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第14回 「株式会社安達工業」  

第14回 「株式会社安達工業」
金属素材に新しい生命を吹き込む


激しい競争

安達工業は、アルミからステンレス、スチール、そしてチタンまで、あらゆる金属を巧みに細工する企業である。長年培ってきたノウハウと卓越したテクノロジーは業界でもつとに有名である。
当社の製品は、都市にそびえ立つ超高層ビルの外壁をはじめ、一般住宅用建材、看板、サイン、モニュメントなど多岐にわたる。
しかし、ビル用建材は同業他社との激しい価格競争に加え、多品種少ロット、短納期の要求の強い業界であり、利幅の薄いところが難点。安達進社長は「なんとか収益の柱を作らねば、アルミだけでは当社は生き残れない…」。そのためには建材部門以外で、新製品の開発を急ぐ必要がある。極めてシンプルで、もっともな考えである。
富山県中小企業支援センターとの出合いは、経営革新計画の承認取得に係る相談が最初であった。


スチール型枠

平成12年、まず最初に取り組んだのが、基礎コンクリート打設用の「スチール型枠」(商品名:パネル21)であった。木材のコンパネに替わる素材として鋼製型枠を使うものである。鋼製型枠は木材型枠に比べ、扱いやすく経済的。森林保護、ひいては地球環境の保護にもつながる。
パネル21は、国土交通省の新技術情報提供システム(NETIS)にも登録されている商品であり、全国各地のビルや工場、マンションなど多くの建築現場で使用される商品にまで成長した。この事業は、経営革新計画の承認事業である。


金属多孔体フィルター

新製品開発の第2弾は「金属多孔体フィルター」である。主に、厨房用換気扇のグリスフィルターとして使われ、油煙や油脂分を吸い込みクリーンな環境を保つ役目を果たしている。
この製品は、日本重化学工業がすでに開発し商品化していたものであるが、同社が会社更生法の適用を受け、生産中止となったため、当社が「製造部門」を引き継いだものである。当初の計画では、販売は別に設立する新会社が受け持つ予定であったが、紆余曲折を経て今は当社が製造・販売を行っている。
このフィルターは、(社)日本厨房工業会の認定商品であり、全国19の代理店網を通じて販売されている。平成17年の売上高は6,000万円。18年の目標は3億円であるが、当社にとって、まだ物足りない数字だ。このところ相次いでいる大手化学会社やカメラメーカー、そして各地の試験研究機関からの引き合いや問い合わせを受注に結びつけていくために策を練っている。
今後の課題は「新用途の開拓」である。16年12月には支援センターの商品化・事業化支援交流会に参加し、目利き専門家から用途開発のアドバイスをもらった。今は厨房用換気扇が主体であるが、水処理(殺菌・抗菌)分野やボイラー、ディーゼルエンジンの吸気側フィルターとして応用されることが期待されている。
もう一点の課題は、販路の確保である。海外進出や全国展開を図るために代理店方式を進めるとともに、レンタル事業も検討しているところである。


誠心誠意

安達社長の座右の銘は「誠心誠意」である。何事にも真剣に取り組み、常に工夫をこらすことが経営哲学。
鋼製型枠や金属多孔体フィルターの開発は、その一例にすぎない。68歳とは思えぬフットワークで、今も営業の第一線に立ち、全国各地を飛び回る日々。誠心誠意、心を込めた営業が、代理店や顧客の増加という形で実を結び始めており、安達社長も自信を深めている。
何の変哲もない一枚の金属板に「新しい生命を吹き込む」株式会社安達工業。金属加工のエキスパートとして、今後どんな活躍を見せてくれるのであろうか…。

[企業の概要]
所在地 射水市戸破32番地の9
代表者 安達 進
資本金 4,400万円
従業員 90名
電 話 0766-56-2800
FAX 0766-56-0031
E-mail info@adachi-gr.co.jp
URL http://www.adachi-gr.co.jp/
事業概要 ビル用アルミ、内外装パネル、
       鋼製型枠、金属多孔体フィルター


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