| 第13回 北都ワールド株式会社 |
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多品種・多様ロット・短納期に応えて
水着一筋40年 |
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「糸」偏企業の低迷が叫ばれて久しい。
県内ではニット製品を中心に華々しい時もあったが、コストダウンの競争に巻き込まれて、かつての景気のよさも“今昔物語”のようになってしまった。生産先が中国や東南アジアに移転してしまったのである。
ところが今回取材した北都ワールドは、「糸」偏企業であるにもかかわらず、商売繁盛な様子。生産ラインをフルに動かし、それでも追い付かないところは協力工場に生産を手伝ってもらっているというから、商売のネタを探し出した社長には敬意を表したくなる。
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取引先の倒産をバネに |
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| 通販各社のカタログを前に、意気軒昂な太田正典社長。 |
創業は昭和46（1971）年。当初の主力商品はスクール水着やデパート販売向けの水着（主に女性用）で、商社経由で納めて会社の礎を築いてきた。年号が「平成」に代わったあたりからは、商社経由で通販で伸びつつある企業にも卸すようになり、順風満帆にこの先もいくように思われた。
ところが一般的な水着は海外産の安価なものに押されるようになり、また取引先の商社が倒産してしまうという不運に見舞われた。
「取引先が潰れたのは、平成14年のことです。もうお先真っ暗。新たに商社を開拓して取引きを続けてもらうより、通販各社と直接取引きができないかと飛んでいきました」
太田社長は日参するように通販各社を訪れて取引き口座開設の交渉を重ね、危機を脱出したのであった。
この通販各社との口座を開設したことが、北都ワールドにとっては転機となった。水着も含め、繊維関連商品は安価な海外ものにますます押し出されるようになり、今ではデパート等小売店での同社商品の売上げ比率はわずか15％に。逆に、通販部門が85％まで伸びてきたのである。
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細かい規格に対応して差別化 |
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| フル稼働している同社の工場。生産が追い付かないため協力工場に外注しているというから、繊維関係者からは注目されている。 |
ただ、通販各社に安定的に納品できるようになったと言っても、生産現場は戦争状態だ。店頭販売用ならば、S・M・L・2Lの4サイズの品ぞろえでいいが、通販用ではそれに加えて3L・4L・5L・6Lと合計8サイズ、それも身長に合わせて各サイズ2タイプ用意しなければならないこともある。
ここまでの細かい対応はなかなかできない。その上、以前は年1回の発行であったカタログが、最近は年2～4回発行されるため、毎回、新デザインを提案していかなければならなくなった。「30点提案しても採用されるのはせいぜい2～3点」（太田社長）というから、これを年2～4回、各社毎に対応していくとなると、相当の機動力、小回りが要求されることになるわけだ。
「当社では4社の通販会社とおつき合いさせていただいています。細かい対応ができるところはなかなかなくて、通販で扱われる水着の70％は当社の製品になりました。最近は中国やベトナム産の水着も出るようになりましたが、細かい規格に対応しきれず、生産を国内の工場に戻しつつある、とも聞いています」（太田社長）
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機能を付加した水着開発。そして… |
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| 同社では黒を基調としたデザインの水着が多い。写真で紹介する水着はプールなどで水中ウォーキングの際に着用するもので、左の水着には発熱材がコーティングされている。 |
通販用水着の世界では、1人勝ちの様相を示しつつあるものの、取引先の倒産という苦い経験を持っている太田社長は、経営をより安定化させようと新製品の開発に余念がない。そのひとつが、3年前に開発に取り組み、これから本格的に市場に投入しようとする「保温及発汗サポート水着」。通販で水着を買う女性の多くは、プールでの水中ウォーキング（つまりダイエット）を目的としているが、その効果を助長しようというものだ。
「商品を紹介したら、通販会社の2社からすぐにオーダーをいただき、他にはこれからお願いしていきます。繊維製品というとすでに成熟した商品のように見受けられますが、これからはこうした機能を付加したものが求められるでしょう。その意味では、まだまだ未開拓の部分があるように思えてなりません」
太田社長はいたって意気軒昂だ。
また、さらなる販路の拡大を図って、ホームページ上での直販も検討し始めた。そのためには、通販会社とバッティングしないよう別なブランドの水着が必要になり、販売会社も新たに起こさなければならない。太田社長は今年5月からの販売開始に向けて、昨年秋から精力的に動き回ってきたのである。
「水着一筋の商売ですが、厳しさゆえに生きがいも感じます。今日まで続けてこれたのは皆様に支えられたからで、お客様や社員は私の財産。社員の喜びが私の喜びでもあり、だからこそ皆に元気のおすそ分けができる、と思っています。もう一花咲かせますよ」と新たな事業計画書を見せてくれた。その詳細はここでは紹介できないが、これが軌道に乗ると水着の他にもうひとつの柱が同社にできることになり、協力工場があと数社必要になってくるのは容易に想像できる。
この会社、「糸」偏企業なれど、いと盛んなり。
連絡先／ 北都ワールド株式会社
〒931-8453 富山市中田3-5-22
TEL 076-438-5865 FAX 076-438-4310
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