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  富山県内ベンチャー・起業事例集  

  ■事例07■ ジャパンパック株式会社 長田宏泰社長
お客様の困りごとを解決したい…
新しい商品企画はそこから生まれた
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「ある1社の困りごとは、その業界の困りごとでもあります」と語る長田宏泰社長。
 ここに少し色あせた写真がある。
 1枚は創業2年目で中古の印刷機を購入した時、夫人と記念に撮ったもの。もう1枚はその1年後に本格的に製品を出荷するようになった時、息子さんが手伝う様子をカメラに納めたものだ。
 ジャパンパック…。今でこそ機能性段ボールをつくっている会社として知られるようになっているが、10年前の創業の際は「誰も相手にしてくれない」(長田さん)会社だった。
 創業前の長田さんは、とある企業の専務であり、その関連会社の社長を務めたこともある。生活は安定していた。だから夫人は、諸手を上げて独立に賛成したわけではない。当時学生だった息子さんも、不安を感じていたようだ。「オレが働くようになったら手伝うよ」と父親の背中を押したものの、母親と同じような気持ちが多少はあった。
 創業は長田さん54歳の時だった。


中古の機械を買って自分で改造

花を入れて運ぶためのN-フラワー。内側の底にポリ袋が一体成型され、組み立てが簡単。組み立ててすぐに水を入れることができ、倒れても水がこぼれない。
  もともと長田さんは、ある企業で段ボールの製造販売に長く携わり、その責任者も務めていた。ところが会社の方針が変わり、事業部は縮小することに。そこで、今までのノウハウを生かして自分で会社を興したわけだ。しかしながら、創業してすぐに商売が軌道に乗るほど甘くはない。
 「段ボールが普及し始めたのはここ40~50年。この間、値段はあまり変わっていません。合理化と量産化が進んだからで、その結果、資金力のない中小のメーカーは淘汰されました。段ボールを量産する機械は、1台10億円前後はしますから、個人が新規参入できるものではありません。そこで当初から機能性段ボールを考えていたのですが、それもすぐに開発できるものではなくて…」
 10年前を振り返って長田さんはこういうが、新しい商品の企画を錬りながら、最初の1年は梱包資材の販売をして忍んだ。
 2年目に入った。後にヒット商品となるN-パックの構想を持っていたが、資本金の半分を投資(機械の購入など)するとなると躊躇してしまう。そこで県の経営支援課を訪ねて、新しい商品の構想を説明しながら相談すると、設備投資を支援する制度を紹介され、申し込んだのである。
 N-パックは、段ボール箱の中に袋が一体化されたもの。分別・再利用しやすいようにと、内袋は点でノリ付けされている。そのノリ付けを、凸版印刷機を改造して行うことを長田さんは考えていたのであった。
 幸い考案中の段ボールの新規性が認められて、支援が決まった。さっそく中古の印刷機を買った長田さんは、機械科で学んだ経験を生かして、改造は自分で行ったのである。
段ボールでつくったパレット(裏側)。今までのパレット(木製・樹脂製・アルミ製など)は出荷元に戻すことを前提につくられていたが、これは荷受け先で破棄(紙のリサイクル)されることを想定している。



お客様が当社の商品を宣伝してくれた

上は念願の印刷機を導入した時に夫人と記念に撮ったもの。下は、本格的に出荷が始まった時、息子さんが手伝う様子を写した。ちなみに最初に従業員として入ったのは息子さんであった。
 ところがこれが、なかなか売れない。サンプルを持って一斗缶を使用している企業を訪問しても、「創業間もない会社とは付き合えない」と返ってくることが多かった。それでもサンプルを持っての営業を続け、また首都圏で開催される展示会などに積極的に参加していったのである。
 ぽつり、ぽつりとN-パックを採用してくれる企業が…。すると面白いことが起こり始めた。例えばN-パックを採用した企業をA社としよう。箱にはA社の名前や連絡先が印刷され、全国の客先の工場や販売店に運ばれていく。するとそこで便利な段ボールだと評判になって、「どこでつくっているのか」とA社に問い合わせが入り、そこからジャパンパックが紹介される。そこで新たにB社が採用して、段ボールに入れた商品を全国に出荷して…。この繰り返しで増えてきたという。また、「うちではこんな商品を出荷しているのだけど、段ボールで便利にできないか」という問い合わせも入るようになった。
 「ありがたいことに、私どものお客様が商品の宣伝をしてくれたようなものです。展示会に出ていても『あの箱はお宅でつくっていたのですか』と親しく声をかけられ、そこから取り引きが始まったことが何度もあります。容器でお困りの方々はたくさんおられます。私どもはお客様からうかがった困りごとを解決しようと、機能性段ボールの開発を続けてきました」
 そういって長田社長は、各社のパッケージサンプルを納めている部屋に案内してくれた。段ボールに印刷されている会社名を数えると、50社以上。一部上場企業の名前も見受けられた。徐々に増えてきたこれらの企業が定期的に発注してくれるようになったため、創業3年目は“とんとん”になり、4年目以降は黒字を継続。平成18年には第二工場を建て、月産能力を6倍の30万ケースにまで引き上げた。
 「新商品を開発するぞ!と大上段に構えるのではなく、お客様の困りごとを解決したいと思い続けたから新しい機能性段ボールの開発ができたのでしょう。その上でコストと品質をお客様に満足していただけるようにし、採用していただいてお客様に喜んでもらう。これはものづくりの醍醐味ですが、自分で会社を興して、一から始めたから味わえたのではないかと思います」と長田さんは語り、新しく構えた本社の2階から、遥か剱岳の頂上に視線を移した。その表情には、創業したことへの満足感があふれていた。

ヒット商品となったN-パック。段ボールには内袋があり、液状のものも入れられる。折りたたんで保管できるため、省スペースになる。




長田宏泰 ジャパンパック株式会社社長
所在地/滑川市北野188
資本金/1,000万円
設立/平成11年1月
従業員/13人
事業/機能性段ボールの製造・販売
TEL/076-476-1750 FAX/076-476-1751
URL/ http://www.japan-pack.com/

発行日 2009年11月
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