第1回 東洋道路興業株式会社 |
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アスファルト専業の工事会社が 新商品・新工法の開発に挑んだ |
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小矢部川のそばに建つ東洋道路興業の本社。 |
「チン」
電子レンジの音が鳴った。湯気は出ていないが、ほかほかと温まった皿の上のアスファルト合材をみて、「これはいける!」と思ったのは東洋道路興業の長橋孝次常務だ。
別にアスファルトを食べようというのではない。道路の改修で剥がしたアスファルト合材を、再利用する道はないかと模索しての「チン」であって、レシピの開発を目的とした実験ではなかった。
ごはんの保温ジャーに、溶けて軟らかいアスファルト合材を入れて、何時間軟らかい状態が続くかも調べた。道路の小さなクラック(亀裂)の補修に、アスファルト専用の車両を繰り出すには効率が悪いため、保温ジャーで代用できないかというのだ。
ジャーにアスファルト合材を入れると、1時間もしないうちに硬くなって使用できなくなった。現場に行って工事するには、4時間程度は軟らかい状態が保たれなければいけない。すぐに硬くなるのは、酸化が原因とわかった。そこで炭酸ガスを入れて保温すると、軟らかい状態のままだった。
保温ジャーに補修用のアスファルト合材を入れ、弁当片手に工事現場に向かったことが何度もあった。
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