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EDC注入のイメージ図。汚染の度合いや敷地の広さによって、注入井戸の本数は変わる。この工法は環境省の「平成16年度低コスト・低負荷型土壌汚染調査対策技術検討調査」VOC汚染土壌の原位置浄化技術に採択された。 |
よく採用された浄化方法には、有害物質をガス化し、処理水を下水処理する工法(揚水曝気工法)がある。しかしこの工法でも、環境基準をクリアするために数年かかることがあり、コストも高い。また汚染土壌を掘削し、汚染されていない土で埋め戻す方法もあったが、これでは根本的な問題解決にはならない。
これに対してエコサイクルが開発した工法は、食品の粉体を配合したEDC(Electron Donor Compound = 電子供与体)を水に溶かし、小さな井戸を掘って地中(地下水中)に注入する方法(特許取得)。EDCによってその汚染土壌に棲む微生物を活性化し、その力を活用して浄化するものである。開発には2年近くを要し、平成15年1月に実施したクリーニング工場跡地での実証実験では、浄化52日で環境基準をクリア。85日で完全に浄化したのであった。
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南砺市のクリーニング工場跡地で浄化した際のデータ。有機塩素化合物は52日で環境基準値以下になり、85日で完全に浄化した。(PCE=パークロロエチレン、TCE=トリクロロエチレン、cis-1,2-DCE=ジクロロエチレン) |
研究開発部の主任技士・前田信吾氏が、EDC 注入による浄化工法を解説する。
「EDCを溶かした水を注入すると、これを栄養源にして、まずは好気性微生物が活性化します。しばらくすると土の中が一種の酸欠状態になり、今度は嫌気性微生物の活動が盛んになる。その中には有機塩素化合物を呼吸に使い、分解してしまう微生物がいるのです。この嫌気性微生物の働きによって、有機塩素化合物は最終的には、無機塩(Nacl等)や二酸化炭素、水に分解されてしまうのです」
つまりは無害化されてしまうのである。この実験結果やEDC注入工法をエコビジネス等の展示会や学会で発表すると、注目されるようになった。そして徐々に引き合いがくるようになり、後に総販売代理店契約を結ぶことになる三菱商事とも出会ったのである。(契約は16年3月)
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