントルプルヌール/起業家)として、ホスピィーの名前が挙がるのは当然だ。しかし“ピンピンコロリの長寿”という宝物を得るのは利用者で、もっと大きな視点では医療費抑制という巨大な金の卵を得るのは国であり、保健制度を支える労働者や市民、各事業所も恩恵にあずかる。富山型アンチエイジングプログラムは、みんなの“金の卵”になる可能性をもっている。
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水中リラグゼーション(左)とオイルマッサージの様子。医師の指導の下、アーユルヴェーダ(オイルを使ったインドの伝統医療)も受けることができる。 |
ほくりく健康創造クラスター
http://www.hiac.or.jp/cluster/
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