出展勧誘のために関係機関を訪ねていて驚くのは、前回の見本市の記憶がまだ鮮明に残り、過去には見られないほどにNEARへの期待が高まっていることだ。中国の現地政府(省・市)や、国際貿易促進委員会(以下、国貿促)の省・市の委員会・分会のコメントを、内容的に似たものをまとめて紹介しよう。
「NEARとテクノフェアの同時開催がよかった。NEAR 参加企業は、テクノフェアで展示する日本の中小企業の製品を直に見ることができ、中小企業でも品質の高い製品をつくっていることがわかった」
「NEARは工業的な製造業に関連する部品、部材、素材の展示会であるのはわかる。しかし、あれだけ盛況ならPRのよい機会になるから、業種の範囲を広げることはできないか」
「来場者が同じ時間帯に重なって、一方の企業と商談できないケースがあった。事前にマッチングなどをして、効率的に多くの企業と話がしたい」
「NEAR 出展企業の中には、グループ会社に完成品メーカーを有している企業もある。NEAR にもテクノフェアにも出展したい」
「富山県は日本海側では最もものづくりが盛んな地域と聞いている。工場見学したいので、企業を紹介してほしい」
などなど。
出展企業の業種を幅広くする件に関しては、NEAR開催の目的をぼかすことにもなりかねないため慎重に検討しなければならないところだが、こうしたコメントが3つの機関(現地政府や国貿促など)から出てきたのは、「富山県ものづくり総合見本市2010」が盛況であった証左といえるだろう。「事前マッチングなどをして、効率的に多くの企業と話がしたい」というコメントも商談が盛んに行われたことを物語っている。
会場のキャパシティや日程、またマンパワーなどに制限があるため、全ての要望に応じることはできないものの、事務局サイドでは「富山県ものづくり総合見本市2012」が前回以上の成果が出るようにと最大限の努力をしているところだ。そのための最大のポイントは、出展企業や来場者の勧誘はもちろんであるが、先のコメントにもあった効率的な商談のための事前マッチングの実施と、招聘するバイヤーを拡充することによる双方向の経済交流の拡大、そして新しい国からの出展を増やし、経済や文化、人的交流を促進することだ。
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NEAR2012の出展勧誘で、中国の現地政府や国貿促に説明を行ってきた様子。左から遼寧省政府対外貿易合作庁、国貿促天津市分会、同大連市分会。 |
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