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富山県ものづくり総合見本市開催  

富山県ものづくり総合見本市開催
「NEAR」も「とやまテクノフェア」も盛況
双方向の商談が活発に行われる

富山県ものづくり総合見本市のオープニングセレモニーの様子。NEAR参加国の駐日大使・領事(代理含む)も列席し、挨拶、テープカット等に参加された。
連日猛暑日であったが、総合受付は来場者が途切れることはなかった。3日間の延べ来場者数は、24198人。
  「展示されているこの商品が、今すぐ欲しい。この場で持ち帰りたいのだが…」
 「展示品の予備は持ってきていない。これを持っていかれたら、われわれはこの後、この展示会で商談できなくなる。せっかくのお申し出ですが、持ち帰られるのはお断りしたい」
 「では、最終日の夕方、サンプルを引き取りにもう一度来る」
 「それならいいでしょう。謝謝。どうぞよろしく」
 これは「NEAR2010」に出展していたある企業で、オープニング早々にあったこと。「展示サンプルを持ち帰りたい」というオファーは、初日だけでも3件あり、後から申し出のあった企業には別途サンプルを送り、改めて面談することを約束してもらったという。

 今回の「NEAR」(北東アジア経済交流EXPO)(関連ページ)は、従来にも増して商談が盛んであった。それは、今までは別々に開催していた「とやまテクノフェア」と「NEAR」を、「富山県ものづくり総合見本市」として同時に開催し(8月5~7日)、集客や商談の効率アップを図ったことが、効を奏したからといえるだろう。同時開催することにより、とやまテクノフェアに出展している企業が、部品・部材の調達先を開拓するためにNEAR の会場(富山市体育文化センター)に足を運び、逆に部品をつくる機械や作業を合理化するためのシステムを導入しようと、NEAR出展企業の担当者がとやまテクノフェアの会場(富山産業展示館/テクノホール)を訪れるなど、双方向での交流がはかられるという相乗効果もあった。
 それらの結果、北陸経済研究所が会期中および会期直後に行ったアンケート調査によると、NEARの成約額(見込み含)は過去最高の約25億円(うち会期中成約5億3,000万円)、とやまテクノフェアも含めた全体の成約額(見込み含)は約50億円となり、出展者の満足度も概ね高いものとなった。
 初めての試みであった「富山県ものづくり総合見本市」の様子を、NEARを中心に出展者の声も交えながら紹介しよう。

オープニング早々から…

 前回のNEAR2008(2008年10月29~30日)は、その開催1カ月半前にリーマン・ショックがあり、「100年に1度といわれる経済危機」の中で開催。景気は急速冷凍機にかけられたように、またたくまに凍りつき、出展者も来場者も不安を隠せない状況の中にいた。開催1ヶ月後調査においても、成約件数289件(見込み含)、成約金額約17億円(見込み含)と、前々回NEAR2006の実績を下回った。
 ところが今回は違う。いち早く中国経済が復調し、欧米の国々や日本もその後に続こうと様子をうかがっている。3日間の総合見本市は、“前回、伸び悩んだ分を取り戻そう”といわんばかりの熱気に包まれていた。そしてまた実際、暑くもあった。連日35度を超える中を、毎日8,000人前後が来場し(3日間合計で24,198人)、意中の企業へと足を運んだのである。
NEAR(左)とテクノフェアの各会場の様子。

 中でも着々と商談を進めていたのが、深セン采達電子科技有限公司だ。冒頭に紹介したサンプルを巡るやり取りは、同社のブースで起こったことであり、注目された商品はLED関連部品であった。
 最終日に、サンプルを引き取りに来たのは、ある業界大手の企業だ。その他にも、電装広告、表示システム、照明など、LEDを使った製品を生産している企業名をランダムに挙げていくと、「その会社の人、来ました」「その会社には、後からサンプルを送る約束をしました」と鄭聖傑総経理(社長)はポツリポツリと答えてくれる。県内や北陸周辺の企業だけでなく、ナショナルブランドの企業が何社もブースに来ているのがうかがえた。
 「当社にLEDの製造を外注する、あるいは当社のLEDを利用してある製品・システムをつくる…。ご相談はいろいろありました。興味深かったのは、当社のLEDを使って植物工場をつくる、というお話です」
 初めてNEARに出展した鄭社長は、これらの商談には極めて満足した様子。「成約の可能性が高く、また規模が大きくなりそうな話も数件ある」とニコニコしていた。
鄭聖傑総経理と注目された同社のLED。

 東莞市慧思電子有限公司の唐智玲総経理(社長)も、NEARは初めての出展。NEAR2008に出展した友人(金属部品製造業の社長)から「機械部品でも日本企業との取り引きの可能性がある」と勧められ、参加したのである。
 「香港の、ある企業の紹介で、日本の大手家電メーカー数社に、OEMで制御盤などを納めていますが、新たな客先を開拓するために富山に来ました。また、当社の生産ラインに導入する機械を探す目的ももっています。富山には産業機械のメーカーがたくさんありますから、それらの企業とコンタクトが持てたら…と思っています」
 同社は、サプライヤーであり、かつバイヤーでもあった。従来のNEARでは、自社製品を日本企業に売り込みたい企業(サプライヤー)のみが出展していたが、今回初めてサプライヤーであり、かつ日本製品を調達したい企業(バイヤー)も出展対象に加えた。こうした企業の出展は、同社を含めて23社が出展。慧思電子では、販売先としてビジネスの可能性のある企業4社を開拓したことと合せて、産業機械のメーカー3社とコンタクトを持つことができ、所期の目的は達成したようだ。
 唐総経理は、「前回のNEAR2008に参加した友人は、ここで出会った日本企業とコンタクトを取り続けて、1年ほど経ってからビジネスが始まりました。当社もこれを縁に日本の企業と直接ビジネスできるよう準備を進めていきたい」と意欲的であった。
唐智玲総経理と同社がつくっている制御盤。


「社員150人中20人が日本語OK」

 韓国から出展した企業も紹介しよう。株式会社大成ハイテックは、産業機械部品、自動車部品、電機部品、精密部品などの製造・アセンブリを主な業務とする会社で、前回のNEAR にも参加。すでに日本企業とは30社と取引実績があり(うち富山県企業は4社)、さらなる新規開拓を狙って、NEARの他にも東京・大阪・福岡で行われる展示会にも参加しているという。
 部品事業本部海外営業チーム・次長の全日徳さんが語る。
 「当社には150人の社員がいて、うち20人は日本語ができます。この20人が、3~4人ずつのチームに分かれて、月に1度以上は日本国内を営業で回っているのです。150人の社員のうち、20人も日本語ができるというのは、当社がそれだけ日本の市場を重要視している証でもあります」
 この全さんとのやり取りも、すべて通訳なしの日本語だ。またこの取材中、「こんにちは。後でまた…」と声をかけていく日本人も多かった。どうやら産業機械や電子機器メーカーの調達担当者のようで、今までの付き合いから全さんが日本語が堪能であることを、よく知っているようだ。全さんが続けて言う。
 「NEARは部品・部材の展示会で、来場される方は的を絞ってこられるから、効率がいい。今回は7社と中身の濃い商談をし、今後、連絡を取り合う約束をしました。そのうちの1社からは図面を手渡され、至急、見積りが欲しいといわれたのです。この話がまとまれば…」
 全さんの顔がほころんだところを見ると、“この話がまとまれば、大きなビジネスに発展する”ということか。1カ月後のアンケート調査に、この数字は成約済み、あるいは成約見込としてカウントできたかどうか気になるところだが…。
大成ハイテックの全日徳さん。学生時代2年間日本への留学経験があり、日本語での商談もOK。


専門家5人で来日

エルデネト鉱山社のRentsen DELGERさん。
 モンゴルから出展したエルデネト鉱山社は、社名のとおり鉱山関係の企業で、主に銅を採掘・精錬して、ロンドンなどの金属市場に出している。銅は市場で取引きされ、個別の企業を対象に営業をかけて売買するものではないが、同社はNEAR2010に出展したのであった。
 「最近は途切れていますが、以前は日本の企業とも取引きがありました。今回、富山に来たのは、この展示会を足がかりに日本企業とのビジネスを復活させたいと願ってのことです。また仕事に必要なマシンを探すために来ました。日本のハイテク技術は素晴らしいですからね」
 これは同社生産技術部長・技術主任のレンツェン・デルゲル(Rentsen DELGER)さんの言葉だ。デルゲルさんら一行は、掘削、精錬、切断、温度管理、そして事務などの責任者(部長クラス)から成り、機械や設備を導入するための情報収集の役目も担っていた。続けて同氏が語る。
 「アメリカやドイツの展示会には何度も出展し、新しい技術や機械の情報を収集してきました。でもそれは展示会前後の別な日を、情報収集日に当てたのです。ところが、このものづくり総合見本市では、部品・部材展と完成品の展示会が同時に行われるので、効率的で助かります」
 同社も、ある意味バイヤーとして出展していたわけだ。こうした需要の積み重ねが、とやまテクノフェア出展企業の135件の商談、25億4,000万円の成約額(見込み含)に結びついたのであろう。
 富山県ものづくり総合見本市では、この他に、屋外展示としてエコカーの試乗コーナー、セグウェイの体験コーナーを設け、また、とやま起業未来塾塾生らによる「新ビジネスおもしろ市」なども合せて開催された。好天に恵まれて(恵まれ過ぎて)、屋外での催事には若干厳しい面もあったが、にぎわいの創出には一役買ったようだ。
近未来のエコカーやセグウェイも注目を集めた。
 当機構環日本海経済交流センターでは、総合見本市開催後も、継続中の商談フォローアップのためにマーケティング・アドバイザーを設置したほか(参考http://www.near21.jp/kan/c_sien.htm)、出展地域との関係強化のための経済交流ミッションの派遣、見本市への出展などを今秋以降予定している。 次回ものづくり総合見本市の開催については、改めてこのホームページ上でご案内していきますので、出展ならびにご来場について皆様のご理解とご協力をお願いする次第です。


 ※ NEAR2010に出展した企業の情報及び出展品を掲載したカタログを無料で配布しております。ご希望の方は下記URLからお申込みいただくか、下記問合せ先までご連絡ください。
 URL:https://secure.tonio.or.jp/tonio/nprec/form/near2010rq.html

○問合せ先
[(財)富山県新世紀産業機構 環日本海経済交流センター]
 所在地 富山市高田527 情報ビル2F
 TEL 076-432-1321  FAX 076-432-1326
 当センターURL http://www.near21.jp/

作成日2010.10.13
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